安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ロジェ・ゲラン ROGER GUERIN - BENNY GOLSON

2011-04-24 21:44:18 | トランペット・トロンボーン

きのうの土曜日、長野県内に激しい雨が降りました。天気予報を見て安曇野市に行くのも控えて、長野市の自宅にいました。そこで、昔買ってあった本を2~3冊読んでみましたが、横尾忠則著「名画感応術」(光文社文庫)が面白く読みふけりました。36の絵画を取り上げて、どこが感情に訴えてきたか、どうよかったのかを書いたもので、「キーファーは直感で観る」という章に横尾さんの考え方が端的に表れていました。フランスの画家が多く登場したので、音楽の方も。

ROGER GUERIN (ロジェ・ゲラン)
ROGER GUERIN - BENNY GOLSON (Columbia 1958年録音)

 Rogerguerinandbennygolson

名前からしてすぐにフランスのミュージシャンだとわかる、ロジェ・ゲラン(トランペット)ですが、長い活動にもかかわらずリーダー作はこれ一枚だけです。古くはジャンゴ・ラインハルト(g)と共演し、60年代には、クインシー・ジョーンズらの訪欧楽団に参加、70年代以降もマーシャル・ソラール(p)などとプレイしています。

ジャズ・メッセンジャーズの渡仏時に録音されたもので、1958年12月12日の4曲の録音メンバーは、ロジェ・ゲラン(tp)、ベニー・ゴルソン(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ピエール・ミシェロ(b)、クリスチャン・ギャロ(ds)。同年12月18日録音が、ロジェ・ゲラン(tp)、マイケル・ハウザー(vib)、マーシャル・ソラール(p)、ピエール・ミシェロ(b)、クリスチャン・ギャロ(ds)で1曲です。

メッセンジャーズのメンバーと録音した4曲は、「Stablemates」(ステイブルメイツ)、「Moanin'」(モーニン)、「Blues March」(ブルース・マーチ)、「I Remember Clifford」(クリフォードの想い出)というゴルソン作の3曲とティモンズの1曲。18日は、ゲラン作「Not Serious」の1曲で、合計5曲です。なお、原盤は、フランスコロンビア発売のEP盤で、僕の持っているのは再発の12インチLPです。

ゴルソン作の「Stabelemates」は、テーマの真ん中あたりで、休符が入りストップし、そこにピアノが入ることもある、工夫されていて好きな曲です。ここでのプレイもゴルソン、ティモンズ、そしてゲランと雰囲気が横溢しています。「I Remember Clifford」は、ゴルソンのクリフォード・ブラウンを思いやるかのような出だしの吹奏とオブリガート、ゲランのミュートプレイも冴えています。また、意外な拾いものがゲラン作「Not Serious」で、なかなかスインギーでした。

Benny Golson & The Philadelphians

東芝EMIからつい最近発売された999円の廉価盤シリーズの「ベニー・ゴルソン&ザ・フィラデルフィアンズ」に、上記作の12月12日録音の4曲が追加収録されています。とんでもなくお得で大盤振る舞いです。僕もこのCDを買いました。

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横尾忠則著 名画感応術(光文社文庫)

「絵画に歓びをみつけることのできる人は本当に幸せだと思う。」と記し、「この本が少しでも感応の手引きになれば嬉しいと思う。」とまえがきにあります。

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ハービー・ハンコック TAKIN' OFF

2011-04-17 21:19:55 | ピアノ

先週の火曜日に長野県の南部に出張で行ってきました。長野市から高速道をひたすら走り続け、中央自動車道駒ケ岳サービスエリア(下り線)で休憩と昼食。このサービスエリアは、中央アルプスと南アルプスが見えて景色がよいので、こちらまでくると必ず休憩に使います。お昼には駒ヶ根市名物のソースかつ丼を美味しくいただきましたが、かなりのボリュームでした。大きな音で聴きたい一枚。

HERBIE HANCOCK (ハービー・ハンコック)
TAKIN' OFF (BLUE NOTE 1962年録音)

 Takin_off_herbie_hancock

ハービー・ハンコックの初リーダー作、そして「ウォーター・メロンマン」が収録されていることで知られている有名アルバムです。いまさらですが、こういう調子のいい曲はドライブに似合いますね。日本盤LP、USAの音符盤LP、そしてCDと、よく整理できていないためと、用途の違いによって三種類集まりました。

メンバーが僕にとってはたいへん嬉しく、フレディ・ハバード(tp)、デクスター・ゴードン(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)で、新進のメンバーに加えて、ベテランのデクスター・ゴードンが起用されています。

初リーダー作ということで、ハービーは全曲を作曲しています。「Watermelon Man」(ウォーターメロン・マン)、「Three Bags Full」、「Empty Pockets」、「The Maze」、「Driftin'」、「Alone and I」の6曲。1962年という、ハービーが、マイルズバンドに入る前に作られたもので、ハード・バップ~ファンキー色がそれぞれ出ている曲です。ハンコックのタッチは刺激的で、「Driftin'」に登場するサウンドなどは新鮮です。

