今年は、四阿山、妙高山、苗場山という比較的高い山に登ることができました。連れて行ってもらったというのが正確なところですが、その際に、「日本百名山」だから混んでいるかもしれないといった会話を交わしました。「百名山」はどこで決めたのか最初疑問だったのですが、それは深田久弥さんが書いた「日本百名山」という本に登場する100の山のことでした。そこで、遅ればせながら、その本を手に取ってみました。
著者の深田久弥(1903~1971)さんは、石川県生まれの文筆家で、最初小説を書いていて「文学界」の創刊に携わり、戦後は、ヒマラヤの研究や山岳紀行など多数の本を書いています。中でも、「日本百名山」は、1964年に読売文学賞を受賞した作品で、登山に関心のある人ならたいていの方は読んでいるかもしれません。
驚いたのは、文学的な表現力がすごく、山に関連したボキャブラリーが豊富なことです。写真はそれぞれの山に一枚で、文章で山の様子や歴史を語っています。文章が生き生きとし、次第にこの山にも、あちらの山にも登りたくなってきます。
100の山のうち、日ごろ目にしているのが、北アルプスの「常念岳」なので、その章はことに興味深く読みました。文章を引用すると、『金字塔と呼ばれるにふさわしい山はわが国にいくつも数えられるが、その最も代表的な一つとして常念岳が挙げられよう。』と記しています。こんな文章を目にすれば、来年は登ろうと思わずにはいられません。
また、『山にはそれぞれ御ヒイキがある。常念には若い勇敢なクライマーを誘き寄せる岩壁や困難な沢はないが、その美しい形をもって、芸術家気質の人々を惹きつける。画家や写真家に、この山は多くの材料を提供してきた。その一例として、私は田淵行夫さんの写真集「尾根路」を思い出す。』と記しています。確かにこの山の形は優雅で、芸術家はもちろんそうでなくとも惹きつけるものがあります。
今年(2015年)7月に、安曇野市の自宅近くから撮影した常念岳です。拡大してあります。
今年は百名山のうち、はじめに挙げた三つの山に登ることができました。来年は、深田久弥さんが『雨飾山という名前も気に入った』と書いている雨飾山(あまかざりやま)や『しかしよく見ると火打は立派な山である。その悠揚とした姿にすっかり惚れてしまった~』とある火打山、そして常念岳と、この3つの山には登りたいと考えています。
来シーズンに備えて冬の間は、ウォーキングや里山への登山などを行い、体調の維持を図るつもりです。この本は、ガイドブックの役割も果たしているので、山や自然が好きな人向けですが、文章の格調が高く描写力が優れているので、それだけでも一読する価値があります。
【日本百名山リスト(目次)】
目次をスキャンしました。長野県内や隣接している県に所在する山には、難しいところを除いて登りたいと考えています。