安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ロイ・エアーズ WEST COAST VIBES

2011-10-30 17:08:00 | ヴァイブ、オルガン他

今朝は、まだ暗い午前6時から10人程が参加して、近くの公園(長野市の児童遊園)の清掃をしました。草取りや、落ち葉集めをしたのですが、男性の参加は数少ないので、僕は、スコップで穴を掘り、集めた落ち葉を運んできて、穴に入れて土を被せるというややハードな作業(笑)を今回も行いました。土を掘り返してみると、近くに埋めた去年の落ち葉は既にほとんど分解されて土に還っていました。自然の力は凄いものです。今夜は幅広い音楽性をもっているミュージシャンのデビュー作を聴いてみます。

ROY AYERS (ロイ・エアーズ)
WEST COAST VIBES (United Artists 1963年録音)

 Westcoastvibes

東芝EMIから定価999円で、最近発売されているJAZZ名盤シリーズは、ラインナップが充実していて、手に入りにくかった作品が含まれていて、ありがたいものです。1970年代以降は、フュージョンやジャズ・ファンク色の濃い路線で活躍するロイ・エアーズ(ヴァイブ)ですが、彼のデビュー作が、その中に含まれていたので、ゲットしました。タイトルは、エアーズの活動の場をとって「ウエスト・コースト・ヴァイブス」としたものでしょう。

ロイ・エアーズ(vib)、カーティス・アミー(ts,ss)、ジャック・ウィルソン(p)、ビル・ブラマー(b)、トニー・バズレー(ds)で5曲、エアーズ、ウィルソン、ヴィクター・ガスキン(b)、ケニー・デニス(ds)で5曲の計10曲が演奏されています。エアーズの他に、なんといってもジャック・ウィルソンのプレイが注目されます。

曲は、エアーズの2作品「Sound And Sense」と「Ricardo's Dilemma」、パーカーの「Donna Lee」、モンクの「Well You Needn't」、ベニー・ゴルソン作「Reggie of Chester」、J・ウィルソン作「Out Of Sight」に、スタンダードの「Days Of Wine And Roses」(酒とバラの日々)、「It Could Happen to You」、「Young and Foolish」、そしてこのアルバムのプロデューサーでもあるレナード・フェザー作「Romeo」で全10曲。非常にバラエティに富んだ選曲です。

「Sound And Sense」は、躍動感、グルービーさがあり惹きつけられます。「Days of Wine And Roses」は、ボサノヴァで奏され、ヴァイブが柔かいサウンドを出していて心地よく、「Romeo」は、テンポの遅いバラードで、後を引くような長い音を使ったヴァイブ・プレイに浮遊感が出ています。モンクの「Well You Needn't 」は、短いながらエアーズとウィルソンがスイングしまくり、意外な拾いもの。全体にカルテットによる演奏が面白く、欲を言えば、J・ウィルソン(p)のソロをもう少し聴きたいところでした。


クレア・マーティン OLD BOYFRIENDS

2011-10-26 23:04:00 | ヴォーカル(A~D)

秋が深まってきました。早く帰宅して音楽を聴いたり、読書をしたいところですが、なかなかそうはいかないのが、辛いところです。今日は早く帰れたので、ヴォーカルを聴こうと、そのお伴にパラパラとページをめくる本も取り出しました。馬場啓一著「ジャズボーカルにくびったけ」とScott Yanow著「The Jazz Singers」です。どちらもガイドブックですが、後者は多数の歌手を網羅していて参考になります。前回に続き、イギリスの人です。

CLAIRE MARTIN (クレア・マーティン)
OLD BOYFRIENDS (LINN 1994年録音)

  Oldboyfriendsclairemartin

クレア・マーティンは、英国を代表する女性ヴォーカリストの一人で、第1作の「The Waiting Game」がよく知られていますが、第3作目に当たる「Old Boyfriends」も、内容がジャジーで、ジャケットも素敵なので、僕は気に入っています。レーベルは、LINNですが、オーディオ製造会社とばかり思っていたので、レコードを初めて見た時には、ソフトも作っているのだと感心しました。

18歳でプロとしての活動を始め、2年間、クイーン・エリザベス二世号のクルーズにレギュラーとして出演し、その際にレパートリーを確立していったようです。そして、1991年にLinn Recordsと契約し、同レーベルから作品を出し続けています。本アルバムの伴奏は、Steve Melling(p)、Arnie Somogyi(b)、Clark Tracey(ds)。曲により、Mark Nightingale(tb)、Jim Nullen(g)が加わります。

