北陸新幹線が、今年3月金沢まで開業しましたが、それを契機にオーケストラ・アンサンブル金沢が長野市など長野県内で公演を行うようになりました。不定期ですが、長野県の音楽愛好家にとっては、嬉しい開業効果です。その初めての演奏会が6月23日に行われたので聴いてきました。
指揮:井上道義
ヴァイオリン:五嶋みどり
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
会場:長野県民文化会館(長野市)
ロッシーニ作曲歌劇「シンデレラ」序曲
シューマン作曲「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 WoO.23」
ブラームス作曲「交響曲第2番 ニ長調 op.73」
本公演に先立ち、室内楽のロビーコンサートも行われて、サービス精神が旺盛でした。
ロッシーニの歌劇シンデレラ(チェネレントラ)序曲からコンサートが始まりましたが、最初ヴァイオリンの音が固くて、あまり調子が出ていないように感じましたが、次第に乗ってきて最後のほうはまとまりもありました。
シューマンのヴァイオリン協奏曲は、第1楽章の出だしから、メランコリックな音の重なりが続きます。その間をぬって、独奏ヴァイオリンが登場しますが、五嶋みどりの情念を込めたような力強い演奏は素晴らしく、すぐに彼女のソロに耳が釘付けになりました。やはり世界の一流奏者だけのことはあります。ゆるやかな第2楽章を経て、第3楽章は幾分華やかなヴァイオリンソロが続き、オーケストラと一体になって閉じました。
休憩をはさんで、後半はブラームスの第2番。本来は、室内オーケストラである、アンサンブル金沢は、この曲では弦やホルンを中心に20人近く客演奏者を入れています。したがって、本来のアンサンブル金沢かどうかは、よくわかりませんが、井上道義の指揮のもとにかなりよい演奏をしたと思いました。第1楽章の、ヴァイオリンとチェロによる第2主題が、ちょっと憂いを帯びていて、大好きなのですが、この部分が柔らかく美しく演奏されていて、もうそれだけで満足しました。メリハリはつけているものの、全体に優しい演奏でした。この曲は、名曲です。
かなり満足したコンサートでした。12月には、マルク・ミンコフスキ指揮で、シューマンの4つの交響曲が2日間にわたり演奏されるコンサートが金沢で予定されていますが、今日の演奏を聴いていたら行きたくなりました。