安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジェニー・エヴァンス GONNA GO FISHIN'

2013-01-30 22:10:05 | ヴォーカル(E~K)

このところたいへん寒い日が続いています。飯田市の単身赴任宅(マンション)では、北側の部屋でCDを聴いていたのですが、どうにも寒いので床暖房がある南側の居間にオーディオ装置を移しました。併せて、長野市の自宅から女性ヴォーカルのLPを数枚持ってきて、床に置いて飾ってみました。少しは華やかで暖かそうな雰囲気になったような気がします。女性ヴォーカルです。

JENNY EVANS (ジェニー・エヴァンス)
GONNA GO FISHIN' (enja 2000年録音)

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部屋に並べたLPは、どちらというとムーディー系ですが、こちらは、歌も伴奏もモダン・ジャズそのものといった趣きのアルバムです。ジェニー・エヴァンス(vo)は、英国出身ですが、20歳の時に言語学とドイツ語を学ぶためドイツのミュンヘン大学に留学して、その時からジャズを歌い始め、一時は自身のジャズ・クラブを開いていたそうです。女優として演劇活動も行うなど、幅広い経歴の持ち主です。

ミュンヘンのジャズクラブ「Unterfahrt」でライブ録音されたもので、メンバーは、ジェニー・エヴァンス(vo)、ウォルター・ラング(p)、ピーター・オメラ(g)、イングマー・へラー(b)、ギドー・メイ(ds)、ビブール・ダルイッシュ(percussion)。伴奏陣では、ピーター・オメラ(Peter O'mara)のちょっと乾いたクリアーな音色によるソロも注目。

曲は、かなり多様です。エリントンの曲にペギー・リーが詞をつけた「I'm Gonna Go Fishin'」、ダスコ・ゴイコヴィッチの曲にジェニー・エヴァンス自身が詞をつけた「Hope」と「Love is The Answer」、オリヴァー・ネルソン作曲の「Stolen Moments」、ドイツやオーストリアの人が書いた「Fur eine Nacht Voller Seligkeit」、「In a Natural Way」、レバノンの音楽家の曲にジェニー・エヴァンスが詞をつけた「Still She Dances」、スタンダードの「The Man I Love」(私の彼氏)、「Black Coffee」、「I'm Gonna Live Till I Die」、「Angel Eyes」の11曲。

ラテン系やR&B系のアレンジがあったり、スキャットを使うなど、自由な雰囲気のステージです。ジェニーは、演劇もやっているということからか、歌詞の発音が明瞭できれいです。ブルージーで乗りがよく、ギターソロも入る「I'm Gonna Go Fishin'」、パーカッションが入り華やかで楽しく、ギターソロも歌っている「In a Natural Way」、そして、スキャットも入れた「Stolen Moments」など多彩なプログラム。サミー・デイヴィス, Jrも歌ったという「I'm Gonna Live Till I Die」を、僕は初めて聴きましたが、佳曲です。

【飯田市単身赴任宅オーディオセット】

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オスカー・ピーターソン NIGHT TRAIN

2013-01-27 17:19:47 | ピアノ

先週の月曜日に名古屋市内に所用があったので、少し足を伸ばして金城ふ頭にある、JR東海の「リニア・鉄道館」を訪れました。蒸気機関車から超電導リニアまでの実物車両の展示、高速鉄道技術の紹介、東海道新幹線沿線のジオラマなど、見ていると時間の経つのを忘れさせてくれる面白いミュージアムです。平日にもかかわらず、子供も含めて大勢の入場者がいました。中央西線を走る特急「しなの」の旧型車両があって懐かしく、記念写真も撮りました。今夜は「Night Train」で。

OSCAR PETERSON (オスカー・ピーターソン)
NIGHT TRAIN (Verve 1962年録音)

 Nighttrainoscarpeterson

「Night Train」は、デューク・エリントンの「Happy Go Lucky local」を元として、ジミー・フォレスト(ts)が作った曲で、R&Bチャートで大ヒットしました。原曲のリフ部分をもってきているのですが、テンポもかなりスローで、別の曲という印象です。今日は、モダンなオスカー・ピーターソン(p)の演奏で聴いてみました。

これは定評のあるアルバムなので、お持ちの方が多いのではないでしょうか。メンバーは、ピーターソン(p)、レイ・ブラウン(b)、エド・シグペン(ds)で、この3人は、黄金のトリオとも言われました。ピーターソンのピアノ中心のトリオであるものの、レイ・ブラウン(b)の明るめの音色によるソロ・スペースもあり、いろいろな聴き方ができます。

曲は、エリントンやベイシー楽団のものと、有名ジャズ・オリジナルです。「Night Train」、「C Jam Blues」、「Georgia On My Mind」(我が心のジョージア)、「Bag's Groove」、「Moten Swing」、「Easy Does It」、「Honey Dripper」、「Things Ain't What They Used To Be」(昔はよかったね)、「I Got It Bad and That Ain't Good」、「Band Call」、そして、ピーターソンの自作「Hymn to Freedom」(自由への賛歌)。 

