安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ミルト・ジャクソン STATEMENTS

2014-06-29 09:46:46 | ヴァイブ、オルガン他

推理小説でも買って読もうかと、長野市内のブックオフに立ち寄ったところ、コミックの「坂道のアポロン」が全巻揃いでありました。ジャズが登場する青春ものだということは、どこかで読んで知っていたので、全巻購入しました。いま読んでいる途中ですが、ジャズのプレイを通じて知り合った仲間が、恋愛もからめて成長していくというようなストーリーです。ビル・エヴァンス、アート・ブレイキー、チェット・ベイカー、ミルト・ジャクソンらの名前が出てきます。今夜はミルトで。

MILT JACKSON (ミルト・ジャクソン)
STATEMENTS (IMPULSE 1961年録音)

   Statementmiltjackon

ミルト・ジャクソン(vib)のリーダー作は、いくつも購入してきましたが、外れたという記憶がありません。スイングしてブルージーで、僕の好みに合っているからです。インパルスに録音した、このアルバムは、共演者が面白くて、初めてメンバーを見た時には、へんな組み合わせだと思いましたが、聴いた結果はいいものでした。

メンバーは、ミルト・ジャクソン(vib)、ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、コニー・ケイ(ds)。コニー・ケイは、モダン・ジャズ・カルテットの一員ですが、このアルバムでは、ずいぶんと伸び伸びと叩いています。ハンク・ジョーンズをはじめサイドメンのソロスペースも多く、リーダーはヴィブラフォンですが、他の3人の演奏に耳を傾けることもできます。

曲は、ミルト・ジャクソンの自作が主です。ミルト作が4曲で、「Statement」、「A Thrill From The Blues」、「Put Off」、「A Beautiful Romance」、ディヴィッド・ラクシン作「Slowly」と「The Bad And The Beautiful」、デューク・エリントンの「Paris Blues」、そしてソニー・ロリンズ作「Sonnymoon For Two」の全8曲。ロリンズの「Sonnymoon ~」はもちろん、ブルーズ系統のミルトの自作など、聴く前からワクワクします。

ポール・チェンバース(b)の太く豊かなサウンドに支えられて、ミルト・ジャクソン(vib)のブルージーなプレイが続きます。「Statement」では、コニー・ケイ(ds)が結構派手なドラミングをしていて、人違いしたのかと思いました。「Slowly」では、繊細でロマンティックなミルトのプレイがよく、おなじみの「Sonnymoon For Two」では、ミルトのプレイはファンキーで、ハンク・ジョーンズ(p)の美しい音色による端正なソロも印象に残ります。

【坂道のアポロン(小玉ユキ作)】

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1巻~9巻が本編。上記は10巻目で、ボーナス・トラックと記載されているのが面白い。


ディジー・ガレスピー HAVE TRUMPET WILL EXCITE!

2014-06-25 22:15:48 | トランペット・トロンボーン

しばらく前ですが、所用で新潟県上越市に行った際に、時間があったので、高田城址まで足を伸ばしてきました。高田城は、平野に作られた城で、元々天守閣はなく、三層櫓(現在のものは再建されたもの)があるだけですが、お堀もあって、城址らしいたたずまいでした。今年(2014年)が開府400年に当たる高田藩は、長野市川中島にも所領を持っていたことがあり、こちら(信州)とも関係があったようです。バトルではありませんがエキサイトする演奏。

DIZZY GILLESPIE (ディジー・ガレスピー)
HAVE TRUMPET WILL EXCITE! (VERVE 1959年録音)

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ディジー・ガレスピー(tp)は、バップ時代からの巨人でありながら、雑誌などで取り上げられる機会が少ない気がします。実は、このブログでも今まで取り上げていないのですが、特に理由があるわけではありません。キャリアが長いだけに、沢山の録音がありますが、Verve時代のガレスピーのビッグ・バンドやコンボは、メンバーもよく、一時よく聴いていました。

メンバーは、当時のレギュラーグループで、ガレスピー(tp)、ジュニア・マンス(p)、サム・ジョーンズ(b)、レックス・ハンフリーズ(ds)、レス・スパン(g, fl)、曲によってコンガのポテト・バルディスが加わっています。ガレスピーのワン・ホーンですが、ミュートも使い柔らかく吹いています。トランペットを持ち、笑顔を捉えたジャケットがかっこいいです。

曲は、スタンダードがほとんどです。「My Heart Belongs to Daddy」(私の心はパパのもの)、「My Man」、「Moonglow」、「St. Louis Blues」(セント・ルイス・ブルース)、「Woody'n You」、「Wrap Your Troubles In Dreams」(苦しみを夢にかくして)、「There is No Greater Love」、「I Found A Million Dollar Baby」の全8曲。

ガレスピー(tp)が軽やかに名曲をプレイしています。「My Heart Belongs to Daddy」では、ラテン・リズムに乗り、ミュートで表情豊かなソロをとります。「My Man」は、大袈裟なイントロも面白いですが、イン・テンポになってからはスイングし、ガレスピーは有名曲からフレーズを引用するなど楽しい。「Woody'n You」は、コンガが入り賑やかに始まり、次第にエキサイトしていきます。「Wrap Your Troubles In Dreams」は、ミディアムテンポで、ギター、ピアノのソロも入り、リラックスした演奏。

