英語道(トラスト英語学院のブログ)

トラスト英語学院(長野県伊那市)塾長。英語指導や自身の英語学習雑感、趣味のランニングと筋トレについて綴ります(^^)

すでに頓挫か?大学入試制度改悪

2019年09月05日 | 2020年大学入試制度改革
昨日の当ブログの記事「止まぬ批判 文科省はどう動く?」では、FBやツイッターで多くの方に「いいね!」やシェアをしていただき、今年一番のアクセスをいただきました。それだけ注目されている大学入試制度改悪ですが、その世論に逆らってでも推し進めようとする動きがあるのは、到底理解が及びません。

社説に書かれていることを含め、現状(9月5日現在)を箇条書きにまとめて見ます。

・現高2生が高3生になった4月~12月までに2回、英語民間試験を受ける。
・英語民間試験は4技能を一日で完結するものでなければならない。
・その民間試験の結果を入試の合否に使うかは大学が決める。
・センター試験の英語は、マークシート式は変わらないが読解問題のみのとなる。
・5年目からは英語民間試験のみとなる。
・受験生の成績を管理して大学に提供するための一人一人に「共通ID」を発行する。
・民間試験からTOEICは離脱。
・英検をはじめ6団体7種類の試験は、日程や会場などの詳細が未定。
・各団体との協定書の締結も遅れ、3団体と結んだのみ。
・受験生が最も多く受けるであろう英検は“大筋合意”、協定書締結には至っていない。にもかかわらず、英検は来年4~7月実施のテスト予約申し込みを今月18日から受け付けると公表。
・学識者のグループが6月、英語民間試験の利用の中止を求め、約8千筆の署名を添えた請願書を衆参両院に提出。
・全国高校長協会は8月、懸念の早期解消を求める要望書を文科省に提出。
・既に協定書を締結しているGTECを運営しているベネッセグループが、国語と数学の記述式問題採点業務を落札。
・その記述式採点についても公正性が担保されていないと非難続出。
・柴山文科相の演説中に異議を唱えた慶大生が、警察官により排除される。
・柴山文科相が、ようやく情報提供の遅れを認める。


以上からも、今回の大学入試制度改革はどれだけ混乱し、すでに頓挫しかかっているのが分かります。現高2生が受験生の高3になるまで半年しかないのに、不確定要素しか出てこない。

どうなる、日本の大学入試。

大丈夫か、これからの日本。

大学とは、前途有望な若者が夢を追いかけ、この社会で自己実現するために、知的に己を磨ける場所のはずです。その入り口である大学入試で学生たちを混乱と困惑の渦に陥れているようでは、日本に将来はありません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

止まぬ批判 文科省はどう動く?

2019年09月04日 | 2020年大学入試制度改革
8月31日の当ブログの記事でも紹介しましたが、その後も全国各紙・地方紙での英語民間試験導入に対する批判的な社説が続いておりますので、以下にまとめておきます。

英語民間試験 導入を無理押しするな(信濃毎日新聞 8月28日)
英語民間試験 受験生を困らせぬよう(京都新聞 8月29日
[共通テストの英語]受験生の不安解消せよ(沖縄タイムス 8月29日)
大学入試英語 見切り発車、許されない(中國新聞 8月30日)
英語民間試験 混乱の回避が最優先だ(北海道新聞 9月2日)
英語新入試の不安を払拭せよ(日本経済新聞 9月2日)
英語民間試験 撤回含め再検討が必要だ(徳島新聞 9月3日)
【英語民間試験】文科省は何をしていた(高知新聞 9月3日)
英語民間検定試験 日程ありきに不安あり(岩手日報 9月4日)
英語民間試験 受験生の不安解消をいそぐべきだ(愛媛新聞 9月6日)
入試民間検定導入 実施延期を検討すべきだ(琉球新報 9月14日)
大学入試英語 ◆延期も視野に混乱解消急げ◆(宮崎日日新聞 9月17日)
大学入試英語 とどまる最後の機会だ(朝日新聞 9月18日)



全国各紙から上がる批判の声。これこそが世論でしょう。来週の内閣改造で文科相が変わるか注目ですが、世論を無視してごり押しする文部科学省の態度は変わらないのでしょうか。

