安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ボビー・ブルーム SONG AND DANCE

2013-11-27 22:23:10 | ギター

長野自動車道塩尻インター近くにあるみどり湖パーキングエリア(下り線)で休憩をしたところ、高速バス停の近くに「アルプスの見えるパーキング」と刻まれた石碑があったので、外へ出て写真を撮ってみました。高速バス利用者向けの駐車場があるあたりから、北アルプスが良く見え、いつもと違った角度から常念岳を仰ぐことができました。あたりには畑も広がり、よい気分転換になりました。新鮮な感じのアルバム。

BOBBY BROOM (ボビー・ブルーム)
SONG AND DANCE (ORIGIN 2005年録音)

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ポール・マッカートニーの来日公演が最近あって、ポピュラー音楽界はその話題で持ち切りでした。僕はビートルズ自体はあまり聴きませんが、彼らの曲にはスタンダード化したいいものがあります。その一つが、マッカートニー=レノン作「Can't Buy Me Love」で、ボビー・ブルーム(g)がこのアルバムで取り上げています。

メンバーは、レギュラー・トリオで、ボビー・ブルーム(g)、デニス・キャロル(b)、コビー・ワトキンス(ds)。ブルームは、若くして1980年代にソニー・ロリンズのサイドメンとして起用されていますが、シカゴで活動を続けたせいもあって、日本での知名度は高くないかもしれません。ケニー・バレルをちょっと想わせるプレイぶりですが、深い音色と多彩なリズム、そして現代的な音の選び方によって、都会的なムードを醸し出します。

曲は、ポップス系統のものが、ビートルズの「Can't Buy Me Love」、ロバータ・フラック、ダニー・ハサウェイのヒット曲「Where is The Love?」、「Little Rascals There」、レオン・ラッセル作でカーペンターズのヒット曲「Superstar」、グレン・キャンベルのヒット曲「Wichita Lineman」、スタンダードの「Smile」、「You and The Night and The Music」(あなたと夜と音楽と)、そしてブルームの自作が3曲で「Coming Home」、「Blues for Modern Man」、「Waiting and Waiting」。全11曲です。

素材はポップスなど様々ですが、アドリブはもちろん、テーマの弾き方もジャズそのもので、落ち着いた作品です。1曲目の「Can't Buy Me Love」は、ブルーム(g)がダークブルーな音色で、たんたんと弾きますが、早弾きのシングルトーンなどかっこよいです。バラード「Where is The Love?」は、さりげないテーマ演奏から次第に熱く盛りあがります。スタンダードの「You and The Night and The Music」は、初めファンク・リズムなのでびっくりしますが、違和感なく聴こえます。ポップス好きな方にもいいかもしれないアルバム。

【みどり湖パーキングエリア(下り線)からの北アルプス】

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ジャネット・サイデル MOON OF MANAKOORA

2013-11-24 09:30:07 | ヴォーカル(E~K)

飯田市のりんご並木に植えられたフジなどの収穫の時期が近づき、収穫のためのボランティア募集の回覧板が回ってきました。都合がつかず参加はできませんが、りんごの生育状況を見に行ったところ、なかなかいいので、沢山獲れるに違いありません。そのついでに、三連蔵のレストランで、「南信州豚の生姜焼定食」を食べました。ここは、珈琲を飲みながら一休みするにもよいので、たまに使っています。懐かしい曲が多数収録されています。

JANET SEIDEL (ジャネット・サイデル)
MOON OF MANAKOORA (La Brava 2005年録音)

  Moonofmanakoora

今年、ジャネット・サイデル(vo)の来日公演があったので、甲府市に聴きに行くつもりだったのですが、仕事の都合で予定できませんでした。楽しみにしていただけに残念でした。彼女のアルバムは、結構持っていますが、どれも肩の力の抜けたリラックスした歌が聴けるので、疲れた時や深夜などにかけています。その中でも、伴奏にウクレレが入り、古いスタンダードを主に歌ったこのアルバムは、出番が多いものです。

