安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

山口克己著「LPレコードに潜む謎」(誠文堂新光社)

2016-09-30 20:53:08 | 読書

LPレコードに関する本なので、本来は、オーディオ愛好家向けの内容ですが、目次をみると、エリック・ドルフィーやジャズ喫茶、ナット・キング・コールという文字があったので、読んでみました。レコードとその製作を行う過程などに関する記述は多岐にわたり、技術論も多いのですが、僕の関心のある部分について、内容と感想を書き留めます。

   

(レコードの再生に関して)

レコード再生の関連では、いい音で、いい音楽を聴くには、ソースはもちろん、オーディオの装置をいじるなどの努力が必要だということが具体例を交えて書いてあります。僕はほとんど頓着しない点なので、もう少し気を遣おうという気にさせられました。それも、ナット・キング・コールの歌う「スターダスト」について、歪を取り去ることに取り組んだ例が示されるので、説得力があります。

 (ドルフィー、最後の日々)

エリック・ドルフィーのアルバム「ラスト・デイト」について、その録音前後のドルフィーの足取りも書かれていて、興味深く読みました。1984年に日本フォノグラムから発売されたデジタル・リマスター盤で、児山紀芳氏が、「ラスト・デイト」のレコーディング前後の状況を原盤ライナーノートを基に詳しく書いていますが、その文章が転載されています。

また、アメリカでLimelightレーベルから出されたものは、ジャズ評論家のナット・ヘントフがライナーノートを書いていますが、油井正一氏が国内盤解説で、それを翻訳するかたちで書いているものも転載しています。これらのライナーノートをまとめると同時に、4種類の出されたレコードについて触れています。

「ラスト・デイト」について、著者の山口さんは、『演奏の凄さに唖然とするばかりだ。「絶頂期を前に他界した」と言われるように、このままもう少し生きていてくれたら、ジャズの世界はどうなったのだろう』と総括しています。このアルバムの「Epistrophy」や「You Don't Know What Love is」におけるドルフィーの演奏を聴くと、僕もそんな思いに囚われます。

     

左は、1964年6月2日録音「Last Date」のLimelightレーベル・ジャケットの日本盤LPで、学生時代に購入したもの。右は、「Complete Last Date」で、Jazz Galleryから出されたLP。

   

1964年6月11日録音の実際には最後の録音で、フランス国営放送の番組のために収録されたもの。僕が持っているのは、日本のDIWレーベルから出されたLP。

(リアル・タイム ジャズ喫茶)

著者が、ジャズ喫茶に通い始めた1959年の春からジャズ喫茶に行かなくなった64年ころまでの様子や、人気アルバムのことを書いています。ジョン・コルトレーンが急に人気が出てきたことについて触れ、『エリック・ドルフィーは、もっとも無視されていたのではないか、めったにリクエストされることもなく』と記しています。これは、僕にはかなり衝撃的でした。60年代にはすでに評価が高く、ジャズ喫茶でも聴かれていたと考えていました。

その当時、よくかかっていたアルバムとして、ドナルド・バードの「フュエゴ」(ブルーノート4026)、ジャッキー・マクリーンの「スイング・スワング・スインギン」(同4024)、ホレス・シルヴァーの「ドゥーイン・ザ・シング」(同4076)や「ソング・フォー・マイ・ファーザー」(同4185)、マル・ウォルドロンの「レフト・アローン」(ベツレヘム)という、今でも人気のあるものを挙げています。

このラインナップは僕にもしっくりきて、たまに聴けば、やっぱりいいなあと思えるものばかりです。黒っぽいものが多いですが、このへんは聴いて無条件に楽しめます。

   

マクリーンの「Swing Swang Swingin'」(Blue Note)。東芝から出た国内盤LP。

(目 次)

