安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

スライド・ハンプトン THE FABULOUS SLIDE HAMPTON QUARTET

2011-02-27 16:06:08 | トランペット・トロンボーン

肩凝りがどうにも気になるので、温泉に行ってきました。今回は安曇野市の実家から北へ車で20分ほどのところにある、長野県北安曇郡松川村の「すずむし荘」です。宿泊施設やレストランもあり、ちょうどお昼頃だったせいもあり、レストランは混んでいました。ゆっくりと露天風呂にも入り温まった後は、自動マッサージ機で体全体を揉み解してみましたが、こういうのは人の手が一番ですね。少し元気を回復したので、帰宅後トロンボーンの力作を聴きました。

SLIDE HAMPTON (スライド・ハンプトン)
THE FABULOUS SLIDE HAMPTON QUARTET (Pathe-Marconi 1969年録音)

  Fabulous_slide_hampton

このごろ999円で東芝EMIが名盤をCD復刻していますが、そのラインナップの中で一番に目をひいたのがこのアルバムです。かつてLPで入手した時に、スライド・ハンプトン(tb)の迫力あるプレイ、ヨアヒム・キューン(p)のエキセントリックなピアノなど、その熱いプレイに魅せられて、しばらくの間、独身寮の狭い部屋をジャズ喫茶状態にしてしまったアルバムです。

スライド・ハンプトン(tb)といってもピーンとこないかもしれません。メイナード・ファーガソン楽団などビッグ・バンドでの活動が長く、作編曲もこなしました。1968年、ウディー・ハーマン楽団に加わって欧州楽旅した際に、ヨーロッパにとどまり、77年まで滞在します。本作は、69年にパリで録音したものです。

メンバーは、スライド・ハンプトン(tb)、ヨアヒム・キューン(p)、ニールス・ペデルセン(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)で、皆かなり自由にやっています。4曲がハンプトンの自作で、「In Case of Emergency」、「Last Minute Blues」、「Chop Suey」、「Impossible Waltz」に、J.J.ジョンソンの名作「Lament」の5曲。「Last Minute Blues」は、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)が「After Hours」(Enja)で取り上げています。

ハンプトン自体は、比較的オーソドックスなプレイなので、トロンボーンの名盤としても楽しめます。キューンは、フリーに近いモードプレイという感じですが、好き勝手にやっていていい味つけ。そして、ペデルセンのぐいぐいベース、フィリー・ジョーも燃えているようで、全員が熱い。「In Case of Emergency」から疾走しますが、途中「Lament」がやや静かなだけで最後まで走り続けます。たまに聴きたくなる激烈名盤。

すずむし荘

 住所:長野県北安曇郡松川村3363-1082
   TEL:0261-62-8500
   営業:10時~21時  日帰り温泉は毎週木曜日休み
 入浴料:大人500円、小学生以下350円

  Suzumusisoukanban

  Suzumusisouonsenzenkei

北アルプス光景

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松川村に行く途中の池田町の東側の高台からの光景です。富士山に似ているのが有明山です。別名信濃富士と言われていて、安曇野市からもよく見える山です。


マージ・ダッドソン IN THE STILL OF THE NIGHT

2011-02-23 21:28:39 | ヴォーカル(L~R)

先日、ある女性から遅いバレンタインデーですがと、クッキーをいただきました。手作りのもので、クッキー、包装紙ともに凝っていて、僕が貰うのは申し訳ない気がしました。彼女は、アルバイトとして同じ職場で働いていましたが、次の就職先の紹介をしたので、そのお礼ということだろうと思います。仕事を頑張ってくれましたが、なかなかの美人で、このアルバムのジャケットのような雰囲気に似合いそうです。飲会では、彼女の隣の席をめぐりいつも争奪戦が行われていました(笑)。

MARGE DODSON (マージ・ダッドソン)
IN THE STILL OF THE NIGHT (COLUMBIA 1959年頃録音)

 Inthestillofthenightmargedodson

名前の日本語表記が「ダッドソン」なのか、「ドットソン」なのか迷うところですが、ジャズ批評誌で使っている表記にしました。ジャケットの写真は、テーブルの上にカクテル、そして手に持った煙草からは紫煙が漂っていて、けだるいトーチソング集かと思わせますが、内容は小型コンボが伴奏したジャジーなもので、聴いてみてびっくりします。

マージ・ダッドソンは黒人ですが、歌声は、ヴィブラートをほとんどかけない、あっさりとした質感です。声はよく出ていますが、シャウトや極端なフェイクもなく、ストレートな歌が聴けます。伴奏は、Michael Colicchioが率いるコンボですが、「Little Girl Blue」だけ彼女の夫のColeridge Perkinson(p)が務めていて、この曲ではダッドソンはかなりフェイクを交えて歌っています。