大揉め、大混乱の大学入試制度改悪。そもそも大学入試制度を変えたところで、英語ができるようになるわけもありません。

スピーキング対策のせいで、日本人の英語習得で最も大切な「読む」力を培う時間が削られ、他教科に割くべき時間も奪われます。英語が苦手な生徒は端から諦めてしまうでしょう。思考力重視の名のもとセンター試験から発音・アクセント・文法・英文整序問題が消えた結果、基本知識の暗記が不徹底となり、もたらされるのは学力の総合的低下だと危惧する教育関係者は私だけではないはずです。

同時通訳の神様と言われた國弘正雄先生の『國弘流 英語の話しかた』には、こんなことが書かれています。
「彼ら(=英語ができる人)には、英語なんて自分で努力するもの、という心意気があるのです。そういう人は、中学・高校でどんな教師に教わろうが、どんな教え方をされようが、結局自分で道を開いていきます。」(339ページ)
英語学習において只管朗読を提唱された國弘先生は、中学校の教科書の1レッスンを1,000回以上音読されました。ここまで徹底できれば、誰だって英語はできるようになる。話せるようになる。大学入試制度を変えたところで何も変わりはしない。

國弘先生がご存命だったら、今のこの現状をどう思われるか。lament という英単語しか思い浮かんできません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本来の大学入試英語へ戻せ

2019年08月31日 | 2020年大学入試制度改革
8月28日(水)の信濃毎日新聞の社説です。
英語民間試験 導入を無理押しするな

実際に受験が始まるまであと7カ月―。準備の遅れは覆い隠しようもない。大学、高校に困惑が広がり、受験生の不安も膨らんでいる。導入を無理押しするのは無責任にすぎる。

大学入試センター試験に代わる共通テストの英語で活用する民間試験である。文部科学省の調査で、全国の国公私立大学の3割近くが利用するかどうかをまだ決めていないことが分かった。

入試に何よりも欠かせない公平な受験機会や公正さを確保できるのか、危ぶむ声は強い。大学が二の足を踏む状況があらためて浮き彫りになっている。

共通テストは、現在の高校2年生が受験する2021年1月が初回となる予定だ。英語の民間試験はそれに先だって来年4月から12月に2回まで受験した結果が出願先の大学へ提供される。

英検をはじめ6団体7種類の試験は、日程や会場などの詳細がいまだにはっきりしない。試験の運営に関する各団体との協定書の締結も遅れ、ここへきてようやく3団体と結んだところだ。

全国高校長協会は先月下旬、懸念の早期解消を求める要望書を文科省に出した。高校は全く先が見通せないほど混乱した状態だと訴えている。国公私立およそ5,200校の現場からの切実な声だ。実施体制が整わないなら導入を見送るべきだという声も相当数の校長から寄せられたという。

住む地域や家庭の経済状況によって受験機会に差が出るほか、そもそも目的も尺度も異なる民間試験の結果を一律には評価できない。比較対照のための国際指標は大まかな基準で、入試に用いるのは疑問だ。大学の語学の教員ら8千人が署名した利用中止を求める請願も国会に提出されている。

北海道大をはじめ一切使わないことを決めた大学もある。利用する国立大も、多くが合否の判定には使わず、出願資格として一定の成績を求めるにとどめている。民間試験の成績を必須とせず、高校が英語力を証明すれば出願資格を認めるところもある。

導入の日程ありきで急ごしらえした制度のほころびは、具体化するとともにあらわになっている。文科省は各大学に利用方針の公表を促し、高校にも情報収集を求めているが、現場にばかり負担を強いるのは理にかなわない。

入試改革は本来、大学が主体となって進めるものだ。現場の混乱を置き去りにしてこのまま強行すれば禍根を残す。先送りする判断をためらうべきではない。
(2019年8月28日)
先月の社説に続く、大学入試制度“改悪”に対する強い論調での社説です。今週は時を同じくして、多くの全国紙・地方紙の社説で取り上げられたようです。

英語民間試験 受験生を困らせぬよう(京都新聞 8月29日
[共通テストの英語]受験生の不安解消せよ(沖縄タイムス 8月29日)
大学入試英語 見切り発車、許されない(中國新聞 8月30日)


現高2生が受験生となるまで時間がありません。なのに、この状況。これはもう無理ですよ。立ち止まって、一から検証し直すべきです。そして、今回のこの混乱を招いた原因は何だったのか?誰だったのか?責任の所在を明確にしないと、当事者である受験生と大学が迷惑を被るだけです。

