安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジュディ・ホリデイ TROUBLE IS A MAN

2011-07-31 10:22:20 | ヴォーカル(E~K)

先週の火曜日は、東京出張で、六本木にある大使館や麻布、池袋にある商事会社などを訪問していたところ、トラブルが発生したので、早く長野へ戻れとの連絡がありました。都内のジャズクラブに予約を入れてあったのですが、キャンセルして泣く泣く長野市へ戻ってきました。仕方ないことですが、最近プライベートの予定がよく変わります。今日は「Trouble Is A Man」という曲がタイトルのアルバムです。

JUDY HOLLIDAY (ジュディ・ホリデイ)
TROUBLE IS A MAN (COLUMBIA 1958年録音)

 Troubleisamanjudyholliday

「Trouble is a Man」は、アレック・ワイルダーの作詞・作曲になる1944年の曲。歌詞の大意ですが、「問題なのは、もう私を愛さない男。いい評判をきかないけど、彼がいないのはいや~」というようなトーチ・ソング(失恋の歌)ととりましたが、歌詞のニュアンスが難しい。クリス・コナー、スー・レイニーら多くの歌手が歌っています。

ジュディ・ホリデイは、1921年生まれで、44年にブロードウェイにデビュー。46年からの「Born Yesterday」がヒットし、50年には映画化され主演し、この映画でアカデミー主演女優賞を獲得。57年のミュージカル「Bells Are Ringing」では、トニー賞主演女優賞(ミュージカル部門)を得ました。残念ながら、65年に癌で若くして亡くなりました。

編曲はグレン・オッサーが担当していてストリングス主体の伴奏、一部に男声コーラスが入ります。曲は、「Trouble is a Man」、「How About Me」、「What I Was Warned About」、「I Got Lost in His Arms」、「What'll I Do」、「Lonely Town」、「Am I Blue」、「Confession」、「An Occasional Man」、「A Ride on a Rainbow」、「Where Have You Been」、「One of God's Children」の12曲で、あまり知られていない佳曲も選ばれています。

彼女の声の質は、ややハスキーですが、高音部分はストレートで、綺麗でふくよかです。ミュージカル出身ですが、繊細な歌唱をしており、大げさな表現はとりません。そういった特質が出ている「Trouble is a Man」、「How About Me」、「What'll I Do」、「A Ride on a Rainbow」、「Where Have You Been」といったバラードがよく、特にタイトル曲と「What'll I Do」を代表に挙げます。黒い衣装のポートレート写真を使ったジャケットも素敵で印象に残ります。

【JUDY HOLLIDAYの歌うTROUBLE IS A MAN】

 youtube Judy Holliday


コールマン・ホーキンス ENCOUNTERS BEN WEBSTER

2011-07-24 21:35:48 | テナー・サックス

長野県南部の飯田市に出張してきました。昼食には、その土地のものを出してくれるお店に行きましたが、「五平餅」、「山女魚の塩焼き」、「冷やし蕎麦」などが出てきました。「五平餅」は、甘辛いたれがたっぷりのっていて、美味しかった。「五平餅」は、木曽地方の特産だとばかり思い込んでいたので、飯田で出されたので驚きましたが、こちらの地方でも伝統食だとのことです。ベテランのサックス奏者による演奏を聴きました。

COLEMAN HAWKINS (コールマン・ホーキンス)
COLEMAN HAWKINS ENCOUNTERS BEN WEBSTER (Verve 1957年録音)

 Encounter_ben_webster

テナー・サックスは、ジャズの花形楽器で、スイング時代においても多くのスターが登場しました。その中の二人が顔を合わせたこのアルバムは、親しみやすいスタンダード曲の収録、そして同じ曲でソロをとりあっているので、二人のサウンドやスタイルの違いも味わえ、飽きのこないものです。たまには、スイング系のテナーを聴いてみようという時にも重宝する作品です。

コールマン・ホーキンス(ts)、ベン・ウェブスター(ts)、オスカー・ピーターソン(p)、ハーブ・エリス(g)、レイ・ブラウン(b)、アルヴィン・ストーラー(ds)という豪華メンバー。テナーの両巨頭がどういうプレイをしているかに興味が惹かれます。