トリオの3人が、それぞれ工夫を凝らして弾いていて飽きません。遅めのテンポの「Night Train」では、トレモロやグリッサンドを用いて、グルーヴィー感を出しています。ダイナミクスが直接に伝わってきて、夜汽車が疾走している光景も浮かんできます。修練のたまものもあるのでしょうが、大きな手で長い指だから軽々と離れた音同士でトレモロがきれいにできるのでしょうか。最終曲「Hymn to Freedom」まで、軽快なシングルトーンと厚い和音の響きが心地よく、体を揺らしました。

【JR東海 リニア・鉄道館】

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Riniatenji581km 
                                     リニア車両(右側)

      Shinanokyuu  
                    特急「しなの(旧型)」

      Jioramanagoyashi
                     ジオラマ名古屋駅夕方         


ミシェル・ぺトルチアーニ LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD

2013-01-23 22:18:09 | ピアノ

「モンテーニュ通りのカフェ」というフランス映画を観ました。パリのモンテーニュ通りには、音楽ホールのシャンゼリゼ劇場や演劇上演のコメディ・シャンゼリゼがあって、それらに関係する人々のお話です。ベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」の演奏場面などが出てきますが、ピアノ演奏が素晴らしくてびっくり。使われたのは、フランソワ・ルネ・デュシャーブルによる録音でしたが、彼の実際のエピソードが、映画内のドラマの一つになっていました。久しぶりに見入った映画(DVD)でした。こちらもフランスのピアニスト。

MICHEL PETRUCCIANI (ミシェル・ぺトルチアーニ)
LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD (BLUE NOTE 1984年録音)

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本作のリーダー、ミシェル・ぺトルチアーニ(p)を主人公としたドキュメンタリー映画「情熱のピアニズム」が、昨年から全国で公開されています。まだ見ていないのですが、長野市の長野ロキシーで2月下旬から上映されるようなので、それは見逃さないようにしようと予定の中に入れました。

実演は、斑尾ジャズフェスティヴァルの夜の部で、ソロ・ピアノを弾いたのを聴いたことがあります。抒情的で繊細な演奏だという先入観をもって聴いていたのですが、縦横無尽に鍵盤を行き交う演奏で、力強くもあったので驚きました。すぐにレコード店で、「Cold Blues」というデュオ作品を買い求め、当時よく聴いていました。今回取り上げた「Live At The Village Vanguard」は、元はLP2枚組でしたが、CD1枚に収録されていて、扱いが便利になっています。

メンバーは、ミシェル・ぺトルチアーニ(p)、パレ・ダニエルソン(b)、エリオット・ジグモンド(ds)。曲は、マイルスの「Nardis」、ロリンズの「Oleo」、モンクの「Round Midnight」に、ぺトルチアーニのオリジナルで、「Le Bricoleur De Big Sur」、「To Erlinda」、「Say It Again And Again」、「Three Frogotten Magic Words」、Dalffonという人の書いた「Trouble」で全8曲。自分のオリジナルに加え、超有名ナンバーを選曲していて、意気込みが伝わってきます。

硬質なタッチで華麗でクールなプレイが続きます。バップナンバーも取り上げていて、バップピアノ系統が好みのファンにもアピールする内容だと思います。「Oleo」における早くて細かいパッセージには、スリルがあって興奮させられます。スロー・テンポで演じられる「Trouble」は抒情的な曲で、ぺトルチアーニの音の美しさ、盛り上げ方がよくわかります。自作の「To Erlinda」では、はじめ前奏風に入り、リズムが加わって次第に熱くなっていき、ダニエルソン(b)のソロも短いですがよくて、終わったあと、会場から拍手がたくさんされています。

【モンテーニュ通りのカフェ】

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ミルト・ジャクソン BAGS & TRANE

2013-01-20 11:15:25 | ヴァイブ、オルガン他

1月14日深夜から15日にかけて、長野県下伊那郡阿南町新野の伊豆神社で行われた、「新野の雪祭り」に行きました。国重要無形民俗文化財になっている豊作を願うお祭りです。徹夜で14の舞いが奉納されますが、これらは日本の芸能の原点とも言われます。舞いにはそれぞれ特徴がありますが、ダイナミックでリズミカルであり、見ていても楽しいものでした。そんな演奏が収録されています。

MILT JACKSON (ミルト・ジャクソン)
BAGS & TRANE (ATLANTIC 1959年録音)

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ミルト・ジャクソン(vib)とジョン・コルトレーン(ts)の組み合わせは、心惹かれるものがあり、昔からLPで聴いていました。未発表だった3曲が「コルトレーン・レガシー」(1970年発売)で世に出ましたが、その3曲(Stairways to The Stars、Blues Legacy、Centerpiece)が廉価盤CDに追加されていたので、今回、そのCDを購入しました。

