安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ベニー・グリーン IN THIS DIRECTION

2014-07-30 22:19:36 | ピアノ・トリオ

先週、久しぶりに東京へ行ったので、合間に、秋葉原と御茶ノ水に寄りました。秋葉原では、7月20日に新装オープンした「ラジオ会館」に入っているオーディオ店「インパルス」でローテルとアコースティック・エナジーの製品を試聴しました。面白かったのは、DAコンバーターで、CDの音質が良い方に変化したことで、ちょっとほしくなりました。その後、御茶ノ水に移動し、ディスク・ユニオンの「JAZZ TOKYO」へ入り、中古のCDを数枚とLPを一枚購入しました。1年半ぶりくらいの訪問ですが、相変わらず在庫がたくさんあって、見飽きません。そこで買った一枚。

BENNY GREEN (ベニー・グリーン)
IN THE DIRECTION (Criss Cross Jazz 1988年録音)

   Inthisdirectionbennygreen

来日を重ね、日本でも人気の高いベニー・グリーン(p)の2番目のリーダー作です。グリーンは、10代からプロ活動をしていて、24歳でアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加し知名度がアップしたためか、クリス・クロス・レーベルが初リーダー作を録音し、次いで、このアルバムを作っています。既にキャリアを積んでいるためか、落ち着きのある印象の作品です。

メンバーは、ベニー・グリーン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、ルイス・ナッシュ(ds)。ベニー・グリーンについては、タッチが比較的重厚なことや、節回しなど、僕はバド・パウエルを思い浮かべることがありますが、ここでは、パウエルの曲を2曲、モンクのものを1曲選曲し、モダンジャズの巨人に敬意を表しているかのようです。

曲は、パウエルの「The Fruit」と「I'll Keep Loving You」、モンク作「Trinkle Tinkle」、ベニー・グリーンの自作「Dealin' With A Feelin'」、バスター・ウィリアムス作「Air Dancing」と「Toku-do」、ラリー・ウィリス作「To Wisdom, The Price」、そして、ヴァーノン・デューク作でスタンダードの「What is There To Say」の全8曲。バスター・ウィリアムスが2曲提供しているのが目立ちます。

初期の作品ですが、トリオのコンビネーションや、ジャズ・オリジナル主体の選曲がよく、まずまず楽しめました。最近は、軽めのタッチで早いパッセージを演奏するピアニストも多いですが、ベニー・グリーンは、やや重く落ち着いたサウンドによって旋律を歌わせ、詩的で美しい演奏をしています。そんな特徴はバラードの「What is There To Say」や「I'll Keep Loveing You」に窺えます。3人が白熱したプレイを繰り広げる急速調の「Dealin' With A Feelin'」やウィリアムス(b)とのコンビがよい「Toku-Do」なども面白い。

【In・Pulse (インパルス)】

所在地:東京都千代田区外神田1-15-16 秋葉原ラジオ会館 5階
ホームページ:インパルスホームページ

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7月20日新装オープンしたラジオ会館。フィギャア(人形)やカードのお店など、秋葉原ならではの異業種が多く入っています。外国人観光客の姿も目立ちました。

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インパルス店舗。

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試聴室。アンプやCDプレイヤー、DAコンバーターはローテル製品。スピーカーは、アコースティック・エナジーのものが大部分です。


ビル・エヴァンス BILL EVANS TRIO WITH MONICA ZETTERLUND SWEDISH CONCERT 1975

2014-07-27 09:55:19 | ピアノ・トリオ

安曇野市から長野市への帰り道、涼を求めて北安曇郡白馬村の「姫川源流自然探勝園」を訪れました。さのさかスキー場の近くで、スキーには何度か来たことがあるのですが、姫川の源流と親海湿原(およみしつげん)は初めてです。周りの木々はよく手入れされていて、風が吹きわたり気持ちのよい時間を過ごしました。また、親海湿原では、7月下旬に咲く代表的な花も見つけることができ、自然が残されていることに感謝しました。残っていることに感謝したいエヴァンスのライブ音源。

BILL EVANS (ビル・エヴァンス)
BILL EVANS TRIO WITH MONICA ZETTERLUND SWEDISH CONCERT 1975 (NOVADISC 1975年録音)

