太陽電池の増産の足かせとなっている第2505回、第2568回、第2917回、第2936回などで何度も取り上げてきたシリコンの増産によるコストダウンの朗報はまだまだ聞けないようです。
そんな中の一つ、第2575回で取り上げたチッソなど3社の製造が始まりそうです。
2008年5月29日
チッソなど3社、240億円を投じて太陽光発電用ポリSiの量産工場
チッソ、新日鉱ホールディングス、東邦チタニウムの3社は08年5月28日、事業会社「新日本ソーラーシリコン(仮称)」を設立の上、総額約240億円を投じて茨城県鹿島コンビナート内に年産3000トンの量産工場を建設することについて合意した、と発表した。今回の事業会社設立は、07年1月から共同で行われている、独自の亜鉛還元法(JSS法)による太陽光発電用途ポリSi製造技術実証化の取り組みの結果を踏まえている。太陽光発電の世界的な需要急増に伴い、その原料となるポリSiの需要は引き続き大幅な伸張が予想されており、3社は今後、高品質・低コストの太陽光発電用途ポリSiの安定的な供給を進める。将来的には年産1万トン規模の生産体制の構築を視野に入れているという。
生産計画としては第1期として量産規模のプラント(年産400トン)を1系列建設し、第2期として年産3000トンまで同系列のプラントを増設する。第1期は08年7月着工、10年度上期に生産開始。第2期は10年上期以降。総投資額(第1期、第2期の合計)は約240億円。
この製造技術の亜鉛還元法(JSS法)は3社がそれぞれ有する固有技術を融合させたものである。主な特徴は以下の通り。
(1) 太陽光発電用途ポリSi市場で主流のシーメンス法と同じ塩化法によるもので、太陽光発電用途に十分な性能である8N~9N(99.999999~99.9999999%)の高純度ポリSiを生産することができる。
(2) シーメンス法に比べ、四塩化ケイ素(SiCl4)を原料とするため反応効率がよく、加えて未反応のSiCl4の再利用が容易であることから、低コストである。…以下略
昨日の電気自動車の電池と同じで多くの大企業が参入してくるのですが一向にコストダウンどころか生産量も増えないようです。それとも私が知らないだけで実際には増産されているのでしょうか。
シリコン不足を背景に薄膜式の製造も増えてきているようですが、シリコンの増産が軌道に乗り、薄膜への移行も順調ということになれば、シリコンの価格が一気に下がる可能性もありそうです。
もしそんなことになれば、いよいよ太陽電池と電気自動車の時代も夢ではなくなるかもしれません。
夢は近いか!