安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

タード・ハマー SWINGING ON A STAR

2019-03-31 20:03:07 | ピアノ・トリオ

本日で3月も終わりですが、今年の春は飛散している花粉の量が半端でなく、花粉症の僕にとってはつらい毎日が続いています。2週間ほど前には、風邪をひいてしまい、ダブルでやりきれない日々を過ごしました。こんな気分を一掃しようと取り出した軽快なピアノトリオのアルバム。

TARDO HAMMER (タード・ハマー)
SWINGING ON A STAR (CELLER LIVE 2017年録音)

   

バップに根差したピアニスト、タード・ハマー(1958年生)の4年ぶりのアルバムです。sharp nineレーベルにおける3作品については、拙ブログで取り上げましたが、これも曲目が渋めながら、バリー・ハリス、シダー・ウォルトンあたりを想起させるプレイは健在で、なかなか楽しめます。

メンバーは、タード・ハマー(p)、リー・ハドソン(b)、スティーヴ・ウィリアムス(ds)。3人はレギュラー的に活動しているのか緊密なプレイぶりです。収録曲の中にビリー・ストレイホーン作「Ballad for Very Tired and Sad Lotus Eaters」があり、同人作の「Isfahan」にムードが似ていますが、演奏されるのが珍しく、また、意味がよくとれない曲名です。

曲目はスタンダードとジャズオリジナルです。ギル・エヴァンス作「Gone」、チャールズ・デイヴィス作「Numero Uno」、ジミー・ヴァン・ヒューゼン作「Swingin on A Star」、G.Vergueiroという人の書いた「Samba Do Brilho」、バートン・レーン作「How are Things in Glocca Morra」、マイルス・デイヴィス作「Little Willie Leaps」、ハリー・ウォーレン作「I Found A Million Dollar Baby」、ビリー・ストレイホーン作「Ballad for Very Tired and Sad Lotus Eaters」、セロニアス・モンク作「Monk's Dream」の9曲。

タード・ハマー(p)の編曲、プレイともに生き生きとして、聴きごたえのある作品。「Numero Uno」は、一部サンバのリズムで哀愁味のある演奏が繰り広げられ、「Little Willie Leaps」は、アップテンポでハマー(p)のシングルラインのソロが小気味よい。おなじみの「I Found A Million Dollar Baby」は、跳ねるようなメロディが楽しく、ハドソン(b)のベース・ソロも躍動しています。バラードの「Ballad for Very Tired and Sad Lotus Easters」は、音の響きの変化が面白い繊細な演奏でした。

【新年度になるので職場を模様替え】

応接の床やカーテンがかなり汚れていたので、新しいものに変更しました。

造花なのですが、結構よく出来ています。春ヴァージョンにしました。

テレビとテレビ台も入れ替えました。

カーテンを替えると気分も変わります。柄もよいのですが、清潔感があります。


Albert(アルバート) (ジャズ喫茶・バー 東京都新宿区高田馬場)

2019-03-30 20:03:35 | ジャズ喫茶

米国の歌手フランク・シナトラのミドルネーム「Albert」を名前につけた、高田馬場のカフェ・バー「Albert」(アルバート)に初めて行きました。店主は、ジャズ批評誌にも執筆している志保澤瑠璃子(しおざわ るりこ)さんで、開店は2003年と既に15年以上も営業されています。以前、訪ねた時はお休みだったので、ようやく念願がかないました。

店内には、フランク・シナトラの写真などが飾られ、ヴォーカルが流れていて、特にジャズヴォーカルのファンにとっては、夢のようなお店です。志保澤さんから昨年来日したダリル・シャーマンの話を伺うなど、楽しいひと時を過ごしました。後から常連さんがおみえになりましたが、歌を歌われる方が多いようです。

右の建物の地下がお店です。早稲田通りをちょっと入ったところで、わかりやすい場所です。

   

階段を下りていきます。

看板に、coffe、Liquor、Jazz Vocalとあります。

   

入口の扉。シナトラが出迎えてくれます。

店内。

反対側にカウンター。

ドリス・デイなどシナトラ以外の歌手のポートレートもあります。

ピアノも置いてあって、ライブも催されたようです。右上に写っている写真は、シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイビス jrの三人組。

