安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

コニー・エヴィンソン FEVER

2012-12-29 11:02:33 | ヴォーカル(A~D)

折からの寒さと連日続いた忘年会のせいでしょうか、風邪をひいてしまいました。熱が出るなど症状がひどかったのですが、インフルエンザの予防接種は受けていたので、幸いそちらにはいかず、体調もなんとか戻ってきました。こういう時には、ヴォーカルに限ると、比較的新しい録音のものを取り出しました。アルバムのタイトルがFever(「発熱」という意味があります。)というのは偶然で、ペギー・リーに捧げられたアルバム。

CONNIE EVINGSON (コニー・エヴィンソン)
FEVER (Minehaha Music 1999年録音)

 Feverconnieevingson

コニー・エヴィンソンは、遅いレコーディング・デヴューでしたが、昨今、日本でも知られるようになりました。僕は彼女を初めて聴いたときに、たいへん爽やかで音が安定していて気持ちがよく、いい歌手に出会ったと喜んだものです。このアルバムの日本盤ライナーでは、歌手の仲宗根かほるさんが、「トランペットのようで甘美でキュートな歌」であると賞賛し、ピッチの正確なことと、ダイナミクス(声の強弱)などの素晴らしさを挙げています。

スモール・コンボの伴奏で、メンバーのソロも入ります。コニー・エヴィンソン(vo)、サンフォード・ムーア(p)、テリー・バーンズ(b)、レーベン・リストロム(g)、フィル・ヘイ(ds)、ジョアン・グリフィス(g)、ナーザン・ノーマン(ds)、デイヴ・カー(ts、cl、fl)。デイヴ・カーが、テナー、クラリネットで効果的なソロを入れています。

曲は、ペギー・リーが歌ったものです。「I Love Being Here With You」、「Some Cats Know」、「I Wanna Be Loved」、「He's A Tramp」、「Black Coffee」、「It's A Good Day」、「Why Don't You Do Right」、「Fever」、「I Don't Know Enough About You」、「I'm Gonna Go Fishin'」、「Where Can I Go Without You?」、「Is That All There Is?」の12曲。もちろん、ペギーの歌と聴き比べもできます。

ジャズ・ヴォーカルを堪能できる作品です。コニー・エヴィンソンの声質は、明るめなので、ペギーのものと印象が異なるところがあり、エヴィンソンの個性ともなっています。「I Wanna Be Loved」、「Black Coffee」、「It's A Good Day」、「Why Don't You Do Right」、「Where Can I Go Without You?」といった歌に、新たに聴きたいヴァージョンが加わりました。曲がもともと好きなこともあるのですが、軽快でフレーズが気持ちいい「It's A Good Day」、バラード「Where Can I Go Without You?」あたりが、ことに気に入っています。

皆さん今年一年、拙ブログをご覧いただきありがとうございました。この記事が2012年(平成24年)の最終になります。来年も続けてまいりますので、引き続きご覧いただければ幸いです。それでは、よいお年を。

【雪の年末2012年飯田市内光景】
 飯田市の単身赴任宅のベランダから南方向を撮ってみました。

     Iidayukinonenmatu20121229


バド・パウエル IN SCANDINAVIA

2012-12-23 10:51:21 | ピアノ

職場の同僚が自宅で獲れたと言って、「カリン」を持ってきて籠に飾ってくれました。長野県内だと、諏訪市にあるカリン(実際にはマルメロらしいですが)並木が有名ですが、飯田下伊那地方にも木があるようです。子供の頃、カリンの砂糖漬けを食べるのが楽しみでしたが、のど飴の成分に使われるなど、カリンは喉を潤してくれます。気持ちを潤してくれるピアニスト。

BUD POWELL (バド・パウエル)
IN SCANDINAVIA (Marshmallow 1962年録音)

 Budpowellinscandinavia

バド・パウエルのような巨人の演奏でも、晩年には好不調の波があって、生気のない演奏があったことも確かです。今回、日本のマシュマロレーベルが北欧における1962年の録音から製作した、このアルバムでは、なかなか好調で、聴いていると自然に笑みがこぼれます。リリースは、2012年11月25日。