メンバーは、ジャネット・サイデル(vo, p)、チャック・モーガン(ウクレレ、g)、デヴィッド・サイデル(b)、ビリー・ロス(ds, bongos)、ローリー・ベネット(ds, percussion)。ウクレレが本格的に用いられたことで、話題を呼びました。もともとハワイアンの楽器であり、夏を連想させますが、和音でリズムを刻むだけでなく、ソロもとっていて抒情的な旋律も奏でられています。

曲は、スタンダードを中心にバラエティに富んでいます。「When Lights are Low」(灯りほのかに)、「No Moon at All」(月とてもなく)、「Twilight Time」、「Delicado」、「Breeze」、「Till There Was You」、「The Moon of Manakoora」(マナクーラの月)、「Don't Be That Way」(その手はないよ)、「Tres Palabras」(あなたなしでは)、「Deep Purple」、「Linger Awhile」、「Dream A Little Dream of Me」(私の夢をみておくれ)、「April in Portugal」(ポルトガルの四月)、「Falling in Love Again」(また恋をしたの)、「Whispering」、「All I Do is dream of You]」(あなたの夢ばかり)の16曲。

ジャネット・サイデルの安らぎに満ちたヴォーカルに、ほっとして聴き入りました。モーガン(ウクレレ)やデヴィッド・サイデル(b)は、リズムキープの役割もきちんと果たし、全体のサウンドは上品で瀟洒な感じがします。好きな曲から聴けばいいのですが、スインガーでは、「When Lights are Low」、「No Moon at All」、「Don't Be That Way」、しっとり系では、「Till There Was You」、「Tres Palabras」、「Falling in Love Again」あたりが心に残ります。そして、プラターズの大ヒット曲「Twilight Time」の収録は嬉しく、久しぶりにプラターズのベスト盤CDも聴いてみました。

【三連蔵レストラン】

「三連蔵」は、昭和22年の大火で飯田市街地の建物はほとんど消失しましたが、その際にも残った160年くらい前に建てられた蔵です。三連蔵なので、中は3つのスペースに分かれていて、ショップ、展示室、バーが入っています。その敷地内にレストラン(写真左側)が設けられていて、食事をとったのはそちらです。

住所:長野県飯田市通り町2丁目1  Tel:0265-23-0023

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オリヴァー・ジョーンズ HAVE FINTERS, WILL TRAVEL

2013-11-20 21:06:46 | ピアノ

日曜日にガソリンスタンドに寄ったら、「Nsports」というフリーマガジンの創刊号が置いてあったので、もらってきました。プロチームの動向を主体に、長野県内のスポーツ情報が掲載されています。県内には、サッカーの「松本山雅FC」(J2所属)、「AC長野パルセイロ」(JFL所属)、野球の「信濃グランセローズ」、バスケットの「信州ブレイブウォリアーズ」の4つのチームがあります。この創刊には驚きましたが、地元のプロチームを応援する人が増えてきている証左なのでしょう。爽快なピアノを。

OLIVER JONES (オリヴァー・ジョーンズ)
HAVE FINGERS, WILL TRAVEL (Justin Time 1997年録音)

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オスカー・ピーターソン(p)から影響を受けたピアニストは、モンティ・アレキサンダーはじめ多数いると思いますが、オリヴァー・ジョーンズ(p)は、同郷のカナダ生まれで、ピーターソンのお姉さんにピアノを習っており、いろんな意味で近しいピアニストといえます。ダイナミックにスイングするところはよく似ています。

トリオ作品ですが、メンバーが面白く、オリヴァー・ジョーンズ(p)、レイ・ブラウン(b)、ジェフ・ハミルトン(ds)。ブラウンは、長い間、オスカー・ピーターソン・トリオの一員でしたし、ハミルトンもピーターソンと共演しツァーに出ています。人選からすると、ピーターソントリビュートという感もありますが、演奏の方は意外とジョーンズの個性が出ています。

