何時もの国際派日本人要請講座が「おもてなし」と「サービス」の違いという興味深い話を書いてくれています。
それは、神道の考えによるもののようです。
その中に、あの柔道を堕落させたガッツポーズが、何故日本で嫌われるかもこの「おもてなし」に通じるものがあるというのに納得するものがありました。
興味深い神道の話が盛りだくさんですが、かなり長いので、リンク元で全文を読んでください。
国際派日本人養成講座より 2019年09月21日
No.1132 「お陰様」と「おもてなし」
■1.「これを見て貰う以上に、言うべき言葉はない」
オリンピックやサッカー・ワールドカップと並んで、世界三大スポーツ・イベントとされるラグビー・ワールドカップが始まっ た。国内各地で各国選手を迎える歓迎ぶりが、世界で反響を呼んでいる。
日本代表との壮行試合に41-7で勝利した南アフリカ代表は、次なるキャンプ地、鹿児島市へ。公開練習に約5000人も観 客が詰めかけ、メディア関係者のMatt Pearce氏はその光景をピッチから撮影し、ツイッターでこう発信した。[1]
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鹿児島での公開練習で大変な群衆。熱く、惜しみない歓迎が続く。天気と同じくらい熱い!(拙訳)
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ウェールズ代表がキャンプする北九州の商店街ではチーム旗が飾られ、「ウェールズ代表を応援しよう」と書いた幟(のぼり) が立てられた。小倉城天守閣はチームカラーの赤でライトアップされて、選手からも「ファンタスティック」などの感激コメント が寄せられた。9月16日のミクニワールドスタジアム北九州での初の公開練習では開場以来最多の1万5300人の観客が集 まった。
さらなるサプライズは、選手がグランドに出てくる際に、観客がウェールズ国歌「Land of My Fathers」(「父祖の土地」)を斉唱して迎えたことだ。続いて応援歌でもある賛美歌「Calon Lan」。チームの公式ツイッターではその光景をビデオで撮って、「これを見てもらう以上に、言うべき言葉はない」と感激を伝えた。
各国代表をその国の国歌で迎えるのは、ラグビー元日本代表主将・廣瀬俊朗氏の発案で、出場20カ国のカナ付き歌詞カードが 公開された。廣瀬さんは「きちんとその国の言葉で話ができなくても、その国のアンセム(国歌)を歌えば心が通じる」と語って いる。[2]
その言葉通り、元代表キャプテンのライアン・ジョーンズ氏は公開練習後、「これまでのラグビーキャリアでこのような経験を したことは一度もなかった」とメディアに感動を伝えた。
それにしてもなぜ、日本人はこれほど「おもてなし」に心を籠めるのだろうか? 海外からの賓客を歓迎するのは、どこの国民 でもするが、その際の心の籠め方が、日本人の場合はレベルが違うように思う。それが外国人を感激させるのである。
■2.「おもてなし」と「サービス」の違い
山村明義氏の近著『日本人はなぜ外国人に「神道」を説明できないのか』[3]で、日本のおもてなしと欧米のサービスとの違 いをこう述べている。
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欧米のキリスト教社会の「サービス」は、「私」と「あなた」、つまり個人と個人の関係をハッキリさせた上での「行為」です。 一方、「おもてなし」は、「私」が「あなた」に「成りかわる」ことによって相手への好意を表す日本独自の「好意」なので す。
・・・〈「私」と「あなた」は違う〉という視点に立つのが「サービス」で、〈「私」と「あなた」は同じです〉という視点に立 つのが「おもてなし」なのです。[3, 20]
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相手国の国歌を斉唱するのは、まさに相手の身に「成り代わって」相手が喜ぶことを行い、相手が喜べば自分もまた喜ぶ、とい う相手との一体感が、「おもてなし」の基本のようだ。この発想は神道から来ている、と山村氏は指摘する。・・・中略
ラグビーでも「ノーサイド」と言われる。戦い終えたら、敵味方はなく、同じ仲間だ、という意味である。ラグビーはイギリス 発祥の紳士のスポーツだが、イギリスの紳士階級は日本でいえば武士階級である。戦士としての振る舞いの理想を追求した騎士道 と武士道が、同様の結論に辿り着いたのも偶然ではないだろう。
荒谷氏は、武道に関してもこう続ける。
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(武道の)試合が終わったあと、荒魂と和魂をちゃんと入れ替えて、それからまた協和状態に戻る。日本の武道では勝者にこそ、 この精神が必要です。(スポーツなら許される)ガッツポーズが、日本の武道ではなぜ見苦しいのか、というと、興奮を収められ ない人は、気鎮め(鎮魂)が出来ない、ということを意味しているからです。[6, p145]
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和魂に戻らなければならないのは、試合の後には相手との和合で終わるのが武道の理想だからだ。山村氏は語る。
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武道を突き詰めて行くと、単に相手を倒す、あるいは負かすことを考えがちですが、本当は自分が相手を包容し、調和と融合の 世界にコントロール(制御)して、相手に対して事を収めて終わる──ということに尽きます。[3, 283]
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この「調和と融合の世界」は、まさしく「おもてなし」の目指す所でもある。・・・以下略
やはり、日本は凄い国です。それを捨ててしまわない内に取り戻す必要があります。世界も、それを待っているはずです。