安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ロイ・ヘインズ PEOPLE

2012-07-29 20:49:31 | ベース・ドラムス

先週の金曜日に長野県下伊那郡大鹿村に行ってきました。大鹿歌舞伎で有名な村ですが、ブルーベリーや大豆の栽培なども盛んです。温泉があって、少量ですが、そこから塩も作られています。売店で、ブルーベリーのジャムとジュースに山塩も買いました。いずれも、地元で加工されていて、すっきりとした味わいです。爽やか系統のアルバム。

ROY HAYNES (ロイ・ヘインズ)
PEOPLE (Pacific Jazz 1964年録音)

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レスター・ヤングやチャーリー・パーカーとの共演をはじめ1940年代から活躍を続けてきた、ロイ・ヘインズ(ds)の息の長さには感嘆すべきものがあります。ジョン・コルトレーンやマイルス・デイビス、スタン・ゲッツ、パット・メセニーなどとの共演があり、非常にフレキシブルなドラマーです。

このアルバムは、それほど知られていませんが、アルト・サックスのフランク・ストロージャーをフューチャーして、当時の映画やミュージカルからのナンバーを取り上げた親しみのあるもので、小粋な作品。メンバーは、ロイ・ヘインズ(ds)、フランク・ストロージャー(as,fl)、サム・ドッケリー(p)、ラリー・リドレー(b)。ストロージャーは、3曲でフルートも披露しています。

おなじみの曲が多いですが、新しいものも選曲されています。「Invitation」、「The Party's Over」、「What Kind of Fool Am I」、「People」、「Softly As In A Morning Sunrise」(朝日のようにさわやかに)、「Wives And Lovers」(素晴らしき恋人たち)、「Alone Together」、「Jamaica Farewell」、「Shanty In Old Shantytown」、「Mr.Lucky」の10曲。ミュージカル「ファニー・ガール」からの「People」、ジャック・ジョーンズのヒット曲「「Wives And Lovers」は、当時の最新の曲です。

ヘインズは、大げさなところがなく、繊細で多彩なプレイをしています。ラテン・リズムを用いたりで、ドラムスだけに注目して聴いても面白い。ストロージャーは、それぞれ、テーマをきちんと吹いていますが、「Invitation」、「Alone Together」でのアルトによるソロは短いながら熱が入ったもの。ストロージャーがフルートを吹く「Wives and Lovers」、ドラムスが華やかで楽しい「Jamaica Farewell」など、重くならない爽やかな演奏は、夏のこの時期向きです。

【信州大鹿村 特産品】
ブルーベリー・ジャム、ブルーベリー・ジュース、山塩。ブルーベリー・ジュースは、炭酸水で割って飲むといいとお店の方が教えてくれました。また、山塩は、岩塩ではなくて、鹿塩温泉で、湧出している温泉(塩分が入っています)から作ったもの。

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【大西公園から南アルプス方面遠望】

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フリードリッヒ・グルダ AT BIRDLAND

2012-07-22 20:16:05 | ピアノ

オーディオ機器を買って、購入者の登録をしたところ、発売元のローテル(株)から、登録証(兼保証書)とTシャツ、それと、担当者のご配慮によりクラシックのCDが送られてきました。これは思いがけず嬉しい贈りものです。CDは、ルジェロ・リッチ(vl)によるパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番などで、堤俊作指揮の東京ニュー・シティー・フィルが伴奏を務めています。このシステムですが、クラシックも過不足なく再現してくれています。グルダのジャズ演奏です。

FRIEDRICH GULDA (フリードリッヒ・グルダ)
AT BIRDLAND (RCA VICOR 1956年録音)

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フリードリッヒ・グルダは、オーストリアの名ピアニストです。彼の弾く、バッハの平均律クラヴィーア曲集やベートーヴェンのピアノソナタ全集は、名演として名高いもので、僕もCDを持っています。弟子にはマルタ・アルゲリッチがおり、息子たちもピアニストとして活動をしています。そんなピアニストが、ジャズを弾いたのですから、賛否両論を巻き起こしたようです。

グルダは、チェロ協奏曲やピアノ作品などを作曲しており、作曲家としても認められています。ジャズ作品もいくつも残していて、中にはなかなか魅力的なものもあります。ジャズを弾くグルダは、基本的にパウエル・スタイルといってよいですが、ブルージーさは控えめながら、スイングしていて迫力もあります。

メンバーは豪華で、グルダ(p)、アイドリス・スリーマン(tp)、ジミー・クリーヴランド(tb)、セルダン・パウエル(ts)、フィル・ウッズ(as)、アーロン・ベル(b)、ニック・スタビュラス(ds)。曲は、グルダの自作の「Vieena discussion」、「Scruby」、「Dark Glow」、「Dodo」、「Air From Other Planets」、「New Shoes」の6曲に、ジャズ・オリジナルの「A Night In Tunisia(チュニジアの夜)と「Bernie's Tune」。

