安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ヴィンセント・へリング(as)が出演した第6回軽井沢ジャズ・フェスティバル (7月29日 大賀ホール)

2017-07-31 20:08:34 | 演奏会・ライブ

ヴィンセント・へリング(ハーリング)が出演するというので、先週の7月29日(土)に軽井沢ジャズ・フェスティバルに初めて行きました。同フェスは、イースト・ウィンドレーベルを興したり、ソニーで活躍した故伊藤八十八さんが立ち上げたものです。午後2時から6時まで6グループが出演しました。

    

(出演者)

オブサンズ・ジャズ・オーケストラ
〇桑原あい(ピアノ)、徳澤青弦(チェロ)、吉田篤貴(ヴァイオリン)他
〇ALTO MADNESS featuring Vincent Herring(アルトサックス)and 寺久保エレナ(アルトサックス)
〇仙波鶴…仙波清彦、鶴谷智生(パーカッション)+藤巻鉄郎(ドラムス)
〇中村誠一(サックス)バンド
〇MARLENE SuperTrio THREESOME/マリーン(ヴォーカル)、吉田次郎(ギター)、クリヤ・マコト(ピアノ)

(感想など)

オブサンズ・ジャズ・オーケストラは、三分の一がプロで、プロの予備軍も入っているビッグバンドです。「In The Mood」、「Begin The Bigin」、「I Could Have Danced All Night」、「聖者の行進」などスタンダードを演奏してくれました。いきなりグレン・ミラーの曲だったので驚きましたが、楽しいステージでした。

桑原あいのストリングコンボは、ヴァイオリン、チェロ、ベース、ピアノという編成。エグベルト・ジスモンティ作「ロノ」、レナード・バーンスタイン作「Somewhere」、ビル・エヴァンス作「Be Minor Waltz」と、桑原あいのオリジナル曲が演奏されました。楽曲はきっちり編曲されていて、クラシカルな演奏でした。

ヴィンセント・へリング・グループは、へリング(as)、寺久保エレナ(as)、アンソニー・ウォンジー(p)、金森もとい(b)、小林陽一(ds)というメンバー。曲名がよく聞き取れなかったのですが、2曲の早めの曲に、3曲目「I Miss You」はバラード、4曲目は寺久保エレナのファンクっぽいオリジナル。演奏時間は長めでしたが、もっと聴きたかったグループでした。

後半に入り、まず仙波清彦グループ。ドラムスが3台並ぶと圧巻ですが、僕には音量が大きすぎて疲れました。中村誠一バンドは、中村誠一(ts)、海掘弘太(p)、沼上つとむ(b)、小泉高之(ds)。中村誠一だとフリージャズというイメージしかなかったのですが、スタンダードの「Over The Rainbow」や自作の「Fat Cats」などをよいサウンドで演奏していて認識を改めました。

最後は、MARLENE Super Trioで、マリーン(vo)、吉田次郎(g)、クリヤ・マコト(p)というメンバー。「My Favorite Things」、「Left Alone」、「Summertime」、「Besame Mucho」といった曲を、ピアノ、ギターとのデュオやトリオで歌いました。

ひとつのグループ当たり、30~40分くらいの演奏時間でしたが、いろいろな人が聴けて、こういったフェスティバルもよいものです。出演者の顔ぶれによっては、来年も来たいと思いながら帰途につきました。

矢ケ崎公園から大賀ホール

大賀ホール入り口

開演前の大賀ホール内部。観客はまだ多く入っていませんが、ほぼいっぱいになりました。


ホレス・パーラン NO BLUES

2017-07-30 10:00:24 | ピアノ・トリオ

元の職場で同僚だったHさんが、長野県大町市美麻にある自家焙煎のお店「美麻珈琲」の豆を買ってきてくれました。一度、僕もお店に寄って珈琲を飲んだことがありますが、濃いコーヒーで、美味しかったことを覚えています。わざわざ現在の僕の職場まで届けていただき、たいへん感謝しました。チェーン店が増える中、こういった特色のあるお店は頑張ってほしいものです。濃いジャズピアノを。

HORACE PARLAN (ホレス・パーラン)
NO BLUES (SteepleChase 1975年録音)

