家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

講師は水村喜一郎氏

2014-06-13 08:44:51 | Weblog
今年も社会人大学が始まった。

最初の講師は両腕のない画家水村喜一郎氏だ。

いろいろ興味本位というか野次馬の見物的な姿勢で望んだ。

しかし話を聞いていくうちに生活や絵の描き方などに興味はなくなった。

壇上には正面の左側に額装された絵が3枚右側にホワイトボードに留められた絵が10枚掲げられていた。

マイクをセットされた中央に着席して「アトリエで一人自分と対峙するのが画家の仕事なのでラヂオを付けっぱなしにしている。それほど人が大好きだ」と言う。

とび職の父親の影響で多くの犯罪者と普通に知り合うような生活だった。

病気やケガは、あらゆることを経験した。

など多くの話題を持っていて、たくさん喋りたいという。

額装された絵の内でオレンジ色に熟した柿の絵は美智子様が購入されたものと同じだという。

そのいきさつを話すのだが話が逸れて別のところに行く。

逸れていった話も興味深いものだが美智子様とのことを聴きたいのにと思っていると再び戻ってきて、その話を聴くことができる。

子供の頃から絵を描くことが好きだったが学校の授業は、押しつけが多くて嫌いだった。

自宅で気ままに描きたいものを描くというのが性にあっていたし、それしか画家は描けないと言う。

母親は、早くから彼の才能を認め、全ての絵をとっておいてくれたそうだ。

それらがホワイトボードに留められた10枚だった。

両手を使って描いたものと口に筆を咥えて描いたものの差は分からなかった。

とにかく描きたいという衝動のままに描いてきたという感覚らしい。

あっちに行った話がこっちに戻り、戻ったはずがまた別の話を始めたりの繰り返しだった。

途中で私も気がついた。

「ひょっとして、この人の絵の描き方が、そんなふうなのじゃないのか?」

家を描いているうちに空を描きたくなり、そうしたら庭の木を先に描かなくっちゃ、というように。

そして全体的に絵は仕上がってくる。

話も結局13枚の絵の解説は全て終わり美智子さまとの逸話も披露し彼の類まれなる人生の何コマかは理解できた。

まだまだ聴き足りないうちに時間切れとなってしまった。

人を惹きつける強い力を、いつもは絵で表現しているのだなと感じた。

講義が終わって絵を間近で見ることができた。

オレンジ色に見えた柿が実は、もう少し赤っぽく色々な色で複雑に構成されていることが分かった。