英語民間試験導入やそこでのライティング・スピーキングの採点の公正公平性、そして国語や数学の記述式導入で揉めていますが、英語に関してはそもそも発音・アクセント、文法、英文整序が姿を消すのもおかしな話です。

日本の大学入試は地に落ち、もはや修復不可能なところまで来てしまった感じがします。唯一の修復方法があるとしたら、今年度までの大学入試センター試験を続けること。

たとえ一部少数の悪役となっても、私は言い続けます。「本来の大学入試英語へ戻せ!」と・・・。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高校長会が動く

2019年07月26日 | 2020年大学入試制度改革
今日の信濃毎日新聞朝刊の社会面からです。
高校長協会「英語民間試験の不安解消を」

全国高等学校長協会は25日、2020年度開始の大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験について「さまざまな情報に翻弄され、まったく先が見通せないほどの混乱状況になっている」として、文部科学省に不安解消を求める要望書を提出した。

協会は全国の国公私立高校計約5,200校で構成し、こうした形での要望は異例という。書面では具体的な不安として

①希望する時期や場所で試験を受けられる見通しが立っていない
②地域・経済格差への対応が不十分
③試験の詳細が明確でなく、指導計画が立てられない
④公平、公正に対する不信が解消されていない

ことなどを挙げた。

現場は大混乱しているのが分かります。先日の署名やこのような要望書が出されても、国はゴリ押しして実行に移してしまうのでしょうか?

吉本問題や衆議員のパワハラを報道するのもいいですが、それら以上に重要であるこの問題がもっと大きく報じられるべきだと感じるのは、私だけではないはずです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共通一次以前に戻るのか

2019年07月18日 | 2020年大学入試制度改革
共同通信社から先週発信されたニュースです。
数学の文章記述問題、導入見送り

初年度大学共通テスト、数式のみ

現行の大学入試センター試験の後継で2020年度に始まる大学入学共通テストを巡り、大学入試センター(東京)が数学で検討していた文章記述の問題導入を初年度は見送る方針を決めたことが12日、分かった。昨年11月の試行調査では、文章で解答する問題を含む記述式の小問3問の正答率が低迷し、本番では3問とも数式のみを記述させる。

センターが今月、各地で実施している高校関係者らへの説明会で明らかにした。記述式問題の導入は共通テストの目玉の一つ。選択肢から答えを選ばせるのではなく、考えをまとめて論述させることで「思考力・判断力・表現力」を評価できるとしている。
センター試験の記述式問題導入は、採点の観点からも問題が指摘されていました。なるべくしてなった帰結ですね。

国公立大学の記述式個別入試の難問奇問に対応すべく、客観性が担保されるマーク式を一次試験として1979年に導入された共通一次試験。それを基にして現在のセンター試験があります。そこに記述式を導入しようとして、しかも一部とはいえ取りやめる。こんなことをしていればセンター試験の信頼が損なわれ、大学側が個別入試に力を入れるでしょう。それは、共通一次が導入される前の時代に戻ることを意味します。これでは何の意味もありません。

さあ、国語の記述問題はどうする?英語の民間試験導入はどうする?英検とGTECのライティングとスピーキングの採点の公平性と公正性は担保されるのか?

ここに来て、大学入学共通テストに関して潮目が変わってきたように思います。英語の民間試験導入もどうなるか予断を許さない状況です。。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本気の受験生を受けとめられるのか

2019年07月11日 | 2020年大学入試制度改革
浪人時に受けた模試で、記述解答の採点に間違いがあったので、問い合わせの際に私が書いた質問書です。
第一志望に合格しようとしている本気の受験生は、ここまでやっているのです。

2020年度大学入試共通テストの記述式問題では、学生アルバイトが採点者として認められる方針です。50万人以上が受けるセンター試験で、短期間に公平・公正に採点ができるかというそもそもの問題が解決されていないのに、受験生より知識がないバイトが採点したらどうなるのか?考えただけでもゾッとします。日本の大学入試も終わりますね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

変わりつつある世論

2019年07月09日 | 2020年大学入試制度改革
昨日の信濃毎日新聞朝刊の社説です。


英語民間試験 今ならまだ立ち止まれる

大学入試センター試験に代わる共通テストの実施まで1年半。英語で活用する民間試験からTOEICが外れることになった。実施団体が取り下げた。

ほかの民間試験も詳しい日程や会場が固まっていないところが目立つ。試験の運営に関する協定も締結できていない。導入の日程ありきで急ごしらえした制度のほころびがあらわになっている。