G・ガーシュインやC・ポーターのものなど、スタンダード曲集です。「Sand in My Shoes」、「Someone to Watch Over Me」、「Spring is Here」、「But Not for Me」、「The End of a Love Affair」、「Looking for a Boy」、「Little Girl Blue」、「When Your Lover Has Gone」、「These Foolish Things」、「The Man I Love」、「I Cover The Waterfront」、「In The Still of The Night」の12曲。

ジャズよりのポピュラーヴォーカルという趣きですが、しっとりとしたり、リズムに乗ったりと飽きません。伴奏も含めてバラードの方をより気に入り、「Someone to Watch Over Me」や「Spring is Here」、そして、このジャケットのムードが似合う「These Foolish Things」が印象に残ります。早いテンポのタイトル曲「In the Still of The Night」など好きな曲が目白押しなこともあり、LPからCDを作り、車の中にも持ち込みました。

【いただいたクッキー】

 いくつかいただいたうちの一包みです。思いがけずだったのですが、嬉しいものです。

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ソニー・ロリンズ ON IMPULSE!

2011-02-20 07:42:50 | テナー・サックス

先日の飲会で、ある建設系会社の社長から「畑違いだけど、信州新町(長野市)の道の駅でそば屋もやっているので寄ってみて」と言われたので、安曇野市から長野市に帰る途中に寄ってみました。「そば信」というお店ですが、そば粉は、近くの左右高原でとれるものを使っていて、まさに地産地消のお店です。従業員がきびきびとして気持ちがよく、そばも美味しいものでした。後で知ったのですが、「そば信」は長野県内の道の駅の中でも傑出した飲食店だそうです。副業とはいえすごいですね。豪快なテナーを聴いてみます。

SONNY ROLLINS (ソニー・ロリンズ)
ON IMPULSE!  (IMPULSE 1965年録音)

 On_inpulse

ジャズの巨人ソニー・ロリンズの人気アルバムです。ロリンズは1959年にジャズシーンから姿を消し、61年に復帰後RCAに録音、続いてインパルスに録音し、68年に再び隠棲します。RCA時代は、フリー・ジャズに近寄っていたのですが、あまり良さが感じられませんでした。僕は、この作品を購入し初めて聴いたときに、内容がメインストリームに回帰するもので、しかも活力に満ちていたので、安堵したことを覚えています。

この作品を聴きたくなるもう一つの理由は、お気に入りの曲、マット・デニス作曲の「Everything Happens to Me」が入っていることです。フランク・シナトラの歌でヒットし、歌詞自体は「僕には悪いことばかりが起きる」という中身ですが、コード進行の面白さなどから、インストで取り上げる人の多い曲で、バド・パウエル(p)もやっています。

メンバーはソニー・ロリンズ(ts)、レイ・ブライアント(p)、ウォルター・ブッカー(b)、ミッキー・ロッカー(ds)で、ブライアントはスタンダードの演奏にぴったりですし、他も堅実なメンバーです。曲は、「On Green Dolphin Street」、「Everything Happens to Me」、「Hold 'Em Joe」、「Blue Room」、「Three Little Words」で、「Hold 'Em Joe」を除きスタンダード。

「On Green Dolphin Street」の出だしからぞくぞくします。おなじみのテーマも、変幻自在なヴァリエーションを付けた吹き方で、いかにもエネルギッシュです。スローな「Everything Happens to Me」は、どっしりとしたロリンズに対して、可憐というべきブライアントのソロの対比も面白い。「Hold 'Em Joe」では、カリプソリズムに乗りロリンズは次々とフレーズを繰り出していきます。「Blue Room」は、ズート・シムズの演奏(「Zoot」(Argo)に収録)との聴き比べも楽しい。

信州新町道の駅 「そば信」

「もりそば」は、盛りが大きく、480円という値段がうれしい。値段の安さに加えて、大根の絞り汁をつゆに使った「おしぼりそば」や天ぷら、信州新町名物のジンギスカンなどメニューも豊富なので、リピーターが多いのもうなづけます。そばは、やや黒みがかっていて、近くでとれるそば粉をつかっているとのこと。ちょくちょく寄ることになりそうですが、新蕎麦の季節には是非訪問したいお店です。

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ジミー・ヒース ON THE TRAIL 

2011-02-13 20:11:46 | テナー・サックス

携帯電話をようやく買い換えました。今までのものは画面が小さく、ワンセグも見られなかったので、ドコモポイントが20,000以上たまったのを機に、ポイントを使いバーゲン品を購入しました。仕事でも使うので携帯電話は必需品ですが、値段が高いので更新するのを躊躇していました。新品は作動が早く、画面も大きいので具合がよく、こういうデジタル機器は本当に日進月歩です。新作を提供してきたミュージシャンです。

JIMMY HEATH (ジミー・ヒース)
ON THE TRAIL (RIVERSIDE 1964年録音)

 On_the_trail

僕ははじめてジミー・ヒース(ts)のレコードを聴いたときに、ややメタリックな音の響きにジョン・コルトレーンからの影響がうかがわれましたが、一方、フレーズの方は比較的オーソドックスで、新しいところもありながら中庸をいくという取り合わせが聴いていてバランスがよく、気になるミュージシャンの一人となりました。