曲は、オリヴァー・ジョーンズの自作とスタンダードです。ジョーンズの自作が、「D.B.G Blues」、「Yvonne」、「Late Afternoon Blues」、「Charlie B.」、「Snowy Peaks」、「Beautiful Jayde」の6曲。スタンダードが、「Street of Dreams」、「If I Were A Bell」、「I'm Thru With Love」、「Without A Song」、「My Romance」の5曲で全11曲。ジョーンズの曲はブルーズ系統が多いです。

アップテンポではハードにスイングし、スローでは情緒纏綿とした演奏が目立つ充実したアルバム。最初の「D.B.G Blues」はスインギーで、早いパッセージを右手が繰り出していて疾走感があります。「Street of Dreams」では、アート・テイタムの影響が感じられます。「If I Were A Bell」は、三人のからみがよく、レイ・ブラウンのランニングベースも聴きもの。「I'm Thru With Love」や「Without A Song」は、スローテンポで、ジョーンズのピアニスティックで繊細なプレイが楽しめます。

【Nsports】

長野県内で発行されているフリーマガジンです。2013年11月号が創刊号です。県内にプロチームが4つあって、それぞれ話題もあるので、読者の広がりを期待したものでしょう。頑張って発行を続けていただきたい。

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アート・ファーマー EARLY ART

2013-11-17 09:59:59 | トランペット・トロンボーン

先日、所用で名古屋市に行きました。夜は友人との飲み会で、その集合場所が栄にある中日ビルの1階だったのですが、11月前半なのに既にクリスマスツリーが飾ってあったので驚きました。クリスマスケーキの宣伝チラシは見かけますが、ツリーは今年初めて見ました。ツリーは、本来の行事や時季を離れて、装飾としても見映えがするので飾ってあるのでしょうか。寒くなりましたが、まだぎりぎり秋のような気がします。「Autumn Nocturne」が収録されています。

ART FARMER (アート・ファーマー)
EARLY ART (PRESTIGE/NEW JAZZ 1954年録音)

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アート・ファーマー(tp)には、たくさんのアルバムがありますが、これは「ART」などと並んで愛着のあるものです。 2つのセッションを収録してありますが、僕のお目当ては、ファーマーのワンホーンの方で、瑞々しいバラードなどが聴けます。「Early Art」というタイトルですが、ウィントン・ケリー(p)の比較的早い時期の録音にもあたり、Early Wyntonともいえるので、その点も見逃せません。

二つのセッションを収録してあります。ファーマー(tp)、ウィントン・ケリー(p)、アディソン・ファーマー(b)、ハービー・ラヴェル(ds)のカルテットによるもの。そして、ファーマー(tp)、ソニー・ロリンズ(ts)、ホレス・シルヴァー(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds)のクインテットによるものです。カルテットが11月の録音、クインテットの方は同年1月の録音です。

曲は、まずカルテットの方は、「Autumn Nocturne」、「I'll Never Been in Love Before」(まだ恋をしたことはない)、「I'll Walk Alone」、「Goen With The Wind」(風と共に去りぬ)、「Alone Together」、「Preamp」。ファーマー作の「Preamp」を除きスタンダードです。クインテットの方は、ファーマーのオリジナルが、「Soft Shoe」、「Confab in Tempo」、「Wisteria」と3曲で、それにスタンダードの「I'll Take Romance」。「Preamp」(プリアンプ)は、オーディオファンに歓迎されそうな曲名ですね。

ファーマー(tp)、ケリー(p)の素晴らしい演奏が収録された作品で、愛聴盤です。ケリーのイントロに導かれ、ファーマーが、潤いに満ちた音色で、スローテンポで演じる「Autumn Nocturne」は絶品。軽快なテンポで明るく吹いている「I'll Never Been In Love Before」や、美しいバラード「Alone Together」もよいです。「Preamp」はブルージーなナンバーで、ケリーのソロや強力なバッキングにスリルが感じられます。