シナトラのレコードジャケットなども飾ってあります。「Pal Joy」は、エンターテイメント映画の傑作。

カウンターの上には、歌っているシナトラが。

レコードをかけてくれました。

ルー・アン・シムズの「at Separate Tables」。

カウント・ベイシーとアラン・コープランドシンガーズの共演。

ジョー・スタッフォードとフランキー・レインの10インチ盤。

ビールをいただきました。

おつまみもいろいろあって、トマト、大根と牛筋の煮込みをもらいました。トマトはちょっと食べちゃいましたけど、どちらもいい味です。

ビールの後はコーヒーにしました。クッキー付きです。

常連さんがだんだんとお見えになるようです。ヴォーカルを聴きながら、ゆったりと寛ぐのにうってつけのお店です。

高田馬場駅に向かう途中で、振り返って撮影。駅方向から早稲田通りを歩き、右に見える「オオゼキ」というスーパーを通過してすぐ右に折れたところにお店があります。

【Albert(アルバート)】

住所:東京都新宿区高田馬場3丁目12−11 河合ビルB1
電話:03-3364-1441
ホームページ:cafe & bar Albert (facebookです)


殿山泰司著・大庭萱朗編「殿山泰司ベスト・エッセイ」(ちくま文庫)

2019-03-29 20:04:15 | 読書

殿山泰司(1915~1989年)さんは、今村昌平や大島渚監督作品など多数の映画、テレビに出演した男優です。独特の文体で多くのエッセイを書いていますが、その中から文芸評論家・編集者の大庭萱朗さんがまとめたのが、この本です。生い立ちや交友といったプライベートな話題、軍隊、映画現場、ジャズやミステリーの話など、内容は広範に渡り、面白いものでした。

   

(ジャズの内容などに関した感想)

沖縄と京都のジャズ喫茶に入ってみて、『両方の店に共通していえることは、オレのように60ちかいジジイは一人もいなかったことである。いつものことだけど、さびしい!だから、アール・ハインズを聴きにいって、植草さんにうしろから声をかけられたときには、それはもう惚れている女にぱったり会ったごとく、~』

と、殿山さんは記してあり、いまさらながら当時(1972年)は、ジャズが若かったのだと愕然としました。現在は、ジャズ喫茶でもライブ会場でも中高年が主体で、若い人は少ない。そのうちに、聴く人がいなくなるのではないかと、そんな気もしています。

殿山さんはライブにもよく出かけていて、チック・コリア(p)やマッコイ・タイナ―(p)など来日ミュージシャンの公演にも出かけていますが、一番のお気に入りは、高柳昌行(g)グループのアヴァンギャルドなところだったようです。日本のミュージシャンの新しいところを実際に聴いている感性の柔軟性がすごい。

読書量も半端ではありませんが、ミステリのロバート・B・パーカー著『約束の地』について、『ボストンの私立探偵スペンサーもの、ハードボイルド・ファンは必読だと思うけどね、95点です、スペンサーは強くて気のきいたセリフはいってくれるしイチャモンのつけようのない探偵や』と記してあり、僕の趣味と一致して嬉しくなりました。

   

裏表紙から。

(なお、この本の主にジャズ関連の原典は、雑誌の『スイングジャーナル』に1971年~73年に連載されたコラム「独り言」、単行本の『JAMJAM日記』(白川書院刊)、『三文役者の待ち時間』(ちくま文庫)です。)


キッサ・ボッサ・ウミネコ (ジャズ喫茶 東京都目黒区祐天寺)

2019-03-28 20:18:00 | ジャズ喫茶

キッサ・ボッサ・ウミネコは、2015年11月16日オープンの比較的新しいお店です。お店は東急東横線の祐天寺駅から歩いて2~3分と近く、前から寄ってみたかったのですが、ようやく先日訪問できました。扉を開けたら、比較的大きめの音量でジャズが流れていて、嬉しくなりました。

店内では、4/15までジャズのレコードジャケットをイメージした絵画の作品展が開催されていて、それも楽しませていただきました。マスターはきさくな方で、渋谷のメアリー・ジェーンの閉店を残念がっていました。珈琲、食べ物も美味しく、 また寄ろうと思います。

