安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

アドリアーノ・バッスィ著 入江珠代訳 「オーケストラと指揮者」

2016-02-29 21:54:25 | 読書

最近、クラシックを再び聴くようになり、オーケストラのコンサートに出かけています。以前のように土日出勤や平日夜の宴会が多く入るといったことがないので、コンサートに足を運びやすくなりました。管弦楽を聴いていると、指揮者のことが気になるので、長野市立図書館で「オーケストラと指揮者」(音楽之友社)という本を借りてきて読んでみました。

   

著者のアドリアーノ・バッスィは、この本の出版がされた2000年当時においてイタリア国内外で活躍している指揮者、ピアニストだそうです。内容は副題にあるように「指揮者のスタイルと役割の変遷をたどる」というもので、目次は次のとおりです。

第1部 オーケストラの歴史
オーケストラとは・移りゆくオーケストラ・楽器・舞台の袖から中央へ
第2部 指揮者列伝
指揮者たちの流れ・過去の音楽を再評価した指揮者たち・変化と意欲をもたらし続ける指揮者たち

(感想 気になったところを記します)

オーケストラの歴史や指揮者の登場から現代までを概観できます。オーケストラは、オペラの伴奏から始まったということは知っていましたが、オーケストラが大型化し、楽器編成を整えていくのに、モンテヴェルディ(1567~1632)やリュリ(1632~1687)の役割が大きかったことを初めて知りました。

著者がオーケストレーションで高く評価している作曲家は、ウェーバー(1786~1826)やエクトール・ベルリオーズ(1803~1869)、ワーグナー(1813~1883)などですが、ウェーバーについて言及しているのが新鮮でした。彼は、オーケストラの配置を現在に近いものとしたり、指揮棒を初めて用いたことでも知られていますが、オーケストレーションが優れたものとのことです。

『舞台の袖から中央へ』の章では、指揮者が1600年代や1700年代は、チェンバロやオルガンに座って指揮をとり、しかも配置が端でした。ピアノ協奏曲の弾き振りは現代でもありますが、端にあったのではあまり役に立ちそうにないですね。『オーケストラの指揮者とは』の中では、総譜の重要性と、リハーサルの重視が挙げられています。早さや強さの記号もそれぞれの指揮者で解釈が異なり、そのあたりから同じ曲でも指揮者によって演奏が異なるということが実感として納得させられました。

   

1786年、ナポリ、サン・カルロ劇場の楽器配置。カぺルマイスター(指揮者)は左端。チェンバロは右端に配置されています。

   

1791年、ハイドンの作品を演奏するロンドンのオーケストラの配置。全員聴衆に向いています。

   

現代の配置。先日の大植英次指揮群馬交響楽団の「ブラームス交響曲第1番」では、ベースがこれとは逆に左側に配置されていました。珍しい編成かもしれません。

『指揮者列伝』はいろいろな指揮者の個性などにも言及し、興味深いです。カラヤンやフルトヴェングラー、トスカニーニはもちろん、著者はイタリアの人らしく、自国のヴィクトール・デ・サバタ、ジャナンドレア・カヴァッツェーニ、カルロ・マリア・ジュリーニらを取り上げています。小澤征爾も登場するのが日本人としては嬉しいところです。

大編成だと100人にもなる集団を動かす指揮者の仕事はすごいものだと改めて感じ入りました。


デューク・エリントン DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE

2016-02-28 10:00:12 | ピアノ

映画「アメリカンハッスル」のDVDを借りてきて観ました。収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を映画化したものです。1979年、カジノタウンとして開発中のアトランティックシティにおいて、詐欺師のローゼンフェルドを逮捕したFBI捜査官のディマーソは、司法取引で捜査に協力させ、偽のアラブの大富豪をエサにしたおとり捜査によって、カジノの利権に絡んだ大物汚職政治家たちを逮捕していくという粗筋です。詐欺師とその相方の女性が出会う場面でデューク・エリントンのレコードが使われています。

DUKE ELLINGTON (デューク・エリントン)
DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE (impulse! 1962年録音)

   