余談ですが、この「Preamp」の旋律を聴くと、マイルス・デイビスの「Cookin'」(1956年録音、Prestige)に収録された「Blues By Five」を思い浮かべます。クインテット録音の方もファーマーやシルヴァー(p)の力強いソロが聴けて悪くなく、2年後にファーマーがホレス・シルヴァー・グループに加入するのも納得の溶け込みかたをしています。

【中日ビル1階のクリスマス・ツリー】

所在地:名古屋市中区栄4-1-1

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【jazzLife 12月号】

jzzLife誌はたまに買います。連載記事の「アマチュア・プレイヤーのためのモダンジャズ入門」は、今号ではウィントン・ケリーが取り上げられていて、兵頭佐和子(p)さんが、「Softly As In a Morning Sunrise」(朝日のようにさわやかに)の採譜、解説等を書いています。

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エリック・アレキサンダー IN EUROPE

2013-11-13 20:14:04 | テナー・サックス

単身赴任の往復に、前から気になっていた松岡城址(下伊那郡高森町)に寄ってみました。松岡氏(1070年頃~1588年)は、1500年代半ばから、武田氏→織田氏→徳川氏と、その傘下に属し生き延びましたが、最後は羽柴氏側についたため所領を没収・改易となったので、その居城(松岡城)が廃城となったものです。この地点からの天竜川をはじめとした眺望は素晴らしく、晴れやかな気分になりました。そんな気分のまま、車の中で聴いたCD。

ERIC ALEXANDER (エリック・アレキサンダー)
ERIC ALEXANDER IN EUROPE (Criss Cross Jazz 1995年録音)

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エリック・アレキサンダー(ts)は、来日公演もしばしば行っている人気テナー・サックス奏者で、作品数が多数に上っているため、どれを購入したらよいか迷うほどです。このアルバムは、オルガン、ギター、ドラムスという編成のリズム陣との共演で、しかも初期の録音なので、新鮮な感じもして、グルーヴィーなものを聴きたいときにたまに取り出しています。

メンバーは、エリック・アレキサンダー(ts)、ボビー・ブルーム(g)、メルヴィン・ライン(org)、ジョー・ファンズワース(ds)。メルヴィン・ライン(1936年~2013年)は、ウェス・モンゴメリーとの共演でおなじみですが、近年はCriss Crossレーベルで多くのアルバムを作っていました。ボビー・ブルーム(g)も1980年代にソニー・ロリンズのサイドメンとしての録音もあり、ハードバップが楽しめそうなメンバーです。

曲は、スタンダードとメンバーのオリジナルです。スタンダードが3曲で、「What A Defference A Day Made」(恋は異なもの)、「Good Morning Heartache」、「That's All」。ボビー・ブルーム作「The Edge」、アレキサンダー作「Stay On It」、「To Be With You」、「Trippin'」、メルヴィン・ライン作「Spank That Pig」で全8曲。各人のオリジナルもメロディアスでわかりやすいものです。

アレキサンダー(ts)のスムーズな吹奏やブルーム(g)のよく歌うソロによって、現代のハードバップが楽しめます。「What A Defference A Day Made」は、意表をついて初めからアップテンポでぐいぐいきます。「Trippin'」では、アレキサンダーのプレイにコルトレーンやジョー・ヘンダーソンの影響がみられ、ハードな一面をみせます。「Spank That Pig」は、曲想からしてファンキーで、ご機嫌なメルヴィン・ライン(org)やブルーム(g)、そしてアレキサンダーのソロが続き、深夜のジャズクラブにいるような気分になります。「That's All」は、軽快なボッサリズムでソフトに演奏されて、爽やかです。

【松岡城址】

所在地:長野県下伊那郡高森町下市田字新井

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