東急東横線祐天寺駅東口

駅を出て右手に進みます。

「王様書房」という本屋さんがあり、さすがに都会です。

駅前から商店、住宅が続いています。

看板が見えてきました。右の階段を下ります。

看板

お店は半地下になります。

入口あたりから店内。

奥に細長くて、カウンターもあります。

テーブル席が3つあります。

座った席から。

展示会が行われていました。

大きな写真も展示してあります。

スピーカーは、ダリです。

レコード・ジャケットを飾ってあります。

初めて聴きました。日系アメリカ人のSUMI TONOOKAさんのピアノトリオアルバム。ルーファス・リード(b)、アキラ・タナ(ds)。個性的で面白い。

スタン・ゲッツ(ts)とビル・エヴァンス(p)。

チキンカレーのセットを頼みました。サラダとスープがついてきます。

チキンが多く、美味しかった。

珈琲。

【キッサ・ボッサ・ウミネコ(kissa bossa umineko)】

住所:東京都目黒区祐天寺2丁目14−10 クーカイテラス祐天寺 1F
電話:03-6303-0632
ホームページ:kissa bossa umineko


アン・バートン SOME OTHER SPRING

2019-03-27 20:03:39 | ヴォーカル(A~D)

中野京子著「美貌の人」(PHP新書)を読みました。西洋絵画の肖像画40作を取り上げ、その絵やその作者に関する物語を綴ったものです。いづれ劣らぬ名画ばかりですが、とりわけ表紙に用いられたイワン・クラムスコイの「見知らぬ女」は、その物憂げな表情もあいまって、ひとたび見たら忘れられません。日本での展覧会では「忘れえぬ人」という題がついたそうですが、納得の命名です。忘れえぬ歌手のアルバム。

ANN BURTON (アン・バートン)
SOME OTHER SPRING (Lobser 1980年録音)

   

オランダの歌手アン・バートン(1933~1989年)は、日本のファンが多く、1973年に初来日し、74年、77年、80年と4回来日しています。お亡くなりになってから、30年になろうとしていますが、中古レコード店における彼女の古いレコードの動きなどを見ると、現在でも根強い人気があるように思います。

来日時には、録音を残しているバートンですが、この「SOME OTHER SPRING」は、80年の最後の来日の際に録音されたもので、それまでがピアニストだけを伴っての来日だったのが、この時は、フランク・エルセン(p)とビクター・ケイハツ(b)を伴っています。録音のメンバーも、バートン(vo)とその二人です。

曲目はほぼスタンダードで、「Dream a little dream of me」、「The Very Thought of You」、「Baubles, Bangles, and Beads」(ビーズと指輪)、「Thursday's Child」、「It's A Pity To Say Goodnight」、「Skylark」、「The Day of Wine and Roses」(酒とバラの日々)、「What is there to say ?」、「Some Other Spring」、「The End of a Love Affair」(情事の終わり)の10曲。

本国からピアノとベース奏者を伴って来日し、その二人の伴奏で録音されたためもあるのか、アン・バートンの繊細で行き届いた歌が聴けます。最初に収録されていて明るく歌われる「Dream a Little Dream of Me」、軽くリズムに乗って歌われ、エンディングにキスの音が入る「It's a Pity to Say Goodnight」などスイングする曲もとてもよいのですが、「The Very Thought of You」、「Skylark」、そして「What is There to Say」とバラードがなんともいえない香気が漂い、しみじみとして美しい。レコードで聴いていますが、CD化もされて「He's Funny That Way」の後半に収録。 

安曇野市の自宅でこのレコードを聴いているところです。「Blue Burton」を飾ってあります。

   

中野京子著「美貌のひと」(PHP新書)の表紙。

   

以下、この本で触れられている40枚のなかから3枚の絵を掲げてみました。

   

「古典のなかの美しいひと」という章の中の一枚。ラファエロ作「小椅子の聖母」で、人気作品です。

   

「才能と容姿に恵まれた芸術家」という章の中の一枚で、アンリ・レーマン作「リスト」。音楽家の肖像画の中で最も有名なものだと思います。

   

「創作意欲をかきたてたミューズ」という章の一枚で、ルノワール作「ブージヴァルのダンス」。モデルの美女は、シュザンヌ・ヴァラドン。ヴァラドンも画家として知られていますが、その息子はモーリス・ユトリロで、画風は全く異なりますが、才能は遺伝したものでしょう。