安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

レッド・ミッチェル HEAR YE!

2013-04-28 12:03:15 | ベース・ドラムス

ドライブのついでに、信州の代表的な湧水の一つである「一番清水」(長野県下伊那郡阿智村清内路)の水を汲んできて、その水で珈琲を淹れて飲んでみました。雑みがなくてすっきりとしていて、まろやかで美味しく、珈琲の味が一段と上になったかのようでした。この湧水は初めてでしたが、自然の恵みに感動しました。すっきりとしたところがある作品。

RED MITCHELL (レッド・ミッチェル)
HEAR YE! (ATLANTIC 1961年録音)

  Hearyeredmitchellharoldland

レッド・ミッチェル(b)とハロルド・ランド(ts)との双頭バンドによる録音です。このバンドは、クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・グループの路線を目指したものと思われますが、短期間の活動で消滅してしまいました。この作品もメンバーのオリジナル曲ばかりで、商売気が全く伺われないので、そういう点もバンドの維持を難しくしたのかもしれません。

メンバーは、レッド・ミッチェル(b)、ハロルド・ランド(ts)、カーメル・ジョーンズ(tp)、フランク・ストラッツェリ(p)、レオン・べッティーズ(ds)。目を惹くのは、マックス・ローチ・グループの一員として活躍したH・ランドの名前ですが、C・ブラウン張りの演奏をするカーメル・ジョーンズ(tp)も注目されます。録音場所は、ウェストコーストのロスアンジェルスで、サウンドが明るめです。録音機材や技術のせいもあるのかもしれません。

曲は、全てメンバーのオリジナルです。レッド・ミッチェル作が「Rosie's Spirit」と「Hear Ye!」、ハロルド・ランド作が「Triplin' Awhile」と「Catacomb」、カーメル・ジョーンズ作「Somara」、フランク・ストラッツェリ作「Pari Passu」の全6曲。タイトル曲の「Hear Ye!」だけは、ややスローで、8分の6拍子でワルツといった趣です。他は、ミディアム乃至はファーストテンポです。

それぞれの曲は躍動的で、各人のメロディアスなプレイが楽しめます。1曲目の「Triplin' Awhile」では、ランド(ts)が同一フレーズの繰り返しなどによるグルービーなソロをとり、C・ジョーンズ(tp)の美しいトーンによるメロディアスなソロが続き、F・ストラッツェリ(p)のW・ケリーを髣髴とさせるスインギーなプレイもあり、最初から身を乗り出してしまいました。「Somara」は、ローチグループの曲・演奏を想起させますが、ミッチェル(b)のロングソロが聴け、弓弾きを含めて随所で演奏される彼のソロは、このグループの特徴的なところでしょう。「Catacomb」でも、ジョーンズ(tp)が胸のすくようなソロをとっています。

【一番清水】
所在地:阿智村清内路・R256沿い

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        「一番清水」。二か所から水が湧出しています。

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               一番清水看板

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               道路からの眺望


ミリセント・マーティン MILLICENT MARTIN SINGS

2013-04-24 20:24:44 | ヴォーカル(L~R)

みなみ信州農協に勤務している友人から、ダリアなどの花をいただいたので、職場のテーブルに飾ってもらいました。長野県の飯田下伊那地方では、近年花卉栽培も盛んになってきていますが、有名なのは、黒いダリアで、結婚式のテーブルの飾りなどでよく使われるようです。しかし、今回いただいた白いダリアもきれいです。華やかな中にも折り目の正しさがある歌です。

MILLICENT MARTIN (ミリセント・マーティン)
MILLICENT MARTIN SINGS (英Columbia 1958~60年録音)

  Millicentmartinsingscd        Millicentmartinsingscdura
   Millicent Martin Sings                     「Millicent」オリジナルジャケ写真

EMIミュージックから、3月20日にミリセント・マーティン(vo)の「ミリセント」(TOCJ-90078)が、紙ジャケット仕様により発売されました。宣伝文句には、”「赤のロージー」が再発された今、ジャズ・ヴォーカル・マニアにとって残る大物はこれしかないといわれる最大級のレア盤「緑のミリセント」”とあります。僕は、輸入盤で既に聴いていたので、このEMIミュージック盤は買わないことにしましたが、内容がよいので、「緑のミリセント」を含む輸入盤CD「Millicent Martin Sings」(Sepiaレーベル)を取り上げてみました。

ミリセント・マーティン(vo)は、1934年生まれのイギリスの歌手、女優です。はじめは主にミュージカルの舞台で活躍し、テレビ界にも進出し、70歳を超えても芸能活動をしていて、息が長い人です。ヴォーカルの方では、1958年に録音した「Millicent」が知られています。そもそもは、リンクを貼らしていただいてるtempo's blogの記事でミリセント・マーティンを知りました。

