明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



ここのところ、風邪が治りかけたと思うとぶり返すことを繰り返している。昼間は依頼仕事の制作を進めながら、スチールギターをかき鳴らしたりして。 そんな中、つらつら考えるに、手がけたい作家や小説はいくらでもあるものの、今やらずには居れない、という感じがない。こういった気楽な状態で手がけると、結果的に努力を要することになる。私のような怠け者は努力が苦手である。一方、やらずに居れないようなことは、なにしろやらずに居れないのだから、寝床に本を並べて寝心地悪くして睡眠時間を削って取り組んでいようが、努力している感覚は皆無で、脳内には快感物質が溢れ続ける。この物質の存在を幼い頃に知ってしまうと、中途半端なことをやっても物質が湧いてこず、結局努力という苦痛を伴うことが判っている。またそんな状態で制作した物を人様に披露するのは申し訳が立たない。 久しぶりのそんな薄ボンヤリとした状態には、何か理由があるのであろう。表層の脳の及ばない自分が何かをさせようとしているに違いなく、風邪引きの中、ずっと模索しており、どうもこれではないか、と思い当たることがあるのだが、まだ書ける状態ではない。風邪引きでヘンだし。 そういえば、40年ぶりに会った高校の同級生は、私がこんなことになっているのが意外だったようだが、考えてみると科目としての美術は一年の時にしかなかったし、美術部にも入っていなかった。幼い頃、どこかの王様に石の塔に幽閉され、算数や宿題なんかしないで良いからここで好きなことをやっておれ、という境遇を夢みていたような私が、あの男子校での三年間はじっと耐えており、努力するのはこれが最後だ、と決めていたのは誰も知らなかった訳である。

過去の雑記

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