「Watermelon Man」は、調子のよいリズム・パターンに被さるホーンのゴスペルタッチのメロディがかっこよく、ハバードが同音を繰り返してソロをとり、ゴードンもうねるような快調なソロをとります。「The Maze」や「Driftin'」もそれぞれ親しみのある曲ですが、バラード「Alone and I」は、ハンコックが静かなムードを設定し、ゴードンの密かで美しい吹奏、ハンコック、ハバードと寂しさが滲んでくるような素晴らしい演奏です。全体としては、楽しいファンキーアルバムです。

駒ケ岳サービスエリア(下り線)

中央道の駒ヶ根ICと松川ICの間にある、サービスエリアです。山岳景色が見られ、暖かくなれば駐車場内に植えられた花木も咲いて綺麗です。今年は春が少し遅いようです。

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                駐車場の光景

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     望遠で撮ってみた中央アルプス。食堂のおばさんに
     聞いてみたら、一番高い峰が「南駒ケ岳」だそうです。

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    ヴォリュームたっぷりのソースかつ丼(1,050円)


ポール・デスモンド FIRST PLACE AGAIN

2011-04-10 19:57:39 | アルト・サックス

今年の春は飛散している花粉の量が半端ではないようで、ひどい花粉症の症状が出ています。目のかゆいのは当たり前、鼻水、鼻づまりでティッシュをたくさん使い、頭痛気味で頭も重くなっていて、薬ももちろん飲んでいますが、一向に効きません。4月中は、仕方がないとあきらめ気味ですが、クールなジャズを聴いてせめて気分転換をしてみました。

PAUL DESMOND (ポール・デスモンド)
FIRST PLACE AGAIN (Waner Bors. 1959年録音)


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人文字のジャケットというのも珍しいですが、よくこれだけの人を集めて、ジャケット写真を撮ったものだと、このアルバムを手にする度に感心します。プレイボーイ誌ではジャズプレイヤーの人気投票が行われていましたが、デスモンドが1958年、59年とアルトサックス部門で連続して1位をとったので、このタイトルで発売された作品です。

メンバーは、ポール・デスモンド(as)、ジム・ホール(g)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)の4人で、ベースとドラムスは、モダン・ジャズ・クワルテット(MJQ)のメンバー。デスモンドのプレイに加えて、ピアノではなくギターを入れた楽器編成により、室内楽的なムードが漂います。

曲目もデスモンドに相応しく、メロディが美しくて、可愛らしいとも思えるものが集められています。ほとんどスタンダードで、「I Get A Kick Out of You」(君にこそ心ときめく)、「For All We Know」、「Greensleeves」(グリーンスリーヴス)、「You Go To My Head」、「East of The Sun」、「Time After Time」、そしてジョン・ルイス作曲の「Two Degrees East Three Degrees West」(2度東3度西)という7曲。

デスモンドのクール気味な美しいサウンドに酔いしれますが、わき役の活躍も目立ちます。ジム・ホール(g)は、「I Get A Kick Out Of You」でピアノかヴァイブの音と間違えそうな印象的なイントロを聴かせ、各曲におけるソロも素晴らしい。パーシー・ヒース(b)は「Two Degrees East Three Degrees West」でブルージーなソロをとります。躍動感が横溢している「I Get A Kick Out Of You」や緊張感に富んだアルト・ソロが聴ける「East of The Sun」など耳を傾けたくなります。


アニタ・ブライアント ANITA BRYANT

2011-04-03 21:01:05 | ヴォーカル(A~D)

本日、4月3日は、長野県の中部では一月遅れの雛祭りの日です。春が遅いせいか、安曇野市あたりでは、3月3日ではなくて4月3日が普通です。我が家では、この頃では大々的なお雛様の飾りつけはしなくなりましたが、箱から雛人形を出して風にあてることは奥様がやっています。女性の歌声で、ややポップス寄りのアルバムを聴いてみます。

ANITA BRYANT (アニタ・ブライアント)
ANITA BRYANT (CARLTON 1959年録音)

 Anitabryantcarlton

アニタ・ブライアントはヴォーカルの部類で紹介されることが多いのですが、ヒット曲もありオールディーズの歌手と言ってもおかしくありません。彼女の最大のヒットは、1960年の「Paper Roses」(ペーパー・ローゼズ)で、ビルボードホット100に11週ラインクインし、最高位は5位。他にも、「Till There was You」(59年、30位)、「The World of Lonely People」(64年、59位)というヒット曲があります。

彼女は小さいころから歌っていて、1956年にはシングル盤をリリースしています。歌手としてレコードも出して、実力を認められたわけですが、それに加えて容姿にも恵まれ、58年にはミス・オクラホマに選ばれています。

曲は、1曲を除きブロードウェイ・ミュージカルからで、「Till There was You」、「Just in Time」、「Hello Young Lovers」、「Mr.Wonderful」、「Small World」、「Love Look Away」、「Promise Me a Rose」、「Wouldn't It be Loverly」、「Anyone Would Love You」、「Do-Re-Mi」、「The Party's Over」と、それに「Blessings of Love」の計12曲。Monty Kellyが編曲に当たっています。

「Till There was You」は、3連のロッカ・バラードですが、元はミュージカル「The Music Man」(1957年)の中でバーバラ・クックが歌い、1963年にはビートルズが録音しています。「Blessings of Love」もコーラスを伴ったロッカ・バラード、明るく歌われる「Wouldn't It Be Loverly」、少し泣きの入った「Anyone Would Love You」、そしてジャジーな「Just in Time」などが収録されており、ヴォーカル・ファン向けでもあります。