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ビル・エヴァンス(p)については、ライブなど、当時の契約レーベル以外からの音源がたくさん出されています。数が多く、音質も様々なので、よほど気になるものだけをたまに購入しています。そのうちの一枚が、このCD(JAZZHUSからの再発盤)で、ピアノ・トリオに加え、モニカ・ゼタールンド(vo)との共演が収録されています。ディスク・ユニオン発行の雑誌「Jazz Perspective」の最新号がモニカを特集しているので、それもあって、今回取り上げてみました。

メンバーは、ビル・エヴァンス(p)、エディ・ゴメス(b)、エリオット・ジグモンド(ds)というトリオに、10曲中6曲で、モニカ・ゼタールンド(vo)が加わります。これは、1975年2月のヨーロッパ楽旅中のスウェーデンにおけるライブ録音です。モニカとの録音は、1964年8月の「Waltz For Debby」(Philips)がよく知られていますが、このCDにも6曲が収録されていて、たっぷりと二人の共演をきくことができます。

曲は、ピアノ・トリオによるものが4曲で、「Sugar Plum」、「Sareen Jurer」、「Very Early」、「Gloria's Step」、モニカ・ゼタールンドの歌とエヴァンス・トリオの伴奏で6曲で、「Come Rain Or Come Shine」(降っても晴れても)、「What's New」、「It Could Happen To You」、「Once Upon A Summertime」、「The Second Time Around」、「Samba」の全10曲。トリオのものは、当時の代表的レパートリーが入り、歌の方はスタンダードです。

ビル・エヴァンス・トリオはもちろん、モニカ・ゼタールンドの歌も味わい深くて、音質が若干気にかかる点を補って余りあります。エヴァンス(p)は、快調で、「Sareen Jurer」では、出だしからイマジネーション溢れる展開を見せてくれますし、歌の伴奏でも「It Could Happen To You」におけるスイング感、「The Second Time Around」のソロにおける抒情美、そして、「Samba」のエンディングなど、とても伴奏とは思えません。モニカ・ゼタールンド(vo)もクール気味にバラードの「What's New」や「Once Upon A Summertime」などを歌っています。

【姫川源流自然探勝園(姫川源流、親海湿原)】

所在地:長野県北安曇郡白馬村神城佐野
案内ホームページ:白馬さのさか観光協会    

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姫川源流から水が流れ出しています。    

      
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姫川源流を山側の方から撮ったものです。


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親海湿原全体の様子。木の道が整備されています。

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サワギキョウと思われます。

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コオニユリが咲いています。   

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蝶です。種類は、メスグロヒョウモン      


ケニー・ギャレット INTRODUCING KENNY GARRETT

2014-07-23 21:43:34 | アルト・サックス

7月19日~21日の連休は、それまでの暑さのせいか調子がいま一つで、長野市と安曇野市でゆっくりとしていました。それでも、長野市から少し足を伸ばして、黒姫高原の童話館に行ってきました。ミヒャエル・エンデや松谷みよ子らの展示品があって、前から一度行きたいと思っていた場所です。童話館の裏手に保存されているいわさきちひろの黒姫山荘など、あたりの静かなたたずまいに気持ちが晴れやかで新鮮になりました。当時の新鋭のアルバム。

KENNY GARRETT (ケニー・ギャレット)
INTRODUCING KENNY GARRETT (Criss Cross Jazz 1984年録音)

   Introducingkennygarrett

アート・ブレイキー、フレディ・ハバード、マイルス・デイビスらと活動をし、現在では代表的なアルト・サックス奏者の一人となっているケニー・ギャレット(as)が24歳時に録音をした初リーダー作です。90年代以降のアルバムも持っていますが、最近では僕の年齢のせいもあるのか、いささか彼のアルトは強力過ぎてうるさく感じるので、取り出すのは、このあたりの初期のものです。

メンバーは、ケニー・ギャレット(as)、ウディー・ショー(tp)、マルグリュー・ミラー(p)、ナット・リーヴス(b)、トニー・リーダス(ds)。実質的には、ウディー・ショーのグループが、ケニー・ギャレットのリーダー作に協力したということでしょうが、当時の若手の有望株が揃っていて、充実したメンバーです。ギャレットの演奏からは、ちょっとエリック・ドルフィーの影をみることができると思います。