大学側の姿勢も慎重だ。国立大の4割は民間試験の成績を合否の判定に使わない。北海道大、東北大、京都工芸繊維大の3校は、一定の成績を出願資格にすることを含め一切使わないと決めた。

入試で最も大事な公平性や公正さを欠くとの判断からだ。国立大以外でも岩手県立大や岡山県立大が、いったんは利用するとした方針を撤回している。

民間試験はそれぞれ目的や尺度が異なり、留学のための試験も、商用の英語力を測る試験もある。結果を一律に比較できない。語学力の国際指標に当てはめるというが、それに用いる対照表は公式な検証や審査を経ていない。

さらに見落とせないのは、住んでいる地域や家庭の経済状況によって、有利、不利が避けられないことだ。試験によっては受験会場が都市部に限られ、交通費や宿泊費の負担が生じる。受験料が2万円を超す試験もある。

公平な受験機会を確保できるのか、危ぶむ声は当初からあった。にもかかわらず、根本的な解消策は取られていない。経済的な困難を抱える生徒への支援も具体化しないままだ。導入が近づくとともに不安や戸惑いは増している。

政府の顔色をうかがうような大学の中途半端な対応も無用な負担を強いる。民間試験で中学卒業程度の成績を取れば出願を認める大学が少なくないほか、成績を問わないところまである。それなら、受験生はいったい何のために時間もお金も使って民間試験を受けなくてはならないのか。

東京大元副学長の南風原(はえばら)朝和さんらは先月、民間試験の利用中止を求める請願を、語学を専門とする大学教授らおよそ8千人の署名とともに国会に提出した。試験の質の審査や運営を監視・監査する仕組みがないことも、公平、公正を損ねると指摘している。

入試改革は本来、大学が主体となり、高校の合意も得て進めるべきものだ。その前提を欠いたまま、ずさんな制度の導入を政府が強行し、受験生がしわ寄せを受けることがあってはならない。今ならまだ立ち止まることは可能だ。
(2019年7月8日)

信濃毎日新聞は物心ついた頃から毎日読んできましたが、どちらかというと保守的であり、いわゆる controversial な件についても、事実関係を淡々と伝える論調でした。しかし、昨日の社説では「今回の英語民間試験導入はおかしい」と、一刀両断に論じています。

この社説をツイートしたところ、たくさんのリツイートをしていただきました。少しずつ、でも確実に、世論が正しい方向に動いているのを感じます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TOEIC 参加せず

2019年07月03日 | 2020年大学入試制度改革
大学入試センター試験に代わるテストとして2020年度から導入される大学入学共通テストに関連し、TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が、TOEICの参加を取り下げるとプレスリリースしました。以下、全文を引用します。

「大学入試英語成績提供システム」への TOEIC® Tests 参加申込取り下げのお知らせ

日本でTOEIC Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)(所在地:東京都千代田区永田町、理事長:室伏貴之)は、TOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)およびTOEIC Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)の大学入試英語成績提供システム(以下、本システム)への参加申込を取り下げる判断をいたしましたので、お知らせいたします。

既にご報告しておりました通り、TOEIC L&RおよびTOEIC S&W(以下、あわせて、TOEIC Tests)は、2018年3月26日付で独立行政法人大学入試センターの本システムの参加要件をすべて満たしていることが確認されておりました。

その後、当協会では、大学入試センターと協定書の締結に関する協議を行うとともに、2020年4月からの本システム運用開始に向け、所要の準備を進めてまいりました。

TOEIC Testsは4技能を測定できる試験ではございますが、TOEIC L&RとTOEIC S&Wが別々に実施される形態となっております。本システムへの社会的な要請が明らかになるにつれ、それらに対応するためには、受験申込から、実施運営、結果提供に至る処理が当初想定していたものよりかなり複雑なものになることが判明してまいりました。このため、現時点において、協定書締結に向けた大学入試センターとの協議が完了しておらず、当協会として本システム運用開始において責任をもって各種対応を進めていくことが困難であると判断いたしました。