タイトル通り、デンマークのコペンハーゲンとノルウェーのオスロでの録音。コペンハーゲンのものは、パウエル(p)、ニールス・へニング・オルステッド=ペデルセン(b)、ヨーン・エルニフ(ds)のトリオによる5曲、そのトリオにブリュー・ムーア(ts)とドン・バイアス(ts)が加わったものが3曲。オスロのものはパウエル(p)、エリック・アミュンゼン(b)、オーレ・ヤコブ・ハンセン(ds)のトリオで4曲。

曲は、コペンハーゲンのトリオで「Anthropology」、「Like Someone In Love」、「Straight No Chaser」、「Round About Midnight」、「52nd Street Theme」、トリオに2人のテナーが加わった、「Rifftide」、「I Remember Clifford」、「Anthropology」、オスロのトリオで「Dance Of The Infidels」、「I Remember Clifford」、「Hot House」、「52nd Street Theme」。

オスロ録音も悪くないですが、聴き逃せないのは、コペンハーゲンにおける録音です。僕は、アルペジオの美しさや和音が自然で暖かいといったところから、パウエルの弾くスタンダードやバラードがことに好きですが、ここでも「Like Someone In Love」や「Round About Midnight」といった曲が素晴らしく、特に後者は緊張感を伴っていて、晩年のものとは思えません。早いテンポのものもよどみなくフレーズが出てきていて、中では、二人のテナーが入った「Anthropology」が面白い。コペンハーゲンの録音では、ニールス=ペデルセンのベースが貢献しています。

【カリン】

     Karin201212


ヒューバート・ロウズ THE LAWS OF JAZZ

2012-12-16 12:31:11 | その他木管楽器

近くのホールに、チェーンソーアートの展示がしてあったので、携帯電話で撮影してみました。長野県下伊那郡根羽村の根羽森林組合が作ったものですが、杉の木(根羽スギ)の丸太をいろいろな形に彫ってあって、サンタクロースやネバダゴカエル、フクロウなど賑やかです。ネバダゴカエルは、鳴き声がワンとかキャンとか聞こえる、根羽村に生息するカエルです。金管楽器と思いがちですが、木管のフルートを。

HUBERT LAWS (ヒューバート・ローズ)
THE LAWS OF JAZZ (ATLANTIC 1964年録音)

 Thelawsofjazzhubertlaws

フルートのヒューバート・ロウズですが、僕が名前を聞くようになったのは、1970年代にCTIレーベルに録音した諸作からでした。そんなところから、所謂フュージョンの演奏を専ら行っているかのイメージがあって、長らく彼のアルバムを聴こうとしませんでした。しかしながら、オーソドックスな演奏もあって、敬遠していたのがもったいなかったミュージシャンの一人です。

これは、ローズの最初期の録音の一枚で、メンバーが充実しています。ヒューバート・ロウズ(fl、ピッコロ)、チック・コリア(p)、リチャード・デイヴィス(b)、ボビー・トーマス(ds)又はジミー・コブ(ds)。アトランティック・レーベルには、ハービー・マンというスターがいて、その系列に連なる曲もあり、エンターテイメントの線も狙ったのでしょうが、チックやリチャード・デイヴィスも参加しているだけに、それだけではないセッションになりました。

曲は、ジャズ・オリジナルで、メンバーのボビー・トーマス作「Miss Thing」、「And Don't You Forget It」、ロウズ作の「Black Eyed Peas And Rice」、「Bessie's Blues」、「Bimbe Blue」、そして、カーティス・レジナルド・ルイス作「All Soul」、トム・マッキントッシュ作「Capers」の7曲。ボビー・トーマスのものは、8ビートで、ハービー・マン・グループのドラマーらしい曲です。。「Black Eyed Peas And Rose」と「And Don't You Forget It」は、ジャズでは珍しいピッコロによる演奏です。