曲目は、「Blues for Yolande」、「It Never Entered My Mind」、「Rosita」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「Prisoner of Love」、「Tangerine」、「Shine on Harvest Moon」で、コンチネンタルタンゴの名曲「Rosita」(La Rosita)が入っています。僕は、オランダのマランド楽団が演奏する「La Rosita」が好きだったので、はじめてこの曲名を見た時に、ホーキンスがタンゴをやっているのかと驚きました。

「Rosita」は、タンゴ演奏のようなリズムの強調はなくテナー・サックスに焦点をあてていて、ホーキンス(ts)、ウェブスター(ts)ともに最後まで哀切なメロディを際立たせています。「You'd Be So Nice To Come Home To」は、ベン・ウェブスター(ts)が先発で、テーマ、ソロと続けますが、息を洩らしながらの重厚なプレイで、この有名曲の数あるヴァージョンの中でも忘れ難いものです。「Prisoner of Love」、「Tangerine」と二人のベテランによる余裕あるプレイが堪能できます。ピーターソン(p)が、それぞれの曲でイントロをつけています。

【Rosita】

YouTubeにあるものを貼り付けました。このアルバムのヴァージョンです。
YouTube: BEN WESTER & COLEMAN HAWKINS.La Rosita

【五平餅】

五平餅とは、ご飯を多少粒が残る程度につぶした(半殺し)ものをわらじ型・眼鏡型に整え、甘めのタレを使い焼き上げたもの。五平餅は、お米が貴重とされていた時代にお祭りや祝い事の席などハレの日に食べられていました。タレは味噌またはしょうゆをベースしたものに、すりつぶしたくるみ、ゴマ、エゴマなどを加えたもの。

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昼食をとった「かん田」で出された五平餅。味噌ベースにくるみなどが入ったタレでした。ボリュームもあり、美味でした。写真はボケています(笑)

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            馳走「かん田」の外観。
飯田市三日市場2109-1 
電話0265-28-1818  「かん田」ホームページ 


デクスター・ゴードン A DAY IN COPENHAGEN

2011-07-20 23:42:18 | テナー・サックス

先日、長野市内のホテルで行われた、食品関連の業界の研修会及び懇親会に出席しました。懇親会は、各テーブルに別れてのディナーでしたが、コースが終了するころ、青森県を本拠地とする4人組のアイドルユニット「りんご娘」が登場し、持ち歌や童謡を披露したり、クイズをやったりと賑やかな1時間半程のショーが行われました。長野までよく呼んできたものです。元気で楽しかったのですが、ジャズを聴きたくなり、帰宅後はハードバップに浸りました。

DEXTER GORDON (デクスター・ゴードン)
A DAY IN COPENHAGEN (MPS 1969年録音)

 Adayincopenhagendextergordon

いまどきのポップスを聴いたあとは、ブルージーな音が恋しくなります。ブルーノート・レーベルのアルバムをはじめいろいろと手に取りましたが、ここはケニー・ドリューがのっけから乗り乗りのデクスター・ゴードン名義のMPSレーベル「コペンハーゲンの一日」にしてみました。

メンバーは、渡欧組の米国ミュージシャンが4人で、デクスター・ゴードン(ts)、スライド・ハンプトン(tb)、ケニー・ドリュー(p)、アート・テイラー(ds)に、ディジー・リース(tp)、ニールス・ペデルセン(b)という6重奏団。このメンバーですからそれぞれのソロも期待できますが、ハンプトンが全曲の編曲を手掛けてアンサンブルを整えています。

曲は、スライド・ハンプトン作の「My Blues」、「A New Thing」、「A Day In Vienna」に、スタンダードが3曲で「You Don't Know What Love Is」(あなたは恋を知らない)、「What's New」、「The Shadow of Your Smile」(いそしぎ)の6曲。

