家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

スイカと薪ストーブ

2016-05-07 16:50:28 | Weblog
友人がガン手術を受けた。

手術は成功に終わり自宅で療養していた。

この連休に一緒に昼食をとる約束をした。

つい最近まで晴れ予定だったのに曇りのち雨の予報に急変した。

当日、やはり曇りだった。

昼前に春野に集合した。

まずは山を案内した。

今の時期主な花は咲き終わりミツバチはまだ行動していない。

自生しているアヤメが10ほど咲いているので、それを見せた。

妻が作業用のスニーカーに履き替えて我々に合流した。

4人で歩き出した途端に妻の悲鳴。

慌てて左足の靴を脱ぐ。

妻の親指の先には黒々としたムカデがマトワリ付いていた。

「キャー」と妻は足についた気色悪い色の物体を払いのける。

地面に落ちたムカデは人間の猛攻を受けた。

ジカジカっと感じたが毒は注入されなかったようだ。

思わぬハプニングの後予定通り天ぷらをした。

コシアブラとタラの芽を食べさせたかったのだ。

「ジャー」と天ぷらの鍋の中で衣が泡を立て始めた。

美味しそうな匂いがあたり一面に立ちこみ始めた。

急に腹が減るのを感じる。

「ザク」とカラッと上がったコシアブラが良い音を立てて口の中に。

タラの芽 レンコン アスパラガス マイタケと続く。

午後は友人の持つ土地に流れる小川に行ってせせらぎの中に足を入れ、その冷たさで体の中に流れる暖かいものを覚醒させたかった。

だが雨が降り始めてしまった。

しかたなく天ぷらだけを外で食べて残りは家の中で続けることにした。

雨は庭や屋根で音を立てるようになり窓を閉めても肌寒く感じてきた。

久しぶりに薪ストーブをつけた。

お客様が持参してくれたスイカを水辺でなく炎を見ながらいただくことになった。

柔らかく揺らぐ炎は暖かさで体の中に流れる暖かいものを覚醒させてくれた気がする。

「天ぷらとスイカは食い合わせ」という言葉が脳裏をかすめたが大丈夫だった。

走りの物の美味しさは格別であることを知ってしまった。