安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

キーリー・スミス POLITELY!

2010-09-26 20:51:26 | ヴォーカル(E~K)

買物のついでに、安曇野市豊科南穂高にある(株)あづみアップルスイス村ワイナリーに寄ってみました。長野県内では、林農園(五一ワイン)をはじめとして塩尻市のワイナリーが有名ですが、安曇野市にも2軒あり、その1軒です。ワインの仕込から充填までする工場は平日しか見れないので、ショップでジュースの試飲をし、小さめのワインを買ってきました。それをいま飲みながら、この記事を書いています。お酒がらみで「カクテルズ・フォー・トゥー」の収録されたアルバムを聴いています。

KEELY SMITH (キーリー・スミス)
POLITELY! (Capitol 1958年録音)

 Politely  

「カクテルズ・フォー・トゥー」は、アーサー・ジョンストン作詞、サム・コズロウ作曲の1934年にできた歌で、44年にスパイク・ジョーンズ楽団が大ヒットさせています。歌詞の大意は、「おしゃれなお店の人目につかない席で、誰かとおしゃべりしながら、二人でカクテルを呑むんだ」という恋とカクテル(お酒)賛歌。1933年に禁酒法が廃止されたのを受けておおっぴらに酒が飲める喜びも込められた曲です。

キーリー・スミスは、ルイ・プリマとの漫才風コンビで売れたので、際物的だと思い込んで、彼女の歌を聴こうとしなかったのですが、大きな勘違いでした。スパイク・ジョーダンの「カクテルズ・フォー・トゥー」は、いろんな音が混じった冗談音楽ですが、キーリーのものは、真面目ながらゆとりのあるものです。

スタンダード曲集で、他には「スイート&ラブリー」、「ザ・ソング・イズ・ユー」、「アイル・ゲット・バイ」、「木の葉の子守唄」、「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」、「アイ・キャント・ゲット・スターテッド」、「アイル・ネヴァー・スマイル・アゲイン」、「スポージン」、「イースト・オブ・ザ・サン」、「オール・ザ・ウェイ」、「アイ・ネヴァー・ニュー」。

編曲はビリー・メイで、弦を用いたものとブラスをきかせたものがあります。彼女の声には厚みがあり、スイングもよくしています。「カクテルズ・フォー・トゥー」の他、特に「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」が素晴らしい。「スポージン」は少し重くてもっと軽い方が好みです。「アイル・ネヴァー・スマイル・アゲイン」、「オール・ザ・ウェイ」はフランク・シナトラの歌を思い浮かべながら聴くのも一興。

【スイス村ワイナリー】 (株)あずみアップル

ここでは長野県産ぶどう100%のワインを造っています。ナイアガラ種から作られた「白馬の出逢い」という白ワインを購入し、いまそれを飲んでいます。甘口で、フルーティーです。おつまみは信州わさびチーズ(わさびは信州産)にしてみました。このあたりでは、葡萄と言えばかつてはナイアガラで、小さな葡萄だなが自宅にもあったので、おやつによく食べさせられました。

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 (ワイナリー正面) 

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 (ショップ)

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 (スイス村ワイナリーパンフレット)

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トゥーツ・シールマンス THE SOUL OF TOOTS THIELEMANS

2010-09-23 17:47:44 | ヴァイブ、オルガン他

今年は長野市のある町内会の役員なので、会合や作業に出ることがあります。昨日も近くの神社(日吉大神社)の秋祭りだというので、朝5時半に起きて町内の入り口に提灯を飾ったり、子供神輿の飾りつけをしました。子供は幼稚園から小学生くらいなので、お神輿はリヤカーに乗せますが、町内を練り歩いているのを見ると苦労も吹っ飛びました。今日はそれらの片づけを行いましたが、このお祭りが終わると秋の気配が次第に濃厚になってきます。秋らしく、落ち着いたムードの作品です。

TOOTS THIELEMANS (トゥーツ・シールマンス)
THE SOUL OF TOOTS THIELEMANS (Signature 1959年録音)

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                             (ジャケを裏返ししてみました)

ジャズ・ハーモニカ奏者というと、トゥーツ・シールマンスがまずあがります。ビル・エヴァンス(p)と共演した「アフィニティ」を初めとしたアルバムや映画「真夜中のカーボーイ」のテーマを吹いたことで知られます。ここでは、ギターも演奏していますが、両方の楽器とも落ち着いた音色、素朴で中庸をいくプレイで、じっくりと聴くのに最適です。

シグネチュア・レーベルは、1980年代くらいまでは日本では幻のレーべルと呼ばれ、中でも「レイ・ブライアント・プレイズ」は、幻の名盤とされてきました。この録音に、そのレイ・ブライアント(p)が付き合っていて、メンバーは、シールマンス(ハーモニカとギター)、レイ・ブライアント(p)、トミー・ブライアント(b)、オリヴァー・ジャクソン(ds)です。この3人は、派手ではありませんが、快適なリズムを奏でています。