「My Blues」では、早いテンポにケニー・ドリュー(p)が乗って、はじめから躍動感あふれるソロを繰り広げます。この出だしが最高で、特にこの部分を聴きたかったのです。「The Shadow of Your Smile」は、ゴードン(ts)のワンホーンで演奏され、どっしりとした彼のプレイと、ドリュー(p)の美しいタッチに笑みがこぼれました。「You Don't Know What Love Is」と「What's New」は、意表をついた早めのテンポで、アンサンブルは面白いけれど、できればスローでやってほしかった。

【りんご娘】

青森県のりんごなど特産品のPRなどをしているダンス&歌のアイドル・ユニットです。シングルCDを売っていたので買いました。先月、「さんまのスーパーからくりテレビ」に出たそうです。今回初めてホテルでのショーに呼ばれて、たいへん喜んでいました。

 Trainringomusumecd   Ringomusumeportrait

 「Train」は非公式な東北新幹線応援歌だそうですが、元気のいい歌声に情緒もからめたいい歌です。りんご娘の公式サイトはこちらです。 りんご娘公式サイト


ハービー・マン STANDING OVATION AT NEWPORT

2011-07-17 20:06:14 | その他木管楽器

先週、用事があって、大町市、安曇野市、松本市と回ってきました。時間に余裕があったので、少し足を延ばして、長野県北安曇郡池田町の葡萄畑と安曇野市の農業用水路「拾ケ堰」に寄ってみました。夏空で雲もたくさん出ていましたが、里から北アルプス(飛騨山脈)を見ると、しばし、すっきりとした気分になりました。本当は違う意味ですが、「蒸し蒸し」を連想させる「Mushi Mushi」が入っている夏のご機嫌なライブアルバムを聴きました。

HERBIE MANN (ハービー・マン)
STANDIONG OVATION AT NEWPORT (ATLANTIC 1965年録音)

 Standingovasionatnewportherbiemann

フルートのハービー・マンがATLANTICに録音したアルバムは、ポップでコマーシャルな面が強いので、ハードバップファンには評判がよくなかったのか、僕はジャズ喫茶で彼の作品を聴いたという記憶がありません。その時代では、「At The Village Gate」が代表作にあげられますが、こちらも楽しさいっぱいで夏向きです。

ハービー・マン(fl)、デイヴ・バイク(vib)、チック・コリア(p)、アール・メイ(b)、ブルーノ・カー(ds)、ポテト・バルディス(コンガ)、「Comin' Home Baby」だけ作曲者のベン・タッカー(b)がメイと交代して弾いています。John HitchcockとMark Weinsteinというトロンボーン奏者も加わります。パイクとコリアを擁した豪華な顔ぶれで、マンのスカウト能力が発揮されたものでしょう。

ハービー・マンのフルートの音は、いかにも軽やかで、小さな鳥が空をまっているような光景を想いうかべます。曲目は、そんなプレイに相応しく、マンとパイクの共作「Patato」、オリバー・ネルソン作「Stolen Moments」、マンの「Mushi Mushi」、ベン・タッカー作のヒット曲「Comin' Home Baby」の4曲。「Mushi Mushi」だけ1965年5月のヴィレッジ・ゲイトにおける録音で、後は同年7月のニューポート・ジャズフェスティバルにおける録音です。

まず素晴らしいのは、オーソドックスなハードバップともいえるミディアム・テンポの「Stolem Moments」で、マンの吹くテーマもグルービーでかっこいいのですが、チック・コリアのピアノ・ソロがフレッシュ。賑やかなリズムでコンガも活躍する「Patato」、ベン・タッカーが加わり、メンバー紹介も行われる「Comin' Home Baby」は、それぞれかなりエキサイティングでジャズフェスに相応しい。忙しいテーマの「Mushi Mushi」の題名は、日本語の「もしもし」からとったそうです。そういえば、日本の歌謡曲「真っ赤な太陽」は、「Comin' Home Baby」に似てなくもないですね。

Comin' Home Baby

YouTube: Herbie Mann - Comin' Home Baby

ライブではなくて、シングル盤収録のヴァージョンのようです。

安曇野景色

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北安曇郡池田町のワイン用の葡萄畑。木を植えたところなので、収穫になるのは2~3年かかるようです。遠景は北アルプスです。