「Miss Thing」は、ピアノとベースのパターンに導かれたリズミックで楽しい演奏。「All Soul」は、テーマに静寂が漂い、ローズの深い音色が冴えわたった美しいバラード。「Bimbe Blue」では、異国情緒が感じられるテーマから、ロウズ(fl)とチック(p)が変化に富んだソロをとり、リチャード・デイヴィス(b)も絡んだ快演となっています。それにしても、ロウズの音色は低音から高音まで本当にきれいです。これは、今年発売された限定盤1000円CDですが、同時発売されたロウズの「LAW'S CAUSE」(1966年録音)は、カラフルで、彼の別の面が聴けます。

【根羽スギチェーンソーアートの展示】

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なお、ネバダゴカエルについては、こちらをご覧ください。茶臼山カエル館


ユラ・デ・パルマ JULA IN JAZZ

2012-12-09 22:25:03 | ヴォーカル(E~K)

久しぶりに長野市の友人と飲会をしたら、いまの子供は恵まれているという話になりました。彼のお子さんは、専門学校に在学していて、勉強はしっかりとしているようなのですが、この12月は、学校の行事で欧州旅行に2週間行っているとのこと。イタリアでは、ローマ、ミラノ、フィレンツェなどを訪れるとのことで、羨ましがっていました。彼自身は、忙しくて欧州旅行へ行くような時間は取れないようです。ミラノ生まれの歌手。

JULA DE PALMA (ユラ・デ・パルマ)
JULA IN JAZZ (Sonorama 1958,59,65,67年録音)

 Julainjazzjuladepalma  

ユラ(正確な発音は「ユーラ」のようです。)・デ・パルマは、1931年イタリア・ミラノ生まれの歌手。はじめは女優として活動していましたが、1949年にレコード・デビューし、50年代前半には新進歌手として知られるようになりました。彼女は、シャンソンやカンツォーネを歌い、サンレモ音楽祭には、1955年、57年、59年、60年、61年に出場しています。59年の「TUA(あなた)」は第4位に入賞した曲で、ヒットしました。70年には、ローマのシスティーナ劇場でワン・ウーマン・ショーをイタリアの女性歌手として初めて行い、大成功を収めました。しかし、74年には引退してしまいました。

昨年(2011)、この14曲収録のコンピュレーション盤が発売されたことで、日本のジャズ、ヴォーカルファンの間でも認知度が高まったようです。ここには、1958年のEP「Jula In Jazz No.1」の4曲、59年のEP「Jula In Jazz No.2」の4曲、65年録音のGampiero Boneschi楽団伴奏の3曲、67年録音のNew Orleans Jazz Band伴奏の3曲という4つのセッションが収録されています。「Jula In Jazz No.2」は、フランコ・チェリ(g)入りのコンボが伴奏を務めていて、彼のソロも聴けます。

曲は、スタンダードがほとんどです。「Pennies From Heaven」(黄金の雨)、「Night And Day」(夜も昼も)、「I've Got You Under My Skin」、「The Nearness Of You」、「Che Cosa Ce」、「Just One Of Those Things」、「I Left My Heart In San Francisco」(想い出のサンフランシスコ)、「Cheek To Cheek」、「Blues In The Night」(夜のブルース)、「One For My Baby」、「Un Vecchio Dixland」、「Everything Happens To Me」、「1000 Ragazzi Fa」、「My Man」。

ユラ・デ・パルマの声域は、コントラルトで、時にハスキーですが甘く艶もあります。リズムにのった軽快なものもよいですが、ミディアム・テンポ以下のものは、情感のこもった丁寧な歌い方で訴えかけてきます。「Pennies From Heaven」、「Night And Day」、「The Nearness Of You」、「Just One Of Those Things」など、2枚のEP収録曲はもちろん、65年や67年のセッションでも、雰囲気のある引き込まれるような歌を歌っていて、さすがにイタリアのトップ歌手だと思わせてくれる内容です。