曲ですが、LP「Millicent」分が12曲で、「At Sundown」、「When Your Lovers Has Gone」、「Sand in my Shoes」、「Dream」、「When The World was Young」、「The Song is Ended」、「In The Blue of The Evening」、「When I'm Not Near The Boy I Love」、「I Got It Bad」、「Imagination」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「I'll Never Be The Same」です。他にシングルカットなどされた曲が8曲収録されています。

スタンダードヴォーカルの素晴らしいアルバムです。マーティンは、暖かい声で、レガートで歌っていきます。長い音も最後まで声が出ていて、さすがにミュージカル出身だけのことはあります。そんな特質はバラードに良く出ていて、「Dream」、「When The World was Young」とうっとりですが、ことに後者は、ヴァースも含めて絶品。他にも、「Imagination」、「You'd Be So Nice To Come Home To」などポピュラーな曲も収録されていて親しみやすさもあり、手元に置いておきたい作品。

【白いダリア】 

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ジーン・ディノヴィ BRAND NEW MORNING

2013-04-21 14:55:33 | ピアノ

飯田市(長野県)に赴任してから念願していた天竜川の舟下りに行ってきました。天竜峡温泉港から唐笠港まで、約50分の乗船時間です。V字形の谷の間をゆったりと流れる天竜川から見る渓谷美の美しさに感銘を受けましたが、ガイドさんの解説、ベテランの船頭さんによる投網などもあって楽しい舟下りでした。南信州(飯田下伊那地方)の観光の見どころの一つなので、大勢の方に訪れてもらいたいものです。帰宅後はベテランのピアニストの作品を聴きました。

GENE DINOVI (ジーン・ディノヴィ)
BRAND NEW MORNING (Marshmallow 2007年)

 Brandnewmorninggenedinovi

チャーリー・パーカーとの共演歴もあるという、カナダ在住のピアニスト、ジーン・ディノヴィのライブアルバムです。出発はビ・バップでしたが、幅広い音楽性を持ち、スイングの影響も垣間見える穏やかな演奏が聴かれます。彼は時として「ピアノの詩人」と言われることもありますが、選曲やプレイを聴くとうなづけます。

カナダのトロントにある日系文化会館、小林ホールでの実況録音です。現地の日系人の方の協力もあって実現したコンサートで、マシュマロレーベルにより録音されました。ドラムレスのギター入りのピアノ・トリオで、ジーン・ディノヴィ(p)、デイヴ・ヤング(b)、アンドリュー・スコット(g)と言うメンバー。異なる世代が3人揃っているところから、「ジーン・ディノヴィ・ジェネレーション・トリオ」と名乗っています。オスカー・ピーターソンと共演していたデイヴ・ヤングのプレイにも興味が集まります。

曲はスタンダードの「Will You Still Be Mine」、「Stardust」(スターダスト)、「No Moon At All」(月とてもなく)、「Move」に、ディノヴィの自作の「Lisa」(りさ)、「Brand New Morning」、「Flower Of The Night」、そして、E.Lebieg作「Sleep」、山田耕作作「Red Dragon Fly」(赤とんぼ)です。「Lisa」は、プロデューサーの上不三雄さんのお孫さんに贈られたものだそうですが、クラシカルで可愛らしいテーマを持った曲です。

「Will You Still Be Mine」は、マット・デニス作曲のテンポの速い曲ですが、ディノヴィ(p)以下3人が緊密に絡んだスインギーなプレイが聴けます。おなじみの「Stardust」は、ヴァースから丁寧に演奏され、和音を響かせていてちょっと幻想的な趣きもあります。「No Moon at All」は、アンドリュー・スコット(g)、デイヴ・ヤング(b)とソロをとりますが、全体にブルージーで、このアルバム中では異色です。「Red Dragon Fly」は、スローテンポで、優雅なプレイを行っていて、元歌(赤とんぼ)の歌詞を想いおこしました。

【天竜ライン下り】
申し込み:天竜ライン遊舟(有)
電話:0265-27-2247
http:天竜ライン遊舟ホームページ

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ジョニー・リトル NICE AND EASY

2013-04-17 22:45:43 | ヴァイブ、オルガン他

緑化推進に「緑の募金」を頼まれたので、些少ですが協力しました。信州(長野県)は、山が多く、緑に覆われている印象がありますが、平地が少なく住宅地や道路として目一杯使用しているので、身近なところに花や木が少ない地域もあります。街中の緑化に使うと同時に、緑の少年団の活動に役立ててもらえばという気持ちでした。募金箱の周囲に飾り付けがしてあってので、写真を撮ってみました。葉っぱが沢山写っているジャケット。

