長野市立図書館の棚を見ていたら、登山・ハイキング関連で面白そうな本があったので、借りてきました。副題の「ドクターが勧める賢い登山術」という内容が気になったからです。
著者の斎藤 繁さんは、1961年群馬県生まれで、群馬大学大学院麻酔神経科学分野教授・医師で、専門は手術麻酔、ペインクリニック、集中治療医学、高気圧酸素療法など。1992年日本ヒマラヤ協会クラウン峰登山隊に参加するなど国内外で登山活動を続けるとともに、山岳地帯での救命救急技術に関する臨床研究などを行っている方です。
非常に説得力のある内容で、特に中高年初心者には、参考になる本です。目次と小見出しの抜粋を記しておきます。
(目次と小見出し抜粋)
1 健康によい山登りとは
健康と登山の関係、健康登山のためのアドバイス、単独行は絶対ダメか
2 遭難例に学ぶ健康登山の鍵
山岳遭難の傾向、登山中に持病が悪化、下りで転倒し骨折
3 山登りの1日 健康管理のポイント
山登りの準備、体調チェックの目安、朝起きてからのギアチェンジ、体にやさしい下り方、下山後の体のメンテナンス
4 備えておきたい山での不調
熱中症は早期の対応が肝心、高所という環境
5 持病のある人の登山
登山で生活習慣病を予防、肥満対策は食生活改善とセットで、体からのメッセージに耳を傾けよう
(参考になりそうな個所の例)
第3章の朝起きてからのギアチェンジでは、『準備体操も欠かせない重要事項だ。運動前のストレッチングによって、心肺機能が運動待機状態になり、筋肉の循環も高まる。また、筋肉や健の柔軟性が高まり、スポーツ外傷の予防としても欠かせない。』とあります。準備体操は軽視しがちですが、「心肺機能が運動待機状態になる」など、その効用や必要性が具体的に説かれていて、重要性がよく理解できます。
同じく第3章の体にやさしい下り方の部分も目から鱗でした。『関節を長持ちさせるためにも、ソフトな着地を心かけることがポイントだ。』として、歩幅を小さくして一回一回の衝撃を小さくする、予防的に最初から杖やストックを使用する、下りの際にも十分な筋力が温存されるようなプランを考える、といった対策例を挙げています。僕は、下りが苦手なので、ここは役立ちます。
(まとめ)
第5章の登山で生活習慣病を予防では、『ウィークデーは町内で毎日2~4キロの散歩、週末は郊外の山で5時間程度のハイキング、といったパターンが生活習慣病予防の観点からは理想的である』と記し、近郊低山ハイキングも奨めています。手軽なコースで体力強化を心掛けることで、健康増進が図れるし、本格的山登りにも余裕をもって取り組めるようになるとあります。近郊低山ハイキングの奨めは、低山=里山を主に登っている僕には嬉しい記述でした。
読んでいるうちに、山へ出かけたくなりました。日常の歩行時間の延長や階段の昇降回数を増やすなど、春から夏にかけての山登りに備えていきたいと考えています。