エリントン名のアルバムにしましたが、コルトレーンの演奏にかなりスポットをあてているものです。1962年にコルトレーンはインパルスレーベルで、「Coltrane」、「Ballad」、そしてこのアルバムを作っていて、プロデューサーの依頼もあってかポピュラーな曲も演奏されています。その中で、エリントンの曲を主に演奏したこれは、コルトレーンが長いソロもとっていて、聴きごたえのある傑作として知られいます。

メンバーは、デューク・エリントン(p)、ジョン・コルトレーン(ts)、ジミー・ギャリソン(b)、アーロン・ベル(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)、サム・ウッドヤード(ds)。ベースとドラムスが曲により変わりますが、エルヴィンが入っているとコルトレーングループのサウンドになり、ウッドヤードだとエリントン寄りになるのでその変化も面白いです。

曲は、エリントン作が「In A Sentimental Mood」、「Take The Coltrane」、「Stevie」、「Angelica」、「The Feeling of Jazz」の6曲にビリー・ストレイホーン作「My Little Brown Book」とジョン・コルトレーン作「Big Nick」。「Take The Coltrane」は、このセッションのためにエリントンが作った曲。曲の提供からだと、まさにエリントンとコルトレーンの共演といっていい内容です。

コルトレーン(ts)とエリントン(p)の組み合わせがうまくいった素晴らしい作品。「In A Sentimental Mood」は、エリントンの傑作曲ですが、コルトレーンとエリントンの共演は旋律の美しさを際立たせて感動的。「Take The Coltrane」で、コルトレーンのソロの間、エリントンはピアノを弾くのをやめています。この長いコルトレーンのソロは静かな中に緊張感があって、聴きものです。「My Little Brown Book」は、ジョニー・ホッジス(as)のフューチャーナンバーですが、エリントンの絶妙なイントロに導かれたコルトレーンのテナー演奏ににうっとりします。自分の部屋で深夜にかけることが多かったアルバムです。

【映画 アメリカン・ハッスル】

サスペンス兼コメディーといった内容で面白かったです。

     

   

ブレスレットにエリントンの顔が見えます。

   

エリントンのレコードを聴いている場面。


春からの登山に備えて、初心者用学習本とスパッツを買いました。

2016-02-26 20:55:56 | 登山・ハイキング

冬の間は、低い山へ一人で出かけていましたが、ほとんど何も考えずに上っていたので、このあたりで、基本的な登山やトレッキングの勉強をしようと「今日からはじめる山歩き」(JTBパブリッシング発行)を買いました。

   

目次を確認して、この本にしたのですが、第2章「山歩きの装備」では、「ザックのパッキングと背負い方」や「山歩きに必要な小物」、第3章「山歩きの基本技術」では「下り坂の歩き方」や「ガレ場とザレ場の歩き方」、第4章「地図とコンパスの使い方」あたりはかなり参考になりそうです。基本的なところを押さえて、春からの登山を楽しいものにしていきたいと考えています。

それから、登山用品の「スパッツ」を石井スポーツのバーゲンで買いました。僕のブログで、子檀嶺岳(こまゆみだけ)の記事を読んだくださったSさんから、積雪のあるところやぬかるみではスパッツが役に立つと言われたので、購入したものです。冬季専用は厚手のものがよいそうですが、積雪が少なければオールシーズン用の薄くて短いタイプでいいとお店の方に言われたので、それにしました。

   

「PAINE」は、石井スポーツのオリジナルブランドです。ゴアテックスのものなので、汚れを防ぐほか、防水機能が期待できます。収納用の袋に入れたところです。

   

袋から取り出して広げてみました。

   GORE-TEX ライトスパッツ ショート 
装着するとこういう感じになります。(モンベルのホームページから転載)

こうして、登山やハイキングの道具が少しずつ揃ってくると、山にまた出かけたくなります。次は、いいウェア(上着)やヘッドランプ、コンパスがほしくなっています(笑)。


ヘレン・メリル ジャンゴ

2016-02-24 20:54:28 | ヴォーカル(E~K)

2月14日のバレンタインデイのチョコレートは、家族からのものは別として、いまやもらう機会はほとんどありません。が、いただくと嬉しいものです。たまたま14日に立ち寄った松本市の喫茶店「ピーナッツ」の女性マスターからいただきました。たまに寄るだけなのに、サービスをしてもらったという驚きもあって、ちょっと感激しました。大人のバレンタインに相応しいアルバム。