【高田城三層櫓】

所在地:新潟県上越市本城町高田公園
ホームページ:上越市ホームページ 高田城三層櫓

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櫓の3階から撮ったお濠の景色。

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お濠にかかる極楽橋。この橋を渡ってしばらく行くと本丸(跡)です。


ケニー・クラーク THE GOLDEN EIGHT

2014-06-22 09:42:59 | ベース・ドラムス

先週の日曜日、父が蕎麦を食べたいと言うので、安曇野市からちょっと足を伸ばして、松本インターの近くにある「榑木野」という蕎麦(兼うどん)屋に行ってきました。このお店は、県外にも名前が知られているようで、次々とやってくる車は県外車が多いようです。僕は、「穴子天ざるそば」をいただきましたが、蕎麦の盛りがよく、天ぷらも大きいので、満腹になりました。盛り沢山な内容の作品。

KENNY CLARKE - FRANCY BOLAND  (ケニー・クラーク、フランシー・ボラーン)
THE GOLDEN EIGHT (BLUE NOTE 1961年録音)

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ブログ・タイトルではケニー・クラークをリーダーとしましたが、フランシー・ボラーンとの双頭バンドです。ヨーロッパ在住のミュージシャンによりケルンで録音されたもので、ブルーノートがテープを買い取って発売したものです。僕がこれを入手したのは、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)の渡米前の録音が聴けるせいですが、ボラーンによるフレッシュな作編曲やメンバーの良さもあって、入手した日本盤LPをたまに聴いています。

 8人編成のコンボによる演奏です。メンバーは、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)、Raymond Droz(alto horn)、Chris Kellens(bariton horn)、デレク・ハンブル(as)、カール・ドレヴォ(ts)、フランシー・ボラーン(p)、ジミー・ウッド(b)、ケニー・クラーク(ds)。楽器編成が面白く、トロンボーンの代わりというわけではないのでしょうが、アルト・ホルンとバリトン・ホルンが入っています。ダスコのプレイが注目されますが、ハンブル(as)やドレヴォ(ts)も活きのよいソロをとっています。

曲は、ボラーンの自作が、「La Campimania」、「High Notes」、「The Golden Eight」、「Strange Meeting」、「Dorian 0437」、「Basse Cuite」の6曲、スタンダードが、「Gloria」、「Softly As In A Morning Sunrise」(朝日のようにさわやかに)、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「Poor Butterfly」の4曲。編曲は、フランシー・ボラーンが担当しています。

後のビッグバンドの原型バンドですが、編成が少ない分、個人のソロに焦点が当てられています。デレク・ハンブル(as)の「Gloria」や「Golden Eight」におけるソロ、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)の「Dorian 0437」におけるソロ、そして注目したいテナー奏者のカール・ドレヴォ(ts)の「You'd Be So Nice To Come Home To」におけるソロと、はつらつとして闊達なプレイが収録されています。「Poor Butterfly」では、フランシー・ボラーン(p)の編曲により、スローテンポでその美しいメロディーを味わうことができます。

【榑木野】

住所:長野県松本市島立859番地
お店のホームページ:榑木野ホームページ

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お店の外観と入り口。

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写真はボケていますが、注文した「穴子てんざる蕎麦」。


コニー・エヴィンソン SWEET HAPPY LIFE

2014-06-18 21:55:00 | ヴォーカル(A~D)

このところ太ったせいか、持っていたスーツが合わなくなって、イージー・オーダーでスーツを2着作りました。僕は、服装にはあまり頓着するほうではありませんが、さすがに窮屈になってしまい、以前のものは諦めました。寸法を測ってもらうと、明らかにふくよかになっていました。ダイエットをするつもりはあるのですが、できるかどうか(笑)。タイトルがイージーな気がしますが、曲名です。

CONNIE EVINGSON (コニー・エヴィンソン)
SWEET HAPPY LIFE (Minnehaha 2012年録音)

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暑くなってきたので、ボサノヴァを多く取り上げたものを聴きます。これは、ありそうでなかった作詞家Norman Gimbel(ノーマン・ギンベル)の作品集です。彼は、ボサノヴァの曲に英詩をつけたことで知られていますが、そればかりでなく、1973年、ロバータ・フラックの歌で大ヒットした「Killing me softly with his song」(やさしく歌って)などオリジナルな作詞も手がけています。コニー・エヴィンソンは、どの曲も気持ちよく聴かせてくれて、この夏はこのCDの出番が多くなりそうです。

ヴォーカルは、コニー・エヴィンソンですが、伴奏陣は、ギター、ピアノ、ベース、ドラムス、サックス、ヴァイオリン、チェロなど、のべ18人もいました。曲ごとに編成を変えていますが、大型編成のバンドはなく、数人以下で録音に当たっています。編曲は、ギタリストのDanny Embreyが、大部分を担当しています。

