世の中には凄い人がいるもんですね。金も地位も得られななった私としてはせめて人間だけでも磨きたかったところで すが、こんな話を知ると、とうてい真似ができそうもないと思われ、どうもそれも駄目だったとがっかりせずにいられま せん。
Business Media 誠より 2012年12月31日
クイズ王のすごい考え方:
赤塚不二夫の原稿をなくしてしまった編集者。しかし、翌日 には原稿を印刷所に渡さなければなりません。大変な状況にもかかわらず、赤塚不二夫はまったく怒ることなく「ネーム があるからまた描ける」と言い、さらに何と言ったのでしょうか?[西沢泰 生,Business Media 誠]
天才ギャグ漫画家、赤塚不二夫のエピソードです。『天才バカボン』を描き上げた赤塚不二夫、締め切り前日に編集者 に原稿を渡します。しかしその後、大事件が起きてしまいます。
「原稿をタクシーに置き忘れて、なくしてしまいました!」と編集者が真っ青な顔で戻ってきたのです。タクシーとは連 絡がつきません。しかし、翌日には原稿を印刷所に渡す必要があります。まさに大ピンチ! しかし、赤塚不二夫はまっ たく怒ることなく、「ネーム(脚本のようなもの)があるからまた描ける」と言い、さらに……。
問題:このあと、赤塚不二夫が言った驚きの言葉は何だったでしょう?
出だしは「まだ少し時間がある……」です。
答え:「まだ少し時間がある。呑みに行こう」
『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考 え方』(アスコム)
これはもちろん、落ち込んでいる編集者を気遣っての言葉です。呑んで戻った赤塚は、また数時間かけて同じ話を描きあ げて「2度目だから、もっとうまく描けたよ」と言い、その原稿を編集者へ渡 したそうです。もし私が編集者でこんなことをされたら、帰りのタクシーの中で号泣してしまうこと間違いないで す!
こんなことをできる人が世の中にどれだけいるでしょうか。テレビなどで見かけた赤塚さんと言えば見るからに軽そう で、これほどの人とは知りませんでした。やはり人は見かけではないのですね。とは言いながら政治家、特にあの民主党 などを見ていると見るからに下品な顔をしているように思えて仕方ありませんでした。こちらの方は見かけ道理だったと 思えるだけに悩むところです。
これだけでも感心しますがまだ続きがあります。
この話には後日談があります。紛失した原稿が、1週間後にタクシー会社か ら赤塚不二夫宛てに郵送されてきました。「2度と同じ失敗を繰り返さないように、おまえが持ってろ」と、赤塚不 二夫からその原稿をプレゼントされた編集者は、その後35年間も自分への戒めとして持ち続けたそうです。
そして、赤塚不二夫が亡くなったとき「この原稿の役目は終わった」と、フジオ・プロ(赤塚不二夫のプロダクション) を仕切る、娘のりえ子さんに原稿を戻したのです。だから、フジオ・プロには現在、『天才バカボン』の同じ回の原稿が2つ存在するのだそうです。
ファンからも出版関係者からも愛された彼の葬儀の参列者は、1200人に及 びました。本当の優しさを持った赤塚不二夫が、いかに慕われていたかが分かります。
完璧な仕事や勝ち負けにこだわっていると、誰かが失敗した時についそれを責めてしまうものです。でも、完璧な人間な んていないのですから誰でもミスを犯します。本当に優しい人とは、誰かが失敗したときやトラブルが起きた際にも周囲 を気遣うことができる人なのです。
世界的な思想家の孔子が、人生において最も大切だと言っていた事は「恕(じょ)」。この「恕」とは、「思いやり」の ことです。彼も、思いやりこそが大事だと説いていたのです。…以下略
こんなところに孔子さんが出てきましたが、孔子だってこれだけのことができたかどうか怪しいものだと思う私はやは り下種な人間のようです。
最近はねずさんのところで戦前の人たちの凄さを涙ながらに読むことが多く、それに比べて現代の日本人の堕落 ぶりにがっかりさせられるのですが、まだこうした人も残っていたと思うとまだまだ日本人も立ち直る可能性がある のかも知れません。とは言いながらも赤塚さんも戦前生まれですから最後の日本人だったのかもしれません。
そんなことはないと信じたいものです!