家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

蓄音機とSPレコード

2013-12-03 07:47:26 | Weblog
知人が「お手伝いして欲しい」ということだったので行ってきた。

場所はヤマハリゾートつま恋ホテルフロント脇のカフェテラス。

ワンボックスから下ろすには4人がかりで、というほど重い。

重さの割に小さいから前を持つ人の足を踏みそうで気が気じゃなかった。

猫脚になった部分と本体を持ち小股に歩いて付いていく。

古いグランドピアノの前に設置した。

もう一つは小型で軽い。

ホーンをセットすると、いわゆる蓄音機然とした形が出来上がる。

1900年を少し越えたあたりに制作された木造のホーンだから貴重なものだ。

さて音を出すには儀式のようなものがある。

金属製の針を取り替えて本体横のクランクになった取っ手をくるくると回してゼンマイを巻く。

SPレコードには2種類の液体を垂らして拭き取り盤面を掃除する。

レコードをターンテーブルに乗せてレコードを回す。

鶴がクチバシを上に向けて首を捻じ曲げているようなアームをクルリと回して針を盤面に落とす。

その瞬間から音が出始める。

意外と大きな音だ。

ホーンの近くに席を置くと少々やかましく感じる。

少し後ろに移れば雑音が消えて柔らかな音が残る。

けっこう広い場所で聞いたにもかかわらず大きすぎる感じがした。

だから一般家庭では、やかましく感じられることと思う。

電気を全く使っていないにもかかわらず、この程度の音量が響くということはラッパの効果というものの凄さを感じる。

ただし高音域や低温域が出ていない。

しかし人の声などは迫力と柔らかさを感じる。

「今そこで人がバンドをバックにして唄っている」という感覚だ。

ビッグバンドから小編成のコンボになり最後に人の歌声のレコードという流れだった。

試しで掛けた「ホワイトクリスマス」を聞いて集まった若者やカップルもジャズが掛かると姿を消してしまった。

中年以降の人のみ聞き入っていた。

SPレコードは78回転で回るので、ほんの少しで終わってしまう感じがする。

1曲が短く感じられることと、その都度レコードを掃除して掛けなくてはいけないという煩わしさが少し不満に感じられた。

しかし、その手間を厭わないほど昔は何度も聴ける音楽としてありがたがられたであろう事は想像にかたくない。

停電になったとき、これを掛けたら近所の人たちが驚くこと間違いなしだ。

「なんで、あの家にだけ電気が来ているのだ」と、ちょっとした騒ぎになるであろう。