メンバーは、ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・コルトレーン(ts)、ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、コニー・ケイ(ds)。コニー・ケイはMJQのドラマーなので、共演していても不思議ではないのですが、こういうハードバップ系セッションには過不足はないけど、もう一つ物足りない気がします。ポール・チェンバースは、ふくよかな音で弾いていて、ベースに焦点を当てて聴いても、面白く聴けます。

曲は、ミルト・ジャクソン作が3曲で「Bags & Trane」、「The Late Late Blues」、「Blues Legacy」、ディジー・ガレスピー作「Be-Bop」、ハリー・エディソン作「Centerpiece」、あとはスタンダードで、「Three Little Words」、「The Night We Called It A Day」、「Stairways to The Stars」(星へのきざはし)の8曲。スタンダードの中に入れましたが、マット・デニス作の「The Night We Called It A Day」が収録されているのが嬉しいところです。

くつろいだ、和気藹藹としたセッションですが、コルトレーンの参加が刺激を加えていて、メリハリの利いた甘さに流れない内容です。中でも、テンポが早く、リズミカルな「Three Little Words」は、心地よいミルトのテーマ演奏に続き、コルトレーンの複雑なソロ、ミルトのエキサイティングなソロが続き素晴らしく、チェンバース(b)の音の動きにも耳を奪われます。他にも、「Bags & Trane」、「The Night We Called It A Day」、「Be-Bop」など、さすがにこのメンバーだけのことはある演奏ばかりです。

【新野の雪まつり】

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ルース・ブラウン BLUES ON BROADWAY

2013-01-16 20:34:33 | ヴォーカル(L~R)

先週、今週と新年会が続いています。飯田市のある経済団体の新年会に出席したところ、このところの円高是正傾向と株高、そして国の補正予算による公共事業の追加などで、会社の経営者をはじめ幹部の方々は明るい表情を浮かべていました。もちろん、それぞれの会社の業績はまちまちなのですが、足元を固めてもらうことがまず必要だとのことです。アトランティック・レーベルの礎を築いたヴォーカリスト。

RUTH BROWN (ルース・ブラウン)
BLUES ON BROADWAY (Fantasy 1989年録音)

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ルース・ブラウン(vo)は、R&Bやロックン・ロールのファンならご存知の、1950年~60年代はじめにかけてヒットを連発したスターです。「Teardrops in My Eyes」、「I'll Wait For You」、「Mama He Treats Your Daughter Mean」、「Manbo Baby」、「Lucky Lips」をはじめ、チャートを席巻していました。60年代は活動を控えていましたが、75年から再開し、映画「ヘアスプレー」やミュージカル「Black and Blue」への出演などを行い、ロックの殿堂入りも果たしています。

これは、ルースが「Black and Blue」(彼女はトニー賞を受賞)で歌った3曲をはじめ、ミュージカル中で歌った曲を中心として録音されたもので、グラミー賞を受賞しています。メンバーは、ルース・ブラウン(vo)、スパンキー・デイヴィス(tp)、ハンク・クロフォード(as)、レッド・ホロウェイ(ts)、ブリット・ウッドマン(tb)、ボビー・フォレスター(p,org)、ロドニー・ジョーンズ(g,banjo)、アル・マッキボン(b)、グラディ・テイト(ds)。伴奏陣は豪華で、各人のソロやオブリガートもたっぷりと入ります。

曲は、「Nobody Knows You When You're Down and Out」、「Good Morning Heartache」、「If I Can't Sell It, I'll Keep Sittin' On It」、「Tain't Nobody's Biz-Ness If I Do」、「St. Louis Blues」(セントルイスブルーズ)、「Am I Blue」、「I'm Just A Lucky So and So」、「I Don't Break Dance」、「Come Sunday」。スタンダードとブルーズ系の曲に交じり、エリントンの曲が2曲入ってます。なお、「I Don't Break Dance」と「Come Sunday」はCD化の際の追加曲ですが、テンポが早めの「I Don't Break Dance」は、乗りのよい楽しい曲です。

グルーヴィーでブルース寄りのヴォーカルを聴きたい時に取り出すアルバムです。ルースは「ミス・リズム」と呼ばれましたが、スロー・ナンバーでも素晴らしいグルーヴ感を出します。「Nobody Knows You When You're Down And Out」、「Taint Nobody's Biz-Ness If I Do」そして「St.Louis Blues」と、ためを利かせた力強い歌声が聴けます。伴奏のサウンドもそれらしく、ホロウェイ(ts)らのソロも聴きもの。バラード「Am I Blue」は、モダンな出来栄えで、ロドニー・ジョーンズ(g)の伴奏が光ります。