収録曲は、「When The Sun Comes Out」、「Close As Pages In A Book」、「Partners In Crime」、「Chased Out」、「Moon Ray」、「Old Boyfriends」、「Out Of My Continental Mind」、「I've Got News For You」、「The Wheelers And Dealers」、「I Was Telling Him About You」、「Gentleman Friends」、「Killing Time」の12曲。レパートリーが広く、ここでも比較的珍しい曲も収録しています。

彼女の声は、聴きやすく透明感のある癖のないものです。アップテンポでは、よくスイングし、乗りのよいところみせ、「When The Sun Comes Out」や「Moon Ray」は、トロンボーンやピアノのソロも入り、ジャジーです。じっくりとささやくように歌われる「Close As Pages In A Book」や「Old Boyfriends」は、佳曲だと思わせてくれますし、D・フリシュバーグ作「The Wheelers And Dealers」は、ギターも入り、華やかでかっこよく歌われます。

【ヴォーカルの参考本】

馬場啓一著「ジャズボーカルにくびったけ」 (シンコー・ミュージック) 

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Scot Yanow著「The Jazz Singers」」(BackbeatBooks)

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タビー・ヘイズ MEXICAN GREEN

2011-10-23 19:05:17 | テナー・サックス

先週の火曜から昨日まで、香港とマカオに行ってきました。どちらも、ビルが林立し、光に彩られた夜景が美しい街です。しかし、ジャズはあまり盛んではなく、演奏を聴かせるお店もありますが、マイナーな存在のようです。街は活気に溢れていて、観光や貿易などで、中国本土からはもちろん、世界中から人が集まってきています。10月は観光シーズンでもあり、街は人で溢れていて夜遅くまで喧騒状態が続いていました。その中を動き回ったので、いささかくたびれました。香港は英国領だったので、英国のミュージシャンの作品。

TUBBY HAYES (タビー・ヘイズ)
MEXICAN GREEN (Fontana 1967年録音)

 Mexicangreentubbyhayes

香港でCDを置いてあるお店を覗いてみたのですが、ジャズの品揃えはわずかでした。中国語(広東語)の会話を聴いていると、強調が続く喋り方で、ヴォーカルの歌詞は乗りにくいと感じます。歌のないインスト系音楽は一般的に受けないようですが、香港ではジャズフェスティヴァルも開催されているし、将来は変わる可能性があるかもしれません。

タビー・ヘイズですが、英国のテナー・サックス奏者として日本でも知名度をもっていると思います。本来は、メインストリーム系のミュージシャンですが、60年代に進歩的な演奏も行い、残した作品の一つがこれです。サイドメンを新たにし、モード系奏法を取り入れています。当時、それは人気を呼んだようなので、英国には新しいものを受け入れやすい土壌があったのでしょう。

メンバーは、タビー・ヘイズ(ts)、マイク・コバン(p)、ロン・マシューソン(b)、トニー・レヴィン(ds)。曲は、「Dear Johnny B」、「Off The Wagon」、「Trenton Place」、「The Second City Steamer」、「Blues In Orbit」、「A Dedication to Joy」、「Mexican Green」の7曲。すべてヘイズの自作で彼の意気込みが反映されています。レヴィンをはじめとした、リズム陣のプレイも気になります。

一週間くらいジャズを聴いていなかったせいもあり、このアルバムは随分と新鮮でした。「Dear Johnny B」、「The Second Steamer」や「Mexican Green」では、ヘイズ(ts)をはじめメンバー全員が力強い演奏を繰り広げ、特に「Mexican Green」はエキサイティング。特筆すべきは、サイドメンのレベルの高さで、レヴィン(ds)の切れのよいドラムスやパイン(p)の刺激的なピアノに爽快感を感じます。優しい曲調の「Trenton Place」では、ヘイズはフルートを吹き、レヴィンのブラシによる小技が冴えます。

【香港とマカオの光景】

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   午後10時頃のピーク・タワー屋上からの香港市街地眺望

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     香港の二階建て路面電車。移動に2~3回使いました。

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         観光客の多いマカオ市街地

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      マカオの夜景。大きな建物は、ホテル兼カジノ   


ハンク・モブレー HANK MOBLEY

2011-10-16 19:28:43 | テナー・サックス

会社を早期退職して、行政書士事務所を開設したという内容の葉書が友人から届きました。僕らもそういう年齢になったのだという感慨を持つと同時に、退職後に事務所を構えて仕事を始めるという心意気とバイタリティには感服しました。その友人もジャズファンで、二人で有楽町のジャズスポット「スイング」などに出かけたことが思い出されます。彼もハード・バップ・ファンなので、定盤を聴いてみます。