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1000ヘクタールの稲作用に水を供給している農業用水路の「拾ケ堰」(じっかせぎ)は、奈良井川から取水して北アルプス方面を目指し、途中で右におれて穂高有明まで続く延長15kmの水路です。通常は、アルプスの山々から水が流れてくるのですが、逆に北アルプス方向を目指して、水が流れています。3000分の1という勾配がとられているそうです。江戸時代(1816年)に開削されましたが、技術力の高さ、先人の知恵の凄さに驚かされます。

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水路の横には、自転車道が整備されていてサイクリングも楽しめます。休憩ができるようにベンチなども置かれた自転車広場の近くの橋から逆光ですが撮りました。春の景色がよいところなので、来春には訪れて桜が咲いた光景を撮りたいと思っています。


ケティ・レスター WHERE IS LOVE?

2011-07-13 23:02:19 | ヴォーカル(E~K)

半年に1回行っている車の点検をディーラーの整備工場で行いました。1か月ほど前にガソリンスタンドで、タイヤの交換を強く薦められ、その時は断りましたが心配なので、今回の点検で状態をよく見てもらいました。答えは「まだまだ大丈夫でタイヤ交換は必要ありません。」でした。当然ですが専門の整備士の方が信頼が置けます。なんだか儲かった気分になり、帰宅途中で豪華な夕食を摂りました。ゴージャスなヴォーカルです。

KETTY LESTER (ケティ・レスター)
WHERE IS LOVE? (RCA 1964年録音)

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器楽ものを続けて聴いていたので、真夜中に相応しいヴォーカルを聴こうと、結構気に入っているケティ・レスターのスタンダード集にしてみました。ケティ・レスターはオールディーズの歌手といってもよく、1962年にEraレーベルに録音した「Love Letters」がビルボードの第5位まで上がるヒットとなり、同年「But Not For Me」もヒットしています。

ケティの「Love Letters」は、同じ編曲でエルヴィス・プレスリーがカヴァーし、66年にヒットさせています。彼女の歌手としての活躍は60年代が主でしたが、その後は女優としてもテレビなどに出演をしています。キャリアの初期に、キャブ・キャロウェイ楽団の歌手としてヨーロッパツァーに参加していたようで、実力は元々認められていたのでしょう。

編曲はフランク・ハンターが行い、弦を中心にビッグバンドも加わる伴奏です。「Where is Love?」、「My Romance」、「That's All」、「Wouldn't It Be Loverly」、「Love Locked Out」、「Deep Purple」、「Lover Man」、「Skylark」、「The Sweetest Sounds」、「My Foolish Heart」(愚かなり我が心)、「I Got Lost In His Arms」、「I Feel Pretty」の12曲で、バラード扱いが多いです。

声の質は、スモーキーで良く伸び、キンキンしたところは全くありません。歌は、繊細さとダイナミックスさを兼ね備え、適度なソウルフルさもあり、ことにスローな曲は情感豊かでたいへん魅力的です。「Where is Love?」、「My Romance」、「That's All」、「Deep Purple」、そして「My Foolish Heart」とバラードがよく、スイングしたものでは「Wouldn't It Be Loverly」。僕の持っているのは、日本で発売されたCDです

ケティ・レスターの歌うLove Letters

You Tubeにアップされたものを貼り付けてみました。彼女の歌う「Love Letters」は、1986年のデヴィット・リンチ監督、デニス・ホッパー、イザベラ・ロッセリーニ出演の映画「ブルー・ベルベット」に挿入されたことでも知られています。

YouTube: Ketty Lester - Love letters

WHEN A WOMAN LOVES A MAN

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ケティ・レスターのLP「When A Woman Loves A Man」(tower 1967年録音)です。編曲、内容は、リズム&ブルース系なので、ヴォーカル、ジャズファン向けではありませんでした。ヴォーカルの場合こういうことはよくあります。まあ、それも楽しみの一つです(笑)。