これ以上意思決定時期を遅らせることで、受験者の皆様をはじめ、保護者、学校関係者の皆様にご迷惑をおかけしないように、当協会といたしましては、「TOEIC L&RおよびTOEIC S&Wの大学入試英語成績提供システムへの参加申込を取り下げる」との判断に至りました。

何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
大学入試における英語民間試験の導入に関し賛否両論がありあますが、いよいよ動きが出てきました。私は、今回のTOEICの決断は、勇気のある、かつ至極真っ当な決断だったと思います。TOEIC以外の資格試験も同じような問題を抱えているのは明らかで、撤退が相次ぐ可能性は否定はできません。

その一方で、同じく昨日、日本英語検定協会は、大学入試で用いる一日完結型の英検の実施要項を発表しました。

受験生・指導者とも、今後の動向と情報を注視し、あらゆる事態を想定して準備していく必要がありそうです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大学入学共通テストの英語

2019年06月08日 | 2020年大学入試制度改革
現行の大学入試センター試験の後継として2021年1月16、17日に1回目が行われる大学入学共通テストの配点と問題作成方針が公表されました。

英語は従来の筆記200点、リスニング50点の計250点から、リーディングとリスニング各100点の計200点に変更となります。試験時間はリーディングが80分で現行と変更はありませんが、従来の筆記に盛り込まれていた発音やアクセント、語句整序の問題はなくなり、読解力を測る出題となります。以下にポイントをまとめておきます。

【リーディング】
・「筆記」から「リーディング」へと呼称変更。
・200点から100点へ。
・発音、アクセント、文法問題等はなくなり、読解問題中心の出題となる。
・試験時間80分は変わらず。
・全問マークシートも変わらず。

【リスニング】
・50点から100点へ。
・試験時間は30分から60分へ。
・従来は英文はすべて2回流されたが、1回しか流されない出題も混在する。
・全問マークシートは変わらず。

リーディングとリスニングの比率が1:1になるのは好ましいですが、単純な文法問題等が消えるのは以前から納得ができませんね。確固たる文法力があるかを読解問題だけで判断するのは難しいです。そして、民間試験活用については、多くの問題点が指摘されているにもかかわらず、いまだそれらが解決されないまま見切り発車させようとしている事実は否めません。

SNS上では、民間試験の利用中止を求めて国会請願する署名活動が始まりました。これからどうなっていくか・・・。受験生、教育関係者ならずとも、動向から目が離せません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“改悪”へ向かう前に

2019年05月25日 | 2020年大学入試制度改革
先日のエントリでも書きましたように、混迷を極めている大学入試における英語民間試験活用ですが、そもそもの始まりは「中高6年間も英語を勉強しているのに日本人は英語が話せない。だったら、大学入試でスピーキングを取り入れよう」ということが、事の発端でしょう。大学受験で話す力を含めた4技能を課せば、英語が話せるようになるという短絡的な結論に見えます。

しかし、一体全体、どれだけの人が中高6年間に英語を勉強したと言えるのでしょうか。

先月発表された文部科学省の調査では、高3で英検準2級程度以上の英語力がある人は40.2%です。はっきり言って準2級では英語力があるとは言えません。そもそも、高3なら2級(=高校卒業程度)以上でデータを公表すべきなのに準2級なのも納得できません。2級以上で調査すると恐ろしいほど低い数字になるからでしょう(笑)。

以上のことから、日本人は中高6年間で英語を勉強しているとは言えません。たとえ高卒程度とされる英検2級に合格していても、全く大した実力ではありません。中学生で合格する学生は多いですし、合格していても、指導していると「え、その英語力でよく合格したね」と感じる場面に多々遭遇します。英検などの資格試験は学習を進める上での目標にはなりますが、実力を担保するものではないのです。

「中高6年間も英語を勉強しているのに・・・」というそもそもの前提が間違っているのだから、大学入試制度改革が頓挫するのは当たり前なのです。拙速な“改悪”へ向かう前に、今一度ここで立ち止まり、否、従来のセンター試験へと戻る勇気も必要だと考える英語教育関係者は、決して少なくありません。
花壇で手入れされた花々も素晴らしいですが、道端で咲くジャーマンアイリスも圧巻です。毎年変わらず繰り返される自然の強さ。変わらないものにこそ真の強さを感じることが出来ます。日本の英語教育においても、「変える必要がないものを変えない勇気」を持ちたいですね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする