姪の子供の虎太郎君が妻のピアノの教え子になってから、しばらくになる。
最近彼の弟である光君も来るようになった。
私が彼らの送り迎えをする「ジージ」だ。
虎太郎君がピアノのレッスンを受けているときに光君は私の部屋で遊んでいる。
手あぶり以外火の気を断った私の部屋は家の中では特別寒い。
屋外と同じ服を着て遊ぶ。
手あぶりの中の炭火に息を吹きかける。
もうもうと舞い上がる灰。
「もっとそっと吹かないと灰が舞い散るぞ」と言ってもまだ子供で息の加減ができない。
「火箸で掴み上げて吹けよ」と言った。
何度も掴むが落ちてしまう。
「出来ないよ。銀のギザギザのヤツ貸して」と言う。
火バサミのことであることは、すぐに分かった。
火箸は、それ自体が重くて子供の握力では使いにくいようだ。
火バサミを渡すと、それで炭を掴み上げフーフーと息を吹きかける。
パチパチッと火花が散る。
「センコ花火みたい」と喜んだ。
落としても火鉢の中という空中で炭火を扱うのは教えてもいないのにエライ。
炭の黒い部分が赤い火となるのが嬉しいようだ。
まだ火の放つ熱さは怖いらしい。
炭火の上に掌をかざし熱さを我慢する遊びは私と虎太郎君しかできない。
コントロールすれば火は役に立つ。
そんなことを教えたいわけじゃない。
単純に火は楽しいから。
子供がやりたがるから。
ちょい悪ジジイと思われる所以である。