JOHNNY LYTLE (ジョニー・リトル)
NICE AND EASY (JAZZLAND 1962年録音)

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60年代半ばからは、「The Loop」などのヒット曲や早弾きも目立ち、アドリブもないコマーシャルな録音も多くなったジョニー・リトル(vib)ですが、小編成コンボによるハードバップ作品をいくつか残しています。スロー・バラードなどミルト・ジャクソンに似ているところもありますが、適度にソウルフルでメリハリのあるリトルの明快な演奏は、ハードバップファンの好みに合うのではないでしょうか。

メンバーは、おなじみのミュージシャンばかりで、ジョニー・リトル(vib)、ジョニー・グリフィン(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、ルイ・ヘイズ(ds)。グリフィンのうねるテナーも聴きものですが、ティモンズ(p)以下のリズム陣も充実しています。リヴァーサイド、ジャズランドレーベルならではの人選で、役者が揃った感があります。

曲は、リトルの自作が「323 Wow!」、「Coroner's Blues」、ティモンズの「Soul Time」、グリフィンの「Nice and Easy」、後はスタンダードで、「But Not For Me」、「That's All」、「Old Folks」で、「Old Folks」だけはグリフィン抜きの演奏になっています。「Soul Time」は、ティモンズ自身の同名タイトルのリーダー作で演奏されていますが、ここでも注目されます。

最初の曲、「But Not For Me」から跳ねるようなスイングが聴けます。ジョニー・グリフィン(ts)の後、ジョニー・リトル(vib)のアドリブになりますが、いきなりレスター・ヤングの「Jumpin' with symphony sid」を引用していて、それだけで感激しました。「323 Wow!」は、アップテンポで、ドラムに煽られながらリトル、ティモンズ、グリフィンが猛烈にドライブし、興奮もののトラック。バラードの「That's All」では、リトルはヴァイブならではのデリケートに響かせた美しい音により旋律を綴っていきます。サム・ジョーンズ(b)、ルイ・ヘイズ(ds)は、どっしりとしたリズムを送り出していて、この手のセッションにはうってつけです。

【緑の募金箱(飯田市内)】

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ジミー・フォレスト OUT OF THE FORREST

2013-04-14 13:17:37 | テナー・サックス

足がむくむなど調子が悪いというので、母が松本市内の病院に入院して、検査や治療を受けています。きのう様子を見に行ってきました。足は不自由なのですが、食欲は旺盛で、血色もよく、入院前よりいくらか元気になった気がして、そろそろ退院の準備が必要となりそうです。松本市や安曇野市近辺は、医療機関が結構充実しているので、こういう時にはありがたいです。テナー・サウンドに暖かみが感じられる演奏。

JIMMY FORREST (ジミー・フォレスト)
OUT OF THE FORREST (Prestige 1961年録音)

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ジミー・フォレスト(ts)は、「Night Train」の作者としても知られていますが、そもそもはR&Bの影響も受けたハードにブローするテナー・サックス奏者です。しかしながら、デューク・エリントン楽団、カウント・ベイシー楽団にも籍を置いたことがあり、ベイシー楽団での録音を聴いて、迫力ばかりでなく柔軟性に富んだプレイヤーに思えたので、それからリーダー作を聴くようになりました。

これは、プレスティッジ・レーベルに残したうちの一枚で、共演者にも興味がわきます。メンバーは、ジミー・フォレスト(ts)、ジョー・ザビヌル(p)、トミー・ポッター(b)、クラレンス・ジョンストン(ds)。ジョー・ザビヌルは、キャノンボール・アダレイ・グループでファンキーなピアノを弾きましたが、ここでは比較的端正なプレイを行っています。

曲は、フォレストの自作が、「Bolo Blues」と「Crash Program」の2曲、ジョー・ディギンズと言う人の書いたスローナンバー「I've Got A Right to Cry」、後はスタンダードで、「I Cried For You」(君に泣く)、「This Can't Be Love」、「By The River Sant Marie」、「Yesterdays」、「That's All」の全8曲。この選曲は、歌ものも好きな僕には嬉しいところで、「This Can't Be Love」や「That's All」をどう吹いているか、かなりワクワクします。

貫録が滲みでているようなフォレスト(ts)のバラード演奏が素晴らしく、「That's All」の優しさと豪快さが合わさったプレイは中でも最高。テナー・サックスのサウンドも美しい。アップテンポの曲もお手のもので、「This Can't Be Love」では宙を舞うようでいて力強いスイング感が心地よく、リズム陣も好演しています。ちょっとコテコテ風の演奏も聴いてみたい人には、「Bolo Blues」がピッタリ。この曲ではジョー・ザビヌル(p)もブルージーなプレイに徹しています。