秋が深まってきて、僕の勤務地である、南信州(長野県飯田市・下伊那郡地方)では、各地で農作物の収穫イベントが開催されつつあります。そんな中、とある収穫祭(宴会)に招待されたので、出席しました。珍しい伝統野菜を含む新鮮な食材を使ったお料理をいただきながら、地元のワインなどお酒も飲みました。どれも美味しくて、実りの秋に感謝。瑞々しい作品。
OLIVER KENT (オリバー・ケント)
400 YEARS AGO TOMORROW (MONS 1997年録音)
オリバー・ケント(p)は、Roman Schwaller(ts)のアルバムで知ったピアニストです。1969年にオーストリアのインスブルックで生まれ、ウィーンで学び、1993~95年には、アメリカでエディ・ヘンダーソン(tp)らと共演し、帰国後は、ウィーンを本拠に活躍しています。はじめ、ウィントン・ケリーを思わせるフレーズが出て興味を惹かれたのですが、ハービー・ハンコックなど新主流派に近いイメージです。
オーストリアのピアニストといえば、フリードリッヒ・グルダを思い浮かべますが、ウィーン出身のジョー・ザヴィヌルやローランド・バティックといった人もいます。ケントもクラシックを学んでから、ジャズへ向かっています。ここでの彼の演奏を聴くと、ピアノのせいもあるかもしれませんが、まろやかで磨き抜かれた音色に、クラシックをしっかり勉強した形跡がうかがえます。なお、録音場所はニューヨーク。
メンバーは、 オリバー・ケント(p)、Essiet Essiet(b)、Joris Dudli(ds)。Essiet Essietは、ニューヨークのミュージシャンで、多くのハード・バップ系の録音に参加しています。Joris Dudliは、ケントと長年共演しています。曲は、ケントの自作が、「Plenty Of Twenty」、「Five Moons Around Venus」、「Deja Vu」、ボビー・ティモンズ作「This Here」、ウォルター・デイヴィス作「400 Years Ago Tomorrow」、スタンダードの「Autumn Nocturne」、「Skylark」、「My One And Only Love」の8曲。
ハードバップがベースですが、小気味良さに加えて、抒情性のあるイントロやモーダルな響きもあり、フレッシュな初リーダー作です。タイトル曲の「400 Years Ago Tomorrow」は、3人による疾走感が素晴らしく、ティモンズ作「This Here」は、ファンキーさは控え目で、爽やかなプレイぶり。バラードの「Autumn Nocturne」と「Skylark」は、スローテンポで、ピアノの音色の美しさとともに、ブラシによるサポートの良さが光ります。
【収穫祭りのお料理】
伝統野菜 (この地域でしか栽培されていないもの)など、こちらで採れたものばかりです。下栗芋、ていざなす、清内路かぼちゃ、清内路黄芋などが入っています。果物は、シナノゴールド、シナノスイートはりんご、南水は梨、バラードは洋梨です。お料理も凝ったものでした。