HELEN MERRILL (ヘレン・メリル)
ジャンゴ (TRIO 1976年録音)

   

ヘレン・メリルは、1960年に初めて日本を訪れたのち、63年、65年、67年と来日しています。67年の来日の際に、UPI通信社のドナルド・J・ブライトンさんと結婚して1972年まで日本で過ごし、帰国しています。米国に戻ってからは歌手として活動をしていませんでしたが、75年から歌い始め、76年5月にトリオレコードにこのアルバムを吹き込みました。ジョン・ルイス(p)との双頭アルバムで、ルイスのピアノ伴奏だけで歌った曲もあります。

メンバーは、ヘレン・メリル(vo)、ジョン・ルイス(p)、リチャード・デイビス(b)、コニー・ケイ(ds)、ヒューバート・ローズ(fl)。ジョン・ルイスは、このアルバムでもクラシカルな落ち着いた演奏をしていてます。また、3曲に参加したローズも本来のフルートらしい美しい響きを出していて、室内楽的にも聴けるアルバムです。

曲は、ジョン・ルイスのオリジナルが、「Django」(ジャンゴ)と「The Singer」、あとはスタンダードで「I Didn't Know What Time It Was」(時さえ忘れて)、「Angel Eyes」、「Close Your Eyes」(瞳を閉じて)、「Alone Together」、「Yesterdays」、「How Long Has This Been Going On?」(いつの頃から)、「Mad About The Boy」の9曲。スタンダートも楽しみですが、「Django」に興味が湧きます。

「Django」(ジャンゴ)では、メリルはヴォーカリーズで歌い、細やかで雰囲気がよく出ています。また、ルイス(p)のソロも滑らかで、抒情が感じられます。メリルとルイスのデュエットによる「Angel Eyes」は、後ろ髪をひかれるような歌詞がよく表現されているようで、印象的なトラックになっています。「Close Your Eyes」は、ドリス・デイの歌が好きなのですが、これはそれに劣らずいい仕上がりで、メリルの歌に加え、ヒューバート・ローズ(fl)のオブリガートが美しく効果的です。「Yesterdays」もルイスとのデュエットで、メリルの声がクールに響き寂寥感が漂っています。

【いただいたチョコレート】

   

家族からのものです

   

こちらは喫茶店「ピーナッツ」でいただいたもの。美味しかった。


KABO (カーボ) (宮城県仙台市)

2016-02-22 20:33:31 | ジャズ喫茶

先月、仙台に宿泊した際、ジャズバーの「ADLIB」に行き、その記事は先日アップしました。そこからホテルの帰り道に「KABO」(カーボ)を覗いてみたら、ライブが行われていたのでついついよってみました。「KABO」は学生時代に入ったことのあるお店なのですが、当時は照明がぐっと暗かった記憶があり、お店のありようは定かではありません。

   

お店の場所は、一番町を横に入った狭い路地に面しているので、若干わかりにくいです。ジャズ喫茶「カウント」の近くなのですが、迷ったらお店に電話した方が早いと思います。店内は広くありませんが、テーブル席とカウンター席があり、カウンターの上にはレコードジャケットが飾ってあっていいムードです。スピーカーは天井から吊るしてありましたが、僕の使っているものと同じくJBL4425のようでした。

   

   

   

当日の出演者は、斉藤俊介(p)、沢野源祐(tp)、勝野宣男(b)、阿部憲之(ds)。地元のミュージシャンの皆さんだと思われますが、オーソドックスなフォービートで、それぞれのソロも楽しめました。「Love For Sale」やシダー・ウォルトン作「Special Feeling」(シダー作の曲名はうろ覚えです。)といった曲が演奏され、リーダーの斉藤さんは、シダー・ウォルトンの曲にも挑戦していると話していました。シダー・ウォルトンの名前が出てきたので僕は喜びました。

    

    

KABO(カーボ)は、基本的には営業日の午後8時30分からはライブです。ランチタイムなど昼間の営業もあるので、もし機会があれば、次回はレコードやCDで音楽を聴ける時間に入り、オーディオでジャズを楽しんでみたいものです。

【KABO(カーボ)】

住所:宮城県仙台市青葉区一番町四丁目5-17 
電話:022-261-3792
営業:11:30~14:30 、18:00~25:00
ホームページ:kabo Homepage