「Scruby」における、グルダ(p)のイントロのたたきつけるような音の出し方は、すっかりジャズ弾きになりきっていますし、ソロでは、音が明瞭にはっきりと出ていて、グルダならではのタッチ。「Dark Glow」は、バラードで、フィル・ウッズ(as)をフューチャーしていますが、寂しげな曲想もいいし、ウッズもたっぷりと歌っていて魅力的。「A Night in Tunisia」におけるグルダのソロは、ごつごつとしたフレーズを繰り出し、乗っていて迫力があります。ドラムスとの4バースも含めて熱演。

【friedfich gulda und sein eurojazz-orchester】
上記に続いて聴いた作品。グルダ作「Variations for Two Pianos and Band」は、組曲形式でグルダとジョー・ザヴィヌル(p)が、ヨーロッパ・オールスターズをバックにしてソロをとります。こういう協奏曲風のものも、たまに聴きたくなります。

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【システムのセッティング状況】
先月購入したオーディオシステムは、快調に動いています。I君が鉄製のスピーカースタンドを借りてきてくれて、暫定のセッティングを行ってくれました。現在、木製のスピーカースタンドとオーディオラックを製作してくれていて、出来上がりが楽しみです。

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ジリオラ・チンクェッティ SINGLES COLLECTION

2012-07-18 23:25:27 | ヴォーカル(E~K)

ジリオラ・チンクェッティのシングル・コレクションがこの7月に発売になったので、ジャズではありませんが、PRも兼ねて、取り上げてみます。サンレモ音楽祭で優勝しスターとなり、日本でもかなりな人気があったチンクェッティを懐かしく思いだされる方も多いと思います。僕は彼女のファンで、その一人ですが、カンツォーネらしいゆったりと歌いあげる曲から、リズミックなものまで、70曲をよくぞ揃えてくれました。

gigliola cinquetti (ジリオラ・チンクェッティ)
singles collection (king他 1963年~1978年録音)

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ここまで、丁寧な作りのCD(4枚組)のセットは、そうはないかもしれません。70曲のうち、LP未収録のものが28曲、国内初CD化が31曲あります。裏を返せば、いままでベスト盤が出されてきましたが、同じような曲が収録されていたということでしょうか。さらに、解説が充実していて、歌詞、対訳、日本盤シングルディスコグラフィー、イタリア盤シングル及びアルバム・ディスコグラフィに日本盤シングルのジャケット写真がカラーで掲載されています。

このような充実したアルバムを作ることのできる、日本の音楽業界は、まだまだ元気だと感心しました。チンクェッティのファンはもちろん、カンツォーネやオールディーズ、ヴォーカルファンも買っておいて損はしない内容です。昨年は、彼女の5枚のLPをCD化したボックス・セットが出されていますが、それとダブらない曲が多いので、そちらを持っている方も今回のアルバムも購入対象となると思います。

収録曲の一部を挙げてみますが、1964年のサンレモ優勝曲で大ヒットした「夢みる想い」、日本のみシングルで発売された「ナポリは恋人」、ナポレターナのスタンダード「アネマ・エコーレ」、1966年のサンレモ優勝曲「愛は限りなく」、早いテンポの1969年の大ヒット曲「雨」、静かなパートとドラマティックに盛り上げるパートがある「夕べのしあわせ」、バラードでバックの弦が絡む感動的な曲「落葉の恋」、1970年のヒット曲「ロマンティコ・ブルース」ときりがありません。

僕は、カンツォーネの中では、カンタービレ(歌うように、表情豊かに)で、テンポのゆったりしたものが好きなのですが、チンクェッティには、そういう系統の曲が多くあって嬉しいところです。かつて、ラジオから音楽が流れていて、日本でヨーロッパの歌手が多く聴かれた時代の記念碑的な曲が多く、懐かしさとともに、いい曲の多いことに改めて感じ入りました。

【収録曲一覧と解説に掲載されたシングルジャケットの一部】

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ジーン・アモンズ BOSS TENOR

2012-07-15 19:38:19 | テナー・サックス

昨日は、長野市のディーラー工場に行って、半年に1回行っている車の点検をしました。オイル交換や車体の虫取り、タイヤの空気圧の調整などを行ってもらいましたが、4月に飯田市に転勤してから高速道路を走る機会が増えたので、いいタイミングでした。昨日(7月14日)は、連休の初日なので、高速道路上は車が多く、その走行速度も上がり気味でした。ここは、落ち着いて、スピード控え目に信濃路を走ってもらいたいものです。どっしりとしたテナー。

GENE AMMONS (ジーン・アモンズ)
BOSS TENOR (Prestige 1960年録音)

  Bosstenorgeneammons

ジーン・アモンズ(ts)は、プレスティッジ・レーベルの看板スターの一人ですが、僕が買ったアルバムは、1950年代に録音されたジャム・セッション的なものが多く、もうひとつ彼に親しめなかったのですが、このアルバムで印象を改めました。音が逞しく、ハードに吹くサックス奏者の代表の一人です。

テナーのワン・ホーン・アルバムで、リズム陣には、コンガが入っていますが、バラードの「My Romance」ではお休みしています。メンバーは、ジーン・アモンズ(ts)、トミー・フラナガン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds)、レイ・バレット(conga)。チャーリー・パーカー作「Confirmation」にはコンガは不要だと思って聴いてみたのですが、それほど目立たず違和感はありませんでした。