   

ホレス・パーラン(p)は、ブルーノート・レーベルに秀作を録音していますが、このアルバムをはじめデンマークのスティープルチェイスにもよいアルバムを残しています。従来の黒っぽさに加えて、軽快で爽やかなところも加わり、ヨーロッパで録音されたせいだろうかなどと感心しています。

メンバーは、ホレス・パーラン(p)、ニールス・へニング・エルステッド・ぺデルセン(b)、Tony Inzalaco(ds)。ドラムスは知らない人ですが、ぺデルセンの参加が寄与していて、伴奏ばかりでなく、ソロにも大活躍です。

曲が興味深いです。マイルス・デイヴィス作「No Blues」、ヴィクター・ヤング作「My Foolish Heart」、リチャード・ロジャース作「Have You Met Miss Jones?」、パーランの自作「A Theme For Ahmad」、ランディ・ウェストン作「Hi-Fly」、オースティン・ウェルズという人の「West of Eden」、シダー・ウォルトン作「Holy Land」、ヴァン・ヒューゼン作「Darn That Dream」の8曲。「No Blues」は、Miles Davis at The Blackhwakにおけるウィントン・ケリーの演奏にインスパイアされて演奏したもののようです。

ホレス・パーラン(p)が、原曲のメロディを大事にしながら、グルーヴィーにスイングしています。黒っぽい感じはもちろんありますが、曲が新しめなものは、演奏にもフレッシュさがあります。最初からノリノリで引き込まれる「No Blues」や、ビル・エヴァンスとは異なるアプローチで、原曲にそって美しく歌い上げる「My Foolish Heart」が素晴らしい。アップテンポで小気味よい「Have You Met Miss Jones?」やシダー・ウォルトン作「Holy land」をパーラン流に弾いているのも面白く、繰り返し聴いても飽きの来ないアルバム。

【美麻珈琲】

住所:長野県大町市美麻14902-1
電話:0261-23-1102
ホームページ:miasacoffee.com

パンフレット。美麻珈琲は、大町市中山高原にあり、お店の近くからは後立山連峰がきれいに見えます。菜の花の時期など花の黄色と山の雪の白のコントラストが美しいです。

   

いただいたコーヒー豆


すき楼 (すき焼・しゃぶしゃぶ 長野市)

2017-07-28 20:06:01 | グルメ

すき焼・しゃぶしゃぶの「すき楼」には、宴会などで夜は何度かお邪魔していますが、今回、北長野方面に出かけたついでにランチに入りました。11時30分の開店時には、駐車場は満杯になっていて人気があるようです。僕は、サービスランチのすき焼重(肉大盛り)を頼みました。

すき焼のほかに、しゃぶしゃぶ、ステーキなどメニューが豊富で、雰囲気も庶民的なので、家族の会食や仲間内の宴会などに気軽に使えます。また、善光寺に比較的近く、車で観光にお見えになる方も利用しやすいお店です。

わかりやすい看板。着いた時には、まだ開店前でした。

駐車場はお店の玄関前の他に、裏にもあります。

営業中の札に変わりました。

カウンターと小上がり。2階には宴会場があります。一人だとカウンター席に腰かけます。

小上がり席。すぐにいっぱいになりました。

初めにこのセットがきます。きゅうりの漬物と煮物の小鉢です。

ランチサービスのすき焼重(肉大盛り)です。

牛肉の他に野菜なども入っていて、美味しくいただきました。隣の席の方が注文していた和風のステーキランチも美味しそうでした。

【すき楼】

住所:長野県長野市三輪1丁目25−18
電話: 026-256-8203
ホームページ:sukirou


野地秩嘉著「ビートルズを呼んだ男」(小学館文庫)

2017-07-27 20:02:03 | 読書

タイトルが気になったので、購入した文庫本です。著者は、ノンフィクション作家の野地秩嘉(のじつねよし)さんで、元々2001年に幻冬舎文庫より刊行された『ビートルズを呼んだ男 伝説の呼び屋・永島達司の生涯』に加筆修正が加えられて、小学館から2017年4月に発行されたものです。

   