曲は16曲です。「Agua de beber」(おいしい水)、「Meditation」、「Slow Hot Wind」、「Sweet Happy Life」(Samba De Orfeu オルフェのサンバ)、「Killing Me Softly With His Song」(やさしく歌って)、「Canadian Sunset」(カナダの夕陽)、「Watch What Happens」、「The Girl From Ipanema」(イパネマの娘)、「Sway」(キエンセラ)、「Bluesette」、「How Insensitive」、「Take Me to Aruanda」、「So Nice」、「Adventure」、「I Will Wait For You」、「Tristeza」。「Adventure」は、今まで録音されたことはなく、世界初録音のようです。

コニー・エヴィンソン(vo)は、ボサノヴァ曲をはじめリズムに乗って何気に歌っていますが、軽いフェイクをつけるなど変化をもたせています。コーラスも入り賑やかな「Agua de beber」、静かで幻想的な「Meditation」、タイトル曲の「Sweet Happy Life」、ボサノヴァの定番「The Girl From Ipanema」、歌詞にも出てくるヴァイオリンを伴奏に使った「Sway」、涙を誘いそうなメロディーの「I Will Wait For You」(シェルブールの雨傘)など、エヴィンソンの爽やかで涼しげな歌を堪能できます。

【ボサ・ノーヴァ詩大全(坂尾英矩著、中央アート出版)】

サッカーのワールトカップがブラジルで開かれているので、テレビにかじりついている方も多いのではないでうょうか。ポルトガル語による歌詞を日本語に訳し、解説を加えた本です。「イパネマの娘」や「黒いオルフェ」などが収録されています。久しぶりに開きました。

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ジーン・ディノヴィ・コンサート

2014-06-13 19:41:10 | 演奏会・ライブ

11日(水)に長野県安曇野市豊科のいさつ歯科医院において行われた、ジーン・ディノヴィ・コンサートに行ってきました。会場は、歯科医院の診療室なのですが、いたるところにレコードジャケットが飾られ、天井にはスピーカーがあって、ジャズを聴くための環境が整えられていました。院長の伊佐津和郎さんはヴァイブを弾き、今回の公演ではディノヴィさんと共演されました。観客は、30人ほどで、ピアノも近く、アット・ホームな雰囲気のうちにコンサートが始まりました。

マシュマロレコードの上不三雄さんによるジーン・ディノヴィの紹介のあと、本人が登場。86歳とは思えぬ若々しい足取りでピアノへ。「ニューヨークに因む曲を弾きます。」という一言のあと、ピアノを弾き始め、メドレーで様々な曲を演奏してくれました。真ん中あたりで、「Autumn In New York」(ニューヨークの秋)が、下降フレーズで奏でられ始めると、ニューヨークの夜にタイムスリップしたような気持ちになりました。

曲目をメモしたわけではないので、不確かで全部でもありませんが、プレイされた曲を記します。

・ナンシー・ウィルソンらが歌ったディノヴィの自作で最も有名な「Have a Heart」
・ディノヴィの自作で、アルバムタイトルで録音をしている「Flower of The Night」
・「グレイト・スタンダード」と言ってから演奏を始めた「Stardust」
・レイ・ブライアントの演奏でも有名な「Golden Earrings」
・伊佐津(vib)さんとデュエットした「My One and Only Love」や「The Things We Did Last Summer」(過ぎし夏の想い出)。
・左手でスタッカート気味にアクセントを入れた「Speak Low」
・休憩後の最初の曲で、上不さんによる逸話の紹介のあとに演奏された、スロー・テンポの「Tea For Two」(二人でお茶を)
・映画音楽の「Charade」(シャレード)
・ディノヴィ流にアレンジされた「Red Dragon Fly」(赤とんぼ)
・最後にアンコールで演奏された「So In Love」

ペギー・リー、ナンシー・ウィルソン、リナ・ホーン、カーメン・マクレエらの伴奏も手がけただけに、レパートリーが広くてびっくりしました。しかも、それらの曲のヴァースもしっかり演奏していました。ペダルを上手く使っているからだろうと思いますが、響きの多様性とサウンドの美しさは特筆ものです。リズム面では、4ビートにしっかりと乗るところもあるのですが、ノン・ビートで演奏される部分も多く、ビートなしでも趣向が凝らされて退屈することがありませんでした。抽斗の多さと、編曲をしっかりとしてあるせいだろうと思いました。

瑞々しい音と細部まで丁寧に弾かれた曲に満足で、ベストを挙げるとすると、「So In Love」でしょうか。この冬に発売される予定の「Gene DiNovi Plays Rodgers And Hart」(マシュマロレコード 2013年9月録音)が、会場で先行販売されていたので購入し、ディノヴィさんにサインをしてもらいました。その時にテキトーな英語で「Flower Of The Nightは好きな曲で、演奏もよかったです」と話しかけました。でも、伝わったかどうかわかりません(笑)。楽しかったコンサートでした。

【ジーン・ディノヴィ・ホームページ】

ホームページ:ジーン・ディノヴィ・ホームページ

【挨拶中のジーン・ディノヴィ】

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【サインしてもらったGene DiNovi Plays Rogers And Hart】

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