選曲が凝っています。本来カントリー・ウェスタンの曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」、ジャンゴ・ラインハルト作「ヌアージュ」(雲)、エロールガーナー作「ミスティ」、パーカーの「コンファーメーション」、シャルル・トレネのシャンソン「日曜日の子供達」、古いスタンダード「ファイヴ・オクロック・ホイッスル」と「ロンサム・ロード」、そしてシールマンスのオリジナル2曲「ソウル」と「ブラザー・ジョン」です。

秋の夜長にふさわしい、落ち着いてしみじみとした作品です。暖かみのあるハーモニカの音色で聴く「ミスティ」、ギターが繊細なソロをとる「ヌアージュ」、意外にグルービーなギターを弾いている「ユー・アー・マイ・サンシャイン」と「ロンサム・ロード」、哀調を帯びた「日曜日の子供達」など。シールマンスの「ソウル」はブルースで、それも含め、レイ・ブライアントのソロが各曲で楽しめます。特に大きな音(フォルテ~)で入れる低音のシングルトーンのタイミングが絶妙です。


バディ・デフランコ AUTUMN LEAVES

2010-09-19 18:29:41 | その他木管楽器

先週の土曜日に、有明山神社の入口にある安曇野市営「穂高老人保健センター」のお風呂に行ってきました。中房からお湯を引いてある天然温泉で湯量も豊富です。実家から車で約20分なので、たまに父母も連れて行き、入浴した後、すぐそばの「くるまや」で蕎麦を食べるのが、我が家の小さな温泉旅行になっています。今回は、僕一人だったので、中房渓谷を上り、「たる沢の滝」を観てきました。近くに大きなサワラの木が聳えていたのが印象的でした。木管楽器のクラリネットを聴いてみます。

BUDDY DeFRANCO (バディ・デフランコ)
AUTUMN LEAVES (Norgran/Verve 1954年録音)

 Autumnleavesbuddydefranco

ジャズにおけるクラリネットは、スイング時代には、ベニー・グッドマン、アーティー・ショーなどの名手もいて花形楽器のひとつだったのですが、モダンジャズの時代に入ると影が薄くなりました。その中で、頑張っていたのが、バディ・デフランコです。

この作品は、はじめ1954年にNorgranのMGN-1012で発売され、56年にMGN-1096、57年にはVerveのMGV-8183として再発売されています。掲げたジャケットはCDですが、MGN-1012のものです。Norgran/Verveのデフランコ(cl)のアルバムは、本人もさることながら、ソニー・クラーク(p)のプレイを聴けるのも大きな魅力となっています。

メンバーは、デフランコ(cl)、ソニー・クラーク(p)、ジーン・ライト(b)、ボビー・ホワイト(ds)という当時のデフランコ・カルテットのレギュラー。曲は、「Titoro」、「You Go to My Head」、「Mine」、「Gerry's Tune」、「Autumn Leaves」(枯葉)、「Now's The Time」の6曲。ガーシュイン作の「Mine」を取り上げているのは珍しく、めったに聴けません。

僕はクラリネットの中低音域の、いかにも木の質感が感じられるような音色が好きですが、「Autumn Leaves」のテーマ部の音色には癒されます。「You Go To My Head」は、ミディアムテンポで、クラリネットとピアノが同時にソロをとり、新しさを感じます。「Gerry's Tune」、「Now's The Time」では、デフランコのテクニック溢れるソロに興奮し、クラークも力強いプレイで応えています。

ホームページの散策安曇野に中房渓谷たる沢の滝を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう 中房渓谷たる沢の滝


ミンディ・カーソン baby, baby, baby

2010-09-15 20:12:52 | ヴォーカル(L~R)

友人から案内があり、先日、長野県信濃美術館(長野市)で行われている第63回県書道展に行ってきました。彼は篆刻の部に応募して秀作に入賞していましたが、6cm×6cmの大きさの篆刻は迫力がありました。書道展を見た後、隣の東山魁夷館で、開館20周年記念展「白い馬の見える風景」を開催していたので入りました。白馬が登場する連作の絵に立ち止まったり、ドイツ・オーストリアの旅などの絵を鑑賞したりで1時間近く過ごしました。音楽の方は華やかな歌声です。

MINDY CARSON (ミンディ・カーソン)
BABY, BABY, BABY (COLUMBIA 1958年録音)

 Babybabybabycd        Mindycarsonsingscompact

                              (参考)MINDY CARSON SINGS    

ミンディ・カーソンの本作は、LPTIMEレーベルでCD復刻されたので購入しましたが、その後オリジナルジャケットデザインでも復刻がされています。古い録音もたくさんありますが、スイングした曲もある本作がより多くの方にアピールすると思います。