曲目は、ギャレットの自作が5曲で、「For Openers」、「A Silent Prayer」、「Oriental Tow Away Zone」、「Until Tomorrow」、「Reedus' Dance」、マルグリュー・ミラーの「Blues In The Afternoon」、スタンダードの「Have You Met Miss Jones」(ミス・ジョーンズ嬢にあったかい)と「Lover」で、全8曲。

ギャレット(as)は、ブルージーさや情緒的な感覚の薄い、フレーズ、音色で吹いていますが、音の切れ味や疾走感を楽しむにはよいです。また、ウディ・ショー(tp)の美しい吹奏も聴けます。1曲目の「For Openers」は、早いテンポで、小気味のよいトニー・リーダスのドラムスに乗って、ミラー(p)、ショー(tp)、ギャレット(as)と熱演が続きます。「A Silent Prayer」は、テンポの遅いバラードで、ギャレット(as)に加え、ミラー(p)の曲名通りのしみじみとしたプレイが印象に残ります。

【黒姫童話館 黒姫高原】

所在地:長野県上水内郡信濃町黒姫高原3807-30
電話:026-255-2250
ホームページ:黒姫童話館ホームページ

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黒姫童話館全景。右手の方が入り口になっています。

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ミヒャエル・エンデの本の展示。彼の作品では、映画にもなった「ネヴァー・エンディング・ストーリー」が最も有名でしょうか。

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いわさきちひろの黒姫山荘。童話館の裏手にあり、中が見学できます。

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童話館付近から見た黒姫高原。天気がいま一つです。

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童話館の駐車場のあたりからの北方向の景色。この高原は、秋のコスモスも有名です。


チャールス・ロイド OF COURSE, OF COURSE

2014-07-20 09:11:33 | テナー・サックス

この頃、松本市へ出かける機会が多く、先週の土曜日も行っていました。楽しみの昼食ですが、松本城近くの「かつ玄」でいただきました。同店は、昭和49年の開店以来、落ち着きのある店内で美味しいカツが食べられるので、お気に入りのお店です。長野市に住んでいる今でも、たまにですが立ち寄ります。同じ建物の2階は、ジャズバー(喫茶)の「エオンタ」(現在は午後4時からの営業)なので、夕方から、かつ玄で食事をして、エオンタで珈琲やお酒を飲むというコースもよさそうです。サクサクとしたリズムも楽しめます。

CHARLES LLOYD (チャールス・ロイド)
OF COURSE, OF COURSE (Columbia 1964, 65年録音)

   Ofcourseofcoursecharleslloyd

チャールス・ロイド(ts, fl)は、活動期間が長く、また音楽性が幅広くて、フュージョンやアヴァンギャルドにまで及びますが、僕が一番興味をそそられるのは、強力なリズム陣を擁してライブや録音を行っていた、1960年代半ばです。ハードバップベースですが、新しさも出ていて、飽きがきません。このアルバムもびっくりするようなメンバーで吹きこまれてます。

メンバーは、チャールス・ロイド(ts, fl)、ガボール・サボ(g)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)、アルバート・スティンソン(b)、ピート・ラロカ(ds)、ロビー・ロバートソン(g)。ロン・カーターとトニー・ウィリアムスは注目ですし、「Sun Dance」の1曲だけですが、ロックグループ「ザ・バンド」のロビー・ロバートソンが参加しています。

1964年の録音が、「The Song My Lady Sings」、「The Best Things For You」、「The Things We Did Last Summer」(過ぎし夏の想い出)、「One For Joan」、「Goin' To Memphis」の5曲。65年3月録音は、「Of Couse, Of Couse」、「Apex」、「Voice In The Night」、「Thrid Floor Richard」の4曲。以上の9曲は、カーター(b)とウィリアムス(ds)が参加。65年10月録音が、「Island Blues」と「Sun Dance」で、スティンソン(b)とピート・ラロカ(ds)が参加し、「Sun Dance」にはロバートソン(g)も参加しています。

