山に関する本やブログを読む機会が増えましたが、その際、意味のとれない言葉が出てくるので、用語集があればいいと思っていたのですが、格好の一冊が見つかりました。職場の近くの本屋「 ch.books」で、「山の単語帳」という本を見つけたのですが、そのタイトルとともに帯にある「山には豊かな言葉が満ちている。」という惹句も新鮮で、即購入しました。
著者は、登山家の田部井淳子さんです。エベレストに登頂するなど経験豊富な方なので、自身の経験も折り込んでいて、厚みのある、わかりやすい記述になっています。また、それぞれの記述のほかに、栗田貞多男さんによる山岳写真が素晴らしいこともあり、用語集の域を超えています。
発行日は、2012年8月15日ですが、僕のものは、2013年9月30日の第4刷なので、好評をもって読まれていると思います。「トラバース」、「ガレ場」、「コル」、「池塘」、「胸突き八丁」などなど聞きなれない登山や山に関する用語は、おぼろげに意味はわかるのですが、この本を読むと、そういった言葉の意味を的確にとらえることができます。
僕が昔から覚えている山の名前に「野口五郎岳」がありますが、歌手の野口五郎さんとは多分関係ないけど、野口五郎という人が発見した山に違いないと高校生のころから思い込んでいました。しかし、全く関係なくて、『「ゴーロ」とは、大きな石や岩がゴロゴロしている地帯のことで、この岩石累々とした場所の呼び名が転じてついた名前に北アルプス野口五郎岳があります。』ということがわかりました。笑い話ですが、長年の疑問が氷解してスッとしました。
内容的には、登山や道具の用語解説にとどまらず、山の草木、山の季語、山の動物といった章もあって、写真とともに楽しめます。さらに、例えば、ガレ場を歩く時や浮石への注意事項に記述がおよび、実際に登山する際に役立つことも多そうです。いろいろな読み方ができる優れた本です。