実は、私はかなりの野球気狂い(an unabashed fan of baseball)。「生まれる前から巨人ファン」といって憚らなかったのですが、Seattle で暮らした時期とイチローが Mariners に入団したのと時期が同じだったため、それ以来 the Major Leagues に詳しくなってしまいました。Safeco field にも何回となく足を運びました。
最近の大学入試でも野球を扱った長文が出題されています。アメリカ社会を野球から斬る Jules Tygiel 著『
Past Time: Baseball as History』から抜粋された超長文が2004年早稲田大学国際教養学部で出題されたのは業界内では有名な話。アメリカでは野球が国民的娯楽(national pastime)と言われるため、野球に詳しいと大学入試英語でもプラスに働きます。
という訳で、今日の大リーグ中継を見ていて感じたことを述べたいと思います。
城島のプレーを生中継で見ていると、ピッチャーや監督・コーチと頻繁にコミュニケーションを取る姿を目にする。キャッチャーというポジションがそうさせているのだが、4試合目にもかかわらず、彼に対する周りの信頼が強くなっているのが分かる。
今日も、先発(starter)の Meche と頻繁に会話し、不安定な立ち上がりの先発投手を勝利投手に導いた。当初インコースを避けアウトコース中心の組み立てであったが、明らかに Meche がそのように要求していた。しかし、3回ぐらいから城島がインコースを要求し始め、投球が落ち着いてきた。おそらく、城島が投球のたびにジェスチャーをし、回が終わるごとに Meche とコミュニケーションをとり、Meche も城島を信頼して投球の組み立てを変えたのだろう。
ピッチャーだけでなく他の野手とのコミュニケーションもうまくいっている。それを証明する象徴的なシーンは、今日の試合の5回裏(the bottom of the fifth inning)、Mariners の攻撃の時にあった。指名打者(designated hitter) Everettが敬遠(intentional walk)された後の城島の第3打席(in his third at-bat)。レフト前ヒットで打点を上げ、Oakland の先発 Loaiza をマウンドから引きずりおろした。その投手交代の間、2塁の Everett が城島の元に駆け寄り「なかなかやるじゃないか、Joh」と言ってるかのように笑顔で話し、城島も積極的に発話していた。因みに、このような光景自体、2002年以来負け癖がついてしまった Mariners には見られなかった。
イチローには上記のような「周囲と積極的にコミュニケーションをとる」という姿勢はない。彼は、会話をして信頼関係を築いていくというよりは、結果を残し行動で周りの信頼を得るタイプだろう。周囲が近づき難い雰囲気を醸しだし、黙して多くを語らないが、実績と実力で周りを引っ張っていくのがイチローだ。Time誌がイチローを“idiosyncratic(特異な、風変わりな)”と形容したのも納得だ。
どちらが良いとは言えないが、英語を学んでいるものにとって城島の姿は模範となる。彼の英語力なんて高が知れている。しかし、積極的な英語によるコミュニケーションによって、今やポジション同様、チームの要になっているのではないだろうか。