アモンズの自作が2曲で、「Hittin' The Jug」と「Blue Ammons」、後はスタンダードと有名ジャズオリジナルで、「Close Your Eyes」、「My Romance」、「Canadian Sunset」(カナダの夕陽)、「Confirmation」、「Stompin' At The Savoy」の全7曲。実は、ビル・エヴァンス(p)の愛奏曲「My Romance」の曲名が目に飛び込んできたのが、このアルバムを買ったきっかけでした。

「Hittin' The Jug」は、テンポが遅く、ブルージーさが際立ちます。フラナガン(p)は、導入部を淡々と弾いていて、アモンズのどっしりとした力強いプレイと、いい対比になっています。「My Romance」では、アモンズは、思いきったゆっくりとしたテンポで吹き切っていますが、冒頭における間の取り方など素晴らしい。テナーに寄り添うフラナガンの伴奏も美しい。「Confirmation」といったバップもお手のものですが、意外とスイング時代の曲「Stompin' At The Savoy」が軽快で明るく、コンガも溶け込んでいて楽しい。


ディー・ベル SAGACIOUS GRACE 

2012-07-08 17:50:18 | ヴォーカル(A~D)

この土日は、両日とも仕事と飲会で、動きがとれませんでした。そこで、普段では長時間でなかなか鑑賞できない「マイ・フェア・レディー」(DVD)を借りてきました。オードリー・ヘップバーン主演の超有名作品ですが、フレデリック・ロウ作曲の素晴らしいメロディが詰まっています。「運が良けりゃ」や「時間どおり教会へ」は、イライザの父アルフレッドがユーモアたっぷりに歌う、愉快な歌です。「Get Me To The Church On Time」(時間どおり教会へ)では、「ディンドン鐘が鳴る(Ding, dong, the bells are gonna chime)」という部分のメロディーは、特にフェイヴァリットです。ほとんど関係ありません((笑)が、Dee Bellの歌を聴いてみます。

DEE BELL (ディー・ベル)
SAGACIOUS GRACE (LASER 1990年録音)

  Sagaciousgracedeebell

これは、ディー・ベル(vo)の3枚目のアルバムで、2011年にリリースされていますが、なんと録音から20年経って、陽の目を見た稀有な例になります。ざっとライナーを見ると、その原因は、歌や演奏内容にあったのではなくて、技術的な問題で、ひずみがあって発売が見送られたようです。その間の技術的進歩、あるいは、いい技術者に巡り合えたのか、ようやく2011年に発売されました。

彼女の前2作は、1作目がスタン・ゲッツ(ts)、2作目がトム・ハレル(tp)が参加していますが、コンコード・レーベルらしい穏やかなアルバムです。こちらは、ちょっとソウルフルな味もあって、彼女の本来の資質がそうなのかもしれません。伴奏は、Al Plank(p)、ヒューストン・パーソン(ts)、ジョン・ストウェル(g)、John Wiitala(b)、Colin Bailey(ds)、Michael Spiro(percussion)。テナー・サックスのヒューストン・パーソンが加わっているのにはびっくりしました。編曲は、Al Plankがやっています。

曲は、ミシェル・ルグランの「Watch What Happens」、「You're My Thrill」、「I Remember You」、「Comes Love」、「If Dreams Come True」、「I'll Never Be The Same」といったスタンダードに、ジャズ・オリジナルにディー・ベルが詞を付けた「Isfahan」(ビリー・ストレイホーン)、「The Peacocks」(ジミー・ロウルズ)、「You Can't Go Home Again」(D・セべスキー)、そして「Dear Bix」(D・フリシュバーグ作)で全10曲。

前2作と異なり、ベルのややソウルフルがかった歌が聴けます。声の質も、陰影に富んだ所謂スモーキーなものです。はじめの曲「Watch What Happens」は、スケール感もあって引き込まれますし、軽めに歌う「You Can't Go Home Again」や思いきってスイングした「I Remember You」などいいのですが、自作の詞によって歌う「Isfahan」は、意気込みは特筆すべきですが、長くてやや重く、退屈気味。ジャジーなコンボ伴奏もあり、総じては楽しめるアルバムです。

久しぶりにホームページを更新し、ディー・ベル(ヴォーカル)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ディー・ベル

【マイ・フェア・レディ】
このミュージカルを素材として、アンドレ・プレヴィンやオスカー・ピーターソンなどもアルバムを作っています。スタンダードのパレードは壮観ですが、おなじみの曲を挙げてみます。
「Wouldn't It Be Loverly?」(素敵じゃない?)
「With A Little Bit Of Luck」(運が良けりゃ)
「The Rain In Spain」(スペインの雨)
「I Could Have Danced All Night」(一晩中踊れたら)
「On The Street Where You Live」(君住む街角」)
「Get Me To The Church On Time」(時間どおり教会へ)
「I've Grown Accustomed To Her Face」(忘れられないあなたの顔)

  Myfairladydvd