家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

怪しみ怪しまれる

2013-03-23 08:18:40 | Weblog
春野にある100円風呂に立ち寄る回数が増えた。

あるとき入っていくと派手なパンツの爺が着替えていた。

「私が出れば、おたく一人だけで貸切ですよ。楽しんでください」と機嫌よくかなり饒舌であった。

私も嬉しくなり「ありがとうございます」と言って湯室に入っていった。

しばらくすると少し心配になってきた。

私が嬉しくなるようなことを、あまりに多くしゃべりすぎたような気がしたので、こんどは、それが疑わしいことのように思えてきたのだ。

実は今日はロッカーに貴重品を預けずに入ってしまった。

ジャケットのポケットの中には財布が入っているのだ。

途中で湯船から上がって確かめた。

ちゃんと有った。

だれも客がいなくて自分で電灯をつけてから入室することもある。

どのスイッチがどこの電灯か分からずに入れてみたら部屋が明るくなったので着替えることは出来る。

湯室は、まだ日が出ていて明るいので問題ない。

今日は貴重品はロッカーに入れてある。

ロッカーの鍵は着替えの籠の中に入れて、その上から脱いだ洋服を重ねてあるので問題ない。

私が湯船にいるとき一人のオヤジが入ってきた。

残りの電灯をつけて入ってきたので、かなり詳しく知っている人だ。

ところが私が出洗いしている間にさっさと出て行った。

時間にして5分か。

なんだかまた不安になってきた。

「なんであんなに早く出て行くのだろう」

私も早風呂だがカラスの行水とは、このことだ。

湯室から出て真っ先にロッカーの鍵を確かめたのは言うまでもない。

またちゃんと有った。

でも鍵を使って開けて、また戻す時間は充分にあった。

ロッカーの中を確かめるまで落ち着かなかった。

私の不注意にせよ世の中は疑い出したらきりがない。

その逆のこともあった。

私が着替えている時オートバイ乗りらしい人物が入ってきて洋服を脱ぎ始めた。

私は、もうすぐ着替え終わる。

彼は皮パンツのポケットに何か重要なものが入っていたことに気が付いた。

私の視線を気にしながら、それでも何もなかったかのようなふりをして湯室に消えた。

私が退出した後湯室から戻ってきて確かめたかもしれない。