ジャズに関する章だけ取り出しましたが、以下に目次を記します。著者は、オーディオやクラシックに詳しいので、言及する範囲は広範に渡っています。

最後のアナログ盤『カインド・オブ・ブルー』
三人の王子様(デジタル・リマスターとは)
米国の「戴冠式」
モノ―ラル盤とステレオ盤
ウィーンの香り
『ブランデンブルグ協奏曲』
セロニアス・モンクの七変化
敵性語追放
二十世紀のクレッセント・シティ(SP復刻のオムニバス盤)
「凸版印刷」か、「オフセット印刷」か
ドルフィー、最後の日々
テープは歪む(テープ・レコーダーの問題点)
「THE THREE」を聴く
リアル・タイム・ジャズ喫茶
ナット・キング・コールの『スターダスト』


あったか飯屋太郎 (和食 長野県長野市)

2016-09-29 22:38:39 | グルメ

天気がいい日は、善光寺界隈あたりまでランチの食べ歩きに出かけていますが、パティオ大門の中にある、魚料理を出してくれる「あったか飯屋太郎」は最近のお気に入りです。金沢から仕入れた魚は新鮮な上に、ご飯も美味しいです。

ランチの時間は、結構混んでいます。ご夫婦で営業されているので、出す数も限られるようで、休日のお昼にいったこともありますが、品切れでした。夕方も営業しているので、今度は、軽く飲みながらの夕食にでかけるつもりです。 

   

長野市の中央通り沿いのパティオ大門にあります。

   

   

蔵造りの建物は、なかなかいいムードです。

   

メニューは、入荷状況で変わります。

   

ぜいたく海鮮丼です。

   

炙った魚ものって、手がかかっています。久しぶりに美味しい魚料理を食べました。お隣のお客さんは、キングサーモンの信州みそ漬け定食でしたが、そちらもかなり美味しそうでした。

【あったか飯屋太郎】

住所:長野県長野市大字長野大門町54
電話:026-235-6912
ホームページ:patio-daimon


アーヴィン・ロクリン QUIRINE

2016-09-28 20:53:56 | ピアノ・トリオ

昼休みに善光寺方面に散歩にいった際、中央通りを横に入ったら「新小路カフェ」というお店がありました。ちょうどいい機会なので寄ってみましたが、お客様は女性がほとんどで、男性は僕だけでした。壁のディスプレイは、お洒落で、全体に可愛い感じに店内が仕上がっています。ランチを食べましたが、ヨーグルトのデザートも付いていて、女性向けという感じでした。ジャケットが可愛いアルバム。

IRVIN ROCHLIN (アーヴィン・ロクリン)
QUIRINE (LIMETREE 1980年録音)

   

アーヴィン・ロクリンは、復刻されたLIMETREEレーベルのこのアルバムを日本盤CDで購入して初めて知ったピアニストです。収録曲目に惹かれて購入したのですが、ジャケットに子供の写真をあしらっていて、和ませてくれて、それだけでも印象に残ります。内容もジャケットに負けていず、なかなかよいです。

メンバーは、アーヴィン・ロクリン(p)、ハリー・エメリー(b)、エリック・イネケ(ds)。ロクリンは、1926年頃の生まれで、70年頃アメリカからヨーロッパへ移住し、アムステルダムを拠点として活動し、王立音楽院でも教えていました。2013年には、アメリカに戻ったようです。以上はライナーノートからですが、この「Quirine」というアルバムは、ヨーロッパジャズファンの間では昔から聴かれていたようです。エリック・イネケ(ds)は、よく見かける名前です。

曲は、ロクリンの自作が「Pepito's Rub」、「Quirine」、「Only Ludwig Knows」と「A Plan for The Future」の4曲。スタンダードの「Ghost of A Chance」と「Laura」、ボビー・ハッチャーソン作「Little B's Poem」、ウェス・モンゴメリー作「Four On Six」。ロクリンの自作も含め、メロディの美しい佳曲が揃っています。ハチャ―ソンの「Little B's Poem」とウェスの「Four On Six」が入っているのには驚き、かつ、喜びました。