【「TUA」を歌うユラ・デ・パルマ】

   http://www.youtube.com/watch?v=D_oNc21AWxc

カンツォーネなので、ゆったりと歌いあげています。この歌がセクシー過ぎるとのことで、国営放送局への出演が10年間できなかったのですが、全くそのようなことはなく、昔のこととはいえ、不合理です。そんなこともあったのですが、引退するまで10年以上、人気を保ちました。

【7インチジャケット(ライナーノートから)】

   Julainjazz7inch_2


ウディ・ハーマン WOODY HERMAN'S BIG NEW HERD AT THE MONTEREY JAZZ FESTIVAL

2012-12-05 22:58:20 | ヴァイブ、オルガン他

先週の2日(日)は、安曇野市の実家にいたので、10時ごろ、白鳥を見に明科御宝田の飛来地に行ってみました。2日現在38羽が来ているそうで、ゆっくりと水の上を進んでいる数羽が観察できました。訪れた見学者の中の一人に突然声をかけられましたが、昔からの知人でした。探鳥会が開催されていて、その会員なので来たそうですが、ちょうど近況などの話ができました。安曇野には探鳥を趣味にしている人が大勢いるようです。「Skylark」(ひばり)が収録されています。

WOODY HERMAN (ウディ・ハーマン)
WOODY HERMAN'S BIG NEW HERD AT THE MONTEREY JAZZ FESTIVAL (ATLANTIC 1959年録音)

 Woodyhermansbignewherdatthemonterey

ウディ・ハーマンは、長きにわたり自己のビッグ・バンドを率いていましたが、これは1959年のモンタレー・ジャズ・フェスティヴァルに臨時に集めたメンバーによって出演した際の録音です。たまたま松本市のタワー・レコード・ミニで棚を眺めていたところ、目に留って購入したものです。ワーナー・ミュージック・ジャパンから発売されている1000円CDですが、これがラインナップにあるとは驚きです。

臨時編成とはいっても、ウディ・ハーマン楽団出身のミュージシャンばかりなので、バンドのオリジナル曲もわかっているし、メンバー間のコミュニケーションもとりやすいようです。リハーサルも行ったとは思いますが、サックスセクションのアンサンブルやソロの回し方を聴いていると、あたかも常設のバンドが演奏しているような錯覚を覚えます。

メンバーが豪華で、ウディ・ハーマン(cl,as)、ズート・シムズ(ts)、ビル・パーキンス(ts)、リッチー・カミュカ(ts)、ドン・ランフェア(as,ts)、メッド・フローリー(bs)、アル・ポーシノ(tp)、コンテ・カンドリ(tp)、レイ・リン(tp)、フランク・ハギンズ(tp)、ビル・チェイス(tb)、アービー・グリーン(tb)、サイ・ゼントナー(tb)、ビル・スマイリー(tb)、ヴィクター・フェルドマン(p,vib)、チャーリー・バード(g)、モンティ・バドウィック(b)、メル・ルイス(ds)。

「Four Brothers」は、ハーマン楽団のヒット・ナンバーですが、ここでも流麗なテーマのあと、ズート・シムズ(ts)、ビル・パーキンス(ts)などのソロが続き興奮ものです。「Like Some Blues Man」は、スローなブルースで、フェルドマン(vib)のソロ、サックスセクションのうねるようなソリと、じっくりと楽しめます。ホーギー・カーマイケル作の名曲「Skylark」は、アービー・グリーン(tb)をフューチャーしたバラードですが、グリーンはクリーミーな美しいトーンで旋律を綴っています。他の曲もいい演奏で、ブルージーかつエキサイティングなライブ盤。

曲目を記しておきます。
1 FOUR BROTHERS
2 LIKE SOME BLUES MAN
3 SKOOBEEDOOBEE
4 MONTEREY APPLE TREE
5 SKYLARK
6 THE MAGPIE
「Monterey Apple Tree」は、ジャズフェス用に名前を付けたようですが、ハーマン作の「Apple Honey」です。

【安曇野市明科白鳥飛来地付近の光景】

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    Jounenndake20121202