僕がミンディ・カーソンを知ったのは、1993年に「Mindy Carson Sings」(4曲入りEP)を特典盤として入手したからです。現在は、寺島靖国氏の推薦などもあり、Baby(もちろん赤ちゃんではないです!)ものを歌った本作など、彼女は知られるようになっているのではないでしょうか。

曲目は、「Baby, Baby, Baby」、「I'm Not Just Anybody's Baby」、「Baby Face」、「My Melancholy Baby」、「Everybody Loves My Baby」、「I'm Nobody's Baby」、「My Baby Just Cares for Me」、「Baby Won't You Please Come Home」など12曲とボーナス・トラックとして「My Foolish Heart」。「Baby Face」は、ブライアン・ハイランドやボビー・ダーリンのヴァージョンがありますが、彼女が録音していたのは意外でした。

グレン・オッサーとシャーマン・エドワーズの指揮によるオーケストラが伴奏をしています。前半は流れるようなストリングス伴奏ですが、「Baby, Baby, Baby」、「I'm Not Just Anybody's Baby」などメロディが際立つ歌い出しもよくて、とろけてしまいそう。後半はビッグバンドにより、「Everybody Loves My Baby」、「My Baby Just Cares For Me」などリズムに乗って伸び伸びと歌っています。「My Foolish Heart」も優雅で、まさにボーナス。

ホームページにミンディ・カーソン(ヴォーカル)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ミンディ・カーソン

【長野県書道展と東山魁夷館】

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   書道展に多くの人が来場していました。

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          東山魁夷館外観

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  休憩場所に置いてあった作品選集です。東山魁夷館
  には、魁夷の作品が960点余収蔵されているそうです。

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    展覧会案内パンフレット


シダー・ウォルトン BREAKTHROUGH! 

2010-09-12 10:08:35 | ピアノ

近くのTSUTAYAで目にとまった「ある愛の詩」(Love Story)を借りてきました。アリ・マックグロウとライアン・オニールが主演し、大ヒットした作品で、「愛とは決して後悔しないこと」というセリフも有名になりました。そして、さまざまなアレンジで流れるフランシス・レイの音楽もヒットしました。今見てもよくできた映画ですが、富豪の父親とその息子がどうして対立しているのか今ひとつ不可解です。保守的な父に対する反発なのでしょうが、どうでしょうか。ラブストーリーのテーマが収録されたアルバムです

CEDAR WALTON (シダー・ウォルトン)
BREAKTHROUGH! (COBBLESTONE 1972年録音)

 Breakthrough

このアルバムは、一応、シダー・ウォルトン(p)のリーダー作としましたが、ジャケットからもわかるようにハンク・モブレイ(ts)との双頭リーダー作です。モブレイは、健康上の理由から1975年に引退してしまうので、本作が事実上最後の作品となりました。ここにおける彼のプレイを聴くと、早すぎる引退が残念でなりません。

メンバーは、シダー・ウォルトン(p)、ハンク・モブレイ(ts)、チャールス・デイビス(bs,ss)、サム・ジョーンズ(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。デイビスをいれたことでサウンドに厚みが加わり、また、モブレイとデイビスとの2ホーンによる掛け合いも聴かれます。

モブレイ作が2曲で「Breakthrough」と「Early Morning Stroll」、シダー作「House On Maple Street」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Sabia」、フランシス・レイの「Theme From Love Story」(ある愛の詩のテーマ)、ガーシュイン作「Summertime」という6曲。「Love Story」の主題歌は米国でもヒットし、シダーはジャズ化しここに録音しています。

ハンク・モブレイが張りのあるトーンで、ちょっと硬派なプレイをしているのが目立ちます。「Summertime」、「Early Morning Stroll」などのソロでは、メンバーか関係者からと思われるかけ声もかかり、インティメイトなセッションという雰囲気も出ています。シダーは、2曲でエレピを弾いていますが、あまりピンときません。ピアノ・トリオでやった「Theme From Love Story」が、短いながらイントロも付けて、愛らしくてよいです。

【1971年のヒット、映画音楽の参考本】

「ある愛の歌」(1970年公開)は、1971年3月に日本で封切られています。フランシス・レイの書いた曲の方は、アンディ・ウィリアムスの歌でもヒットしました。また、同年6月、イギリス映画「小さな恋のメロディ」が封切られ、この映画の主題歌ビージーズの「メロディ・フェア」は日本で大ヒットしました。
「ある愛の詩」を観たり、2つの曲を聞いていたら、当時の様々な出来事が、一気に思い浮かんできました。いずれも結局はさえない話ばかりですが(笑)。

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 「映画音楽」(浅井英雄著、誠文堂新光社)