家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

花の美と生活

2014-06-07 09:52:22 | Weblog
春野に到着して車を出ると「ブーン」という小さな音が聞こえる。

ウメモドキの木に咲く小さな花にミツバチや少し大きめのハチが蜜を吸いに来ているのだ。

1匹1匹が放つ音が和音となってウメモドキの周りをウナリ音で充満させる。

ミツバチたちの音は仕事としてのものではなく喜びの音のように聞こえる。

またウメモドキとしても、このミツバチたちの花への接触を感じとり生きる喜びを感じているに違いない。

ウメモドキに起きている植物と動物の祭典を見たあと車に戻ろうとした。

車の横でアヤメがキレイに咲き始めている。

花を巻き取って梱包したかのようなツボミに何かが留まっている。

見るとムシヒキだった。

接近して写真を撮ってもピクリともしない。

何かに集中している感じだ。

ひょっとしてミツバチを狙っている?

このウナリ音はムシヒキにとってみると目の前に並んだ無数の食べ物か。

ウナリの中に加わるのも退去するのも命懸けということだと人間の私は知った。

後日10本の花目のうち9本のアヤメが完全に開いた。

色や形がキレイだなぁと思う。

花の紫色の中に緑色が見えた。

よく見ると、そこに小さなクモがいた。

写真を撮ろうとすると逃げる。

なお追いかけて撮ろうとしたら足を挙げて威嚇した。

調べてみたらコハナグモという種類だった。

お尻が白くてタコのイラストが描いてあるようで滑稽だ。

彼は、ここで食事したくてエサを待っている。

花を人間が見て感じることとハチや昆虫たちが見て感じることは違うにちがいない。

彼らは蜜を吸うのも生活、蜜を吸いに来たものを襲って食べるのも生活。

そのお互いの生活が開花によって始まる。

開花は生き死にのスタートでもある。

私の待つ開花と動物たちの待つ開花の違いは、とてつもなく大きい。