スタジオに聴衆を入れて録音したライブ形式のアルバムで、いい雰囲気が伝わってきます。ロクリン(p)は、活気のあるバップに根差したプレイをしていますが、落ち着きも感じられます。「Quirine」や「Four On Six」では、トリオが一丸となった明るくて熱いプレイが楽しめ、ハリー・エメリー(b)の重厚感のあるベースも聴きもの。バラードの「Ghost of A Chance」や「Little B's Poem」では、両手を使った華麗なプレイをしていて、ロクリンには、スイング系のピアニストの影響もあるように感じました。

 【新小路カフェ】

住所:長野県長野市東町142-2SHINKOJI北棟1F
電話:026-217-0170
営業:営業時間/10:00-17:00  ランチタイム/11:30-14:00 ティータイム/14:00-17:00  定休日/毎週月曜日、第2、第4火曜日
ホームページ:rifare-web.com

   

入り口。テラス席に腰かけることもできます。

   

店内の様子。

   

焼物など、本以外にもいろいろと飾ってありました。

   

一人だと壁際の席に案内されます。置いてある本は読むことができます。

   

ランチ。鶏肉を焼いたものでしたが、意外にヴォリュームがありました。珈琲も付きました。

   

立地する小路。東町から中央通り方向を撮っているので、新小路カフェは右側になります。


茂来山 (1717.8m 長野県南佐久郡佐久穂町・小海町)(2)(復路、花、十石峠、温泉)

2016-09-27 20:55:07 | 登山・ハイキング

茂来山登山の続きです。

(登山)

霧久保沢駐車場7:10~登山道入口7:26~コブ太郎7:49ー7:54~尾根分岐8:37~茂来山山頂8:46ー9:22~駐車場10:37

(歩行時間 上り1時間32分 下り1時間15分 計2時間47分)

【復 路】

   

尾根を下り、上がってきた霧久保沢コースに進みます。

   

少し暗い中の森の樹木は存在感がありました。

   

登山道水源という表示がありましたが、雨が降り続いているので、飲めないだろうと思い、特に探しませんでした。

   

上りの時よりも、さらに水かさが増えていました。

   

少し上で、二つの沢が合流しています。爽快な景色です。

   

橋です。登山靴がずぶずぶと入りますが、いい方法はないので、さっさと通過しました。

   

駐車場に戻ってきました。

    

女性3人のグループに下山途中に会い、会話を交わしました。手前の大きな車は、その方たちが乗ってきた車です。

【出会った花】

   

シロバナトリカブト

   

   

シロバナトリカブトの群落。尾根の手前に咲いていました。

   

青い花のトリカブトもありました。

   

   

   

   

ホタルブクロ。山頂にありました。

   

ノアザミ。

【十石峠】

   

古谷渓谷「乙女の滝」の駐車場に車を停め、観に行こうと歩きだしたら、崩落個所があって道が通行止めでした。国道299号をそのまま進んで、一度行ってみたかった十石峠へ向かいます。

   

佐久穂町と群馬県上野村との境になります。

   

峠の駐車場。案内図とトイレがあります。

   

展望台。晴れた日には、秩父方面の山などが見えそうです。本日は、一切見えず、戻ることにしました。

【温 泉】

   

町のパンフレットに出ていた、茂来山から近い古谷渓谷にある「里味の宿 臼石」という日帰り入浴のできる宿に行きました。ところが、7月20日付で営業をやめていました。張り紙によると、破産手続きに進んでいるようです。仕方ないので、佐久穂町の温泉はあきらめて、佐久市方面に向かいます。

   

安曇野市へ向かう道沿いにあった「のぞみサンピア佐久」の温泉によりました。浴槽は広く、露天風呂もあり眺めがよかったです。

   