HANK MOBLEY (ハンク・モブレー)
HANK MOBLEY (BLUE NOTE 1957年録音)

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ハンク・モブレー(ts)は、ハードバップファンに人気のあるテナー・サックス奏者の一人で、「Soul Station」や「Dippin'」が代表作に挙げられます。このアルバムは、メンバーがやや地味なためか、あまり話題にならない気がしますが、ことにLPでいうとA面に楽しみどころが多いので、手元に置き続けている一枚です。

モブレーの演奏は、ゴリゴリ一辺倒ではなく、ゆったりと音楽が味わえるところが気に入っていますが、アルバム中にスタンダード曲や自作品でも哀愁味のあるメロディの曲を収録しているのもまた嬉しいところです。ここでは、ロジャーズ=ハートの「Falling in Love With Love」(恋に恋して)をやっています。

メンバーは、モブレー(ts)、カーティス・ポーター(as, ts)、ビル・ハードマン(tp)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。曲は、ポーター作「Mighty Moe & Joe」に「News」、スタンダードの「Falling in Love With Love」(恋に恋して)、ミルト・ジャクソン作「Bags' Groove」、そしてモブレーの「Double Exposure」の5曲。

ポーター(as、ts)は、「Mighty Moe & Joe」をはじめ、力強いプレイをしており、リーダー作を残していないのが惜しく感じられます。「Falling in Love With Love」は、ハードマン(tp)がテーマを柔かく吹き、モブレー(ts)のソロは、曲のムードをよく捉えています。モブレーの間の取り方には、レスター・ヤングの影響が感じられます。「Bags' Groove」では、ソニー・クラーク(p)が、テーマに絡む伴奏を、彼独自の重いタッチでつけていて、出だしから素晴らしい。久しぶりに聴いてみて、本盤への愛着を深めました。


ビル・チャーラップ BEGIN THE BEGUINE

2011-10-12 20:36:49 | ピアノ

10月の9~10日は、安曇野市のお祭りでした。ありがたいことに、今年も父と二人で神社にお参りに行くことができました。たまには親孝行だと、「信州プレミアム牛肉」という高めのお肉を買っていって、信州牛のすき焼きを作りました。味はよかったのですが、肉がやや硬くなってしまい、料理は難しいものです。コール・ポーターの名曲をどう料理しているのか聴いてみました。

BILL CHARLAP (ビル・チャーラップ)
BEGIN THE BEGUINE (VENUS 2005年)

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本来のリーダー名義は、「ニューヨーク・トリオ」ですが、これは契約の関係からそういう名前が冠せられたもので、ビル・チャーラップ・トリオと呼んで差し支えないものでしょう。ニューヨーク・トリオは、ヴィーナス・レーベルのための、スタジオ録音用のトリオで、メンバーは、ビル・チャーラップ(p)、ジェイ・レオンハート(b)、ビル・スチュワート(ds)。

スイング・ジャーナル選定ゴールドディスクなので、ゴールドディスク嫌いな僕は、はじめ全く食指が動かなかったのですが、ビル・チャーラップの他の作品にいいものがあるので、とりあえず買っておいたものです。熱気やスリルには遠い演奏ですが、リリカルさ、品のよさ、寛ぎを求めるなら、買ってもいい作品かもしれません。

曲は、コール・ポーター作曲の大スタンダードばかりです。「You'd Be So Nice To Come Home To」、「My Heart Belongs to Daddy」(私の心はパパのもの)、「So in Love」、「Begin The Beguine」、「I Love Paris」、「From This Moment On」、「Just One of Those Things」、「Easy to Love」、「Every Time We Say Goodbye」の9曲。

チャーラップは、単音や厚くない和音で旋律を繊細に綴っていきます。ちょっと聴くと、クラシカルなタッチや和音かと思わせられるような箇所も現れます。中でも「So In Love」は、ゆっくりしたテンポで美しいテーマと幻想的な展開をみせます。「You'd Be So Nice To Come Home To」や「Easy To Love」など軽くスイングする演奏も含まれおり、心地よいスタンダード集という面ももちろんあります。

【犀宮神社境内 船】

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このあたりでは、お祭りには船を引きます。道路上は危険ということで、境内への備え付けになってしまいました。船の中では太鼓や鐘、笛でお囃子が奏されます。今年の飾りつけは、巴御前です。

【2011年秋 収穫後の田】

  2011karitori
はぜかけをして、乾燥させています。現在は、コンバインによる収穫が主流なので、たまにしか見かけません。