この本は、1966年6月のビートルズの来日公演開催の経緯や日本武道館における公演そのものと、警備などその周辺がドキュメンタリー風に描かれていて、ことにビートルズファンには関心を呼ぶ内容です。そういった内容が詳しく描かれていますが、もともとは、プロモーターとして活躍した永島達司(キョードー東京創立者)の生涯に焦点を当てた本です。

   

永島達司のビジネスぶりを読み進むにつれて、プロモーターという職業は、人とのつながりや信用がいかに大事であるかということを痛切に感じさせられました。同時に、プロモーターという仕事は、当たる当たらないといった「かけ」のようなところがあり、それによって神経をすり減らすことが日常茶飯事だったろうと思わされました。

僕が嬉しかったのは、永島達司は元来ジャズが好きで、ジョージ・ルイスやルイ・アームストロング、ナット・キング・コールなどジャズミュージシャンをキャリアの初めには呼んでいることです。自分がいいと思い、日本で紹介したい人を呼ぶという考えが根底にあって、プロモーターの活動を行っているのに深く共感し、尊敬の気持ちを抱きました。

   

ビートルズに関心のある方や音楽ビジネスに興味がある方、戦後のジャズの状況を知りたい方など、多くの人に面白く読んでもらえる本です。


ベニー・ベイリー SERNADE TO A PLANET

2017-07-26 20:21:19 | トランペット・トロンボーン

今年もセイジ・オザワ松本フェスティバル(旧サイトウ・キネン)が8月13日から開催されますが、ファビオ・ルイージ指揮のマーラー「交響曲第9番」と、ふれあいコンサートⅢ(シェーンベルク「月に憑かれたピエロ」等)のチケットを購入しました。先日、昨年の模様をレポートした「2016OMF Report」を送っていただきましたが、昨年のルイージ、小澤征爾の演奏はよかったので、今年のフェスも期待できそうです。世界中から演奏者が集まるので、ジャズもヨーロッパからのものを。

BENNY BAILEY (ベニー・ベイリー)
SERENADE TO A PLANET (EGO 1976年録音)

   

ベニー・ベイリー(tp)は、アメリカでもキャンディドレーベルに「Big Brass」というアルバムを残していますが。渡欧してヨーロッパにずっと住み続け、録音もマイナーレーベルが多かったためか、日本ではほとんど注目されることがなかったように思います。このアルバムなどはもっと知られてよいものではないでしょうか。

メンバーは、ベニー・ベイリー(tp)、フェルディナンド・ポヴェル(ts)、ジョー・ハイダー(p)、イズラ・エッキンガ―(b)、ケニー・クラーク(ds)。ベイリーとクラークは、渡欧したアメリカのミュージシャンですが、あとの3人はヨーロッパのトップミュージシャンたちです。ジョー・ハイダーは、このEGOレーベル(ドイツのミュンヘンが本拠)を当時主宰していて、本作品のプロデュースにも当たっています。

曲はジャズオリジナルです。フェルディナンド・ポヴェル作「Aquarian Moods」と「The Kicker」、シダー・ウォルトン作「You Tell Me」、イズラ・エッキンガ―作「Little "B"」、ベニー・ベイリー作「Serenade to A Planet」と「Neptunis」の全6曲。いずれもハードバップベースの佳曲です。

ベニー・ベイリー(tp)は、高域も屈指してフレーズを作り、よく歌っています。ポヴェル(ts)は、コルトレーンからの影響がみられますが、特殊な奏法を使わないので好感がもてます。ハイダー(p)の明晰で硬質なサウンドはいかにもヨーロッパという感じです。ゆったりとしたテンポの「Aquarian Moods」は、2菅とリズム陣が掛け合うようなテーマが面白く、ポヴェル、ベイリー、ハイダーと続くソロも聴きごたえがあります。バラードの「Serenade to A Planet」は、ベイリーのソフトな語り口が美しく、リズミカルな「Neptunis」では、エッキンガ―(b)もソロをとっています。

【2017セイジ・オザワ松本フェスティバル チラシ】

   

   

(2016OMF Report)

2016年のフェスティバルの模様を記録した冊子です。抜粋ですが、公演の模様を収録したCD付きです。