ジミーは、たくさんの作品を書いていて、中には新主流派の作品かと勘違いするような新鮮な曲があります。そういう曲も含んだこのアルバムは、彼の多様な面が出ています。メンバーは、ジミー・ヒース(ts)、ケニー・バレル(g)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アル・ヒース(ds)。リバーサイドレーベルではおなじみのメンバーです。

曲目は、ファーデ・グローフェの「On The Trail」、ジミー・ヒース作の3曲「Cloak and Dagger」、「Gingerbread Boy」、「Project S」、サラ・ヴォーンが歌った「Vanity」、スタンダード「All The Things You Are」と「I Should Care」の7曲。「On The Trail」は、グランド・キャニオン組曲の中の1曲で、普通は管弦楽ですが、のんびりした雰囲気がよく出ているこのジャズ・ヴァージョンも忘れられません。

全体にはハード・バップの作品といってよいのでしょうが、ことに「Gingerbread Boy」のスムーズに上下動するテーマには斬新さが感じられます。この曲はマイルス・デイビスが取り上げたので、有名曲になりました。「Project S」も、堂々たるハードな吹奏をしています。2曲のバラード「Vanity」と「I Should Care」では、ところどころにメタリックなサウンドを入れながら、原曲のメロディを生かして優しげに吹いています。ケニー・バレルは、「On The Trail」のバッキングにみるようにもう一つのホーンの役割を果たしているかのようです。

ホームページのジャズにジミー・ヒース(Jimmy Heath テナー・サックス)掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ジミー・ヒース

【I WALKED WITH GIANTS ジミー・ヒース自伝】

ジミー・ヒースの自伝です。ぼつぼつと読んでいて、まだ途中です。読み終わったらホームページの読書に感想を載せるつもりです。ジミーは所謂ミュージシャンズ・ミュージシャンで、音楽家から尊敬、重きを受けることが多いように思います。

  Iwalkedwithgiantsjimmyheath


フランク・シナトラ IT MIGHT AS WEll BE SWING

2011-02-09 23:36:15 | ヴォーカル(S~Z他)

2月に入り節分 も終わると、ショッピングモールやデパートはバレンタインデイ一色です。多分にお菓子屋さんのためではありますが、こういう思いを伝える日があってもいいですね。バレンタインデイに相応しい曲といえば、「My Funny Valentine」が定番ですが、女性、男性を問わず相手に愛を告げる歌として「Fly Me To The Moon」なんてのもよいのではないでしょうか。フランク・シナトラの歌で聴いてみます。

FRANK SINATRA (フランク・シナトラ)
IT MIGHT AS WELL BE SWING (Reprise 1964年録音)

 Itmightaswellbeswingreprise

歌詞の大意ですが、「私を月に飛ばせて、星の間で遊ばせて。そして火星や木星の春を見させて、言い換えれば私の手をとってキスしてほしいの、あなたが好きだということなの」という例えが面白い歌で、ヴァースも気が利いています。使う人はいないでしょうが、バレンタインデイにも使えそうではありませんか(笑)。

「Fly Me To The Moon」は、1954年にバート・ハワード(Bart Howard)が作詞作曲し、はじめはIn other words(言い換えれば)という題名で、フェリシア・サンダーズが歌いました。元は、ワルツだったのですが、1962年にジョー・ハーネルがボサノヴァにアレンジして知られるようになりました。シナトラの他、ナット・キング・コール、トニー・ベネットなど多くの人が歌っています。

豪華なミュージシャンが集まりました。歌はフランク・シナトラ、伴奏はカウント・ベイシー楽団、編曲はクインシー・ジョーンズです。曲は、「Fly Me To The Moon」、「I Wish You Love」、「I Belive In You」、「More」、「I Can't Stop Loving You」(愛さずにはいられない)、「Hello, Dolly!」(ハロー・ドリー)、「I Wanna Be Around」、「The Best Is Yet To Come」、「The Good Life」、「Wives And Lovers」の10曲。ヒット曲中心で、どこかで聴いたことのあるメロディーが多いです。

クインシーのアレンジは、タイトルどおりスイングさせたもので、ストリングスも入りますが、ベイシー楽団のダイナミックなアンサンブルで盛り上げています。「Fly Me To The Moon」も4ビートで、シナトラは気持ちよさそうに歌っています。レイ・チャールスのヒット曲「I Can't Stop Loving You」(こちらの歌詞はバレンタイン向きではありませんので注意!)やサッチモの楽しいヒット曲「Hello Dolly!」など、ポピュラーな曲をハリー・エディソン(tp)などのソロも交えて楽しむことができます。

ウォール街

映画「ウォール街」では、フランク・シナトラの上記アルバム収録の「Fly Me To The Moon」が主題歌として使われています。株式売買におけるインサイダー取引を描いたもので、当時の世相もわかります。オリヴァー・ストーン監督、1987年製作。

  Wallstreetdvd