飛び切りモダンで、刺激的なアルバムです。抒情的なメロディの曲があったり、テンポや音の強弱もかなり変化するものがあり、若干総花的ではありますが飽きません。チャールス・ロイドのフルートによる「Of Course Of Course」や「Third Floor Richard」は、軽快なところもあって楽しい。一方テナーによる、「The Best Thing For You」や「Apex」は、コルトレーンからの影響が色濃く感じ取れます。それにしても、トニー・ウィリアムスのドラムスはスリリングで、気持ちがよく、素晴らしい。

【かつ玄 松本市】

住所:長野県松本市大手4-9-7
電話:0263-32-2430
ホームページ:かつ玄本店ホームページ

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ランチタイムより遅い時間だったので、空いていました。

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ヒレかつ、海老フライ、穴子フライなど四味定食。美味でした。


高樹レイ LIVE AT JAZZLAND IN VIENNA

2014-07-16 22:07:00 | ヴォーカル(S~Z他)

300枚ほど持っているコンサート・ホール・ソサエティ・レーベルのレコードの整理をやっとし終えました。同レーベルは、1960~70年代にクラシックを中心に通信販売をしていて、新品で買ったものもありますが、大部分は、ジャケットの面白さに惹かれて、中古で購入したものです。ジャケット写真とデータをパソコンに保存し、実物は段ボール箱に保管しました。昨年、タワー・レコードから、その一部がCD復刻されたので、指揮者のカール・シューリヒトやピアニストのニキタ・マガロフのものなど僕も数枚購入し、懐かしい演奏に耳を傾けました。音楽の都、ウィーンで録音されたアルバム。

REI TAKAGI (高樹レイ)
LIVE AT JAZZLAND IN VIENNA (insights 2004年録音)

   Reitakagiliveatjazzlandinvienna

ウィーンのジャズクラブに出演した高樹レイ(vo)の伴奏を、ローランド・バティック(p)が行っていたので、発売と同時にバティック目当てに買ったアルバムです。ところが、すごいおまけがついていて、ゲイリー・フォスター(as)のプレイがよく、一気にファンの一人になりました。彼は、トリスターノの音楽を研究したようですが、明るい音色でよくスイングします。リー・コニッツ、ポール・デズモンドあたりを想い起しました。

メンバーは、高樹レイ(vo)、ゲイリー・フォスター(as)、ローランド・バティック(p)、ハインリッヒ・ヴェルクル(b)、アントン・ミュールホファー(ds)。ゲイリー・フォスターは、秋吉敏子オーケストラで活動していたので、僕も名前だけは知っていましたが、よく聴いたことがそれまでありませんでした。ローランド・バティックは、フリードリッヒ・グルダの弟子で、クラシック、ジャズの両方を演奏します。

曲はスタンダード。「Autumn Leaves」(枯葉)、「I Want to Talk About You」、「No Moon At All」、「Get Out of Town」、「The More I See You」、「Bagatelle」、「It Could Happen To You」、「It might as Well Be Spring」、「There Will Never Be Another You」(あなたなしでは)、「Evertime We Say Goodbye」(いつもさよならを)、「I Let a Song Go Out of My Heart」、「The Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)~Misty」、「You Don't Know What Love is」の全13曲。

ゲイリー・フォスターのアルトをフューチャーした「Autumn Leaves」と「It Could Happen to You」、バティックの自作でピアノトリオでプレイされる「Bagatelle」の3曲は聴きものです。とりわけ、「Autumn Leaves」は、暖かく、格調の高い演奏です。高樹レイの歌ですが、後半にいくにしたがい調子を上げているようで、伴奏も含めて、「There Will Never Be Another You」や「The Days of Wine and Roses」あたりが好調です。

【コンサートホール・ソサエティCDとLP】

左側がタワーレコードによる復刻CD、右側はコンサートホールソサエティのLPジャケット。   

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コンサート・ホール・ソサエティのLPジャケット例

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ピエール・ブーレーズ指揮「春の祭典」            ネロ・サンティ指揮「ヴェルディ合唱曲集」

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カール・シューリヒト指揮                      アンドレ・シルヴァーノ楽団
シューマン交響曲第3番                                               「夕暮れの音楽」