サンピア佐久から浅間山方面を展望。

【のぞみさんぴあ温泉】

住所:長野県佐久市根岸3203-2
電話:0267-63-3900
ホームページ:nozomi-g


茂来山 (1717.8m 長野県南佐久郡佐久穂町・小海町)(1)(往 路)

2016-09-26 21:01:29 | 登山・ハイキング

長野県内も台風の影響で雨が続くなど、このところ週末に山へ出かける段取になりませんでした。9月24日(土)は、午前中曇りという予報なので、眺望は期待できないだろうけど、大きなトチノキの「コブ太郎」を見てみたいので、佐久穂町の茂来山(もらいさん、標高1,717.8m(「いないいないばー」と語呂合わせする人もいるようです。)に 出かけてきました。

「コブ太郎」までは、公園といってもいいくらい道がよく整備され、傾斜も緩くて散歩といった感じです。その上は、傾斜がいくらかきつくなりますが、山頂まで近いので、苦になりません。水が大分出ていて、ぬかるみに足を入れた箇所もありましたがたいしたことはなく、白いトリカブトの花も見ることができ、楽しい登山でした。

【行 程】

(登山口まで)

長野市自宅5:10~霧久保沢駐車場7:00 (長野IC~佐久南IC~国道141~国道299。途中佐久市臼田のコンビニで買物)

(登山)

霧久保沢駐車場7:10~登山道入口7:26~コブ太郎7:49ー7:54~尾根分岐8:37~茂来山山頂8:46ー9:22~駐車場10:37

(歩行時間 上り1時間32分 下り1時間15分 計2時間47分)

【往 路】

   

駐車場からの登り口。初めは林道を行きます。熊注意の看板があるので、鈴を鳴らしていきました。

   

しばらく行くと車止めがあります。

   

林道、登山道ともに沢に沿っています。

   

右に進みます。右の道に入ってすぐの土手に道標がありますが、進行方向ではないのでわかりません。

   

雨の影響で、橋が水びたしでした。靴が泥にまみれてしまいましたが、なんとか通過。

   

手前左手は広場のようになっています。ここで林道から登山道へ入ります。茂来山へ2.0kmの表示がありました。

   

登山道を歩き始めてすぐに、駐車場からコブ太郎までの中間点の表示があります。

   

たまに道標があります。道は歩きやすいです。

   

川の水があふれていて、本来の道は通過できませんでした。左に進んで石伝いに渡りました。

   

   

周囲は細い木もありますが、間伐もされているようで、明るい林内です。

   

コブ太郎まで500mの表示。

   

小川を渡ります。水がやはり多かった。

   

標高が高くなってきて、植林された山ではなく天然木の林の中を歩きます。

   

コブ太郎は、右へ少し下りたところでした。

   

日本「森の巨人たち百選」に選ばれたトチノキ「・コブ太郎」。樹高:22m、幹周:531㎝、樹齢:推定250年。

   

   

登山道に戻って、山頂を目指します。

   

岩がところどころ出ています。

   

登山道の脇にありましたが、こちらも大きかった。

   

沢を上がっていきます。

   

霧久保沢と「霧」とつくだけに霧が出て、幻想的な光景でした。

   

上の方が明るくなってきて、もうじき尾根のようです。

   

槇沢コースとの合流すぐ手前です。

   

両コースの尾根分岐。

   

左に折れて、尾根道を行きます。

   

アップダウンは少しありますが、気持ちのいい尾根道でした。

   

山頂が見えてきました。

   

山頂に到着。 

   

浩宮様の登山記念の碑。

   

三角点。

   

眺望は無理でした。

   

山頂から一段下がった広場に登山記念の署名簿があったので、僕も記帳してきました。

    

昼食には早いので、おやつにアンコロ餅を食べました。

   

待ってみたのですが、ほとんど周囲の山は見えないので、下山することにしました。

(2)へ続きます。(2)では、【復路、であった花、十石峠、温泉】について記します。