2019年6月19日党首討論 安倍晋三対立憲民主党枝野幸男全文

2019-06-22 10:47:08 | 政治


 2019年6月24日に《安倍晋三の対枝野幸男党首討論:不都合を隠すウソ八百 自民党は民主党政権提案の最低賃金1000円に長いこと反対していた》と題してブログを書く予定で文字起こしした安倍晋三対立憲民主党枝野幸男の質疑応答の全文を、折角だから、前以って載せてみることにした。参考になるかどうかは不明・・・・・・。

 2019年6月19日党首討論 安倍晋三対立憲民主党枝野幸男

 枝野幸男「先ず冒頭、私からも昨夜の地震によって被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げます。先程政府としての迅速な対応が必要なら、今日のPD(党首討論)の延期も含めて柔軟に対応を致しますということを申し上げさせて頂きましたが、問題ないというお答えを頂きました。まあしかし、引き続き余震等の心配がございますので、是非政府に於かれましては万全の対応をお願いを申し上げたいと思います。

 さて金融審議会のワーキンググループによるいわゆる2000万円報告書を契機として年金に対する関心等、老後に対する不安の声が高まっております。総理はこの今回の事態の中で多くの国民の皆さんが年金の何について関心を持ち、老後の何について不安を持っていると認識されているでしょう」

 安倍晋三「先ず改めて昨日の地震により被害を受けられた皆さんに対して心からお見舞い申し上げたいと思います。政府としては発災直後から人命第一に被害状況の把握、人命救助など、災害を受けた方への全力を傾けてきたところでございます。

 現在も雨が、現地、降っておりますので、多くの方々が不安のときを過ごされていると思います。先程関係閣僚会議を開催したところでありますが、政府と致しましては土砂崩れやあるいは余震といった二次災害に対して警戒をしている方(方面?)に対して万全を期すとともに道路等のライフラインの早期の復旧に全力を上げて参ります。現在も雨が降っておりますので、現地の皆様に於かれましては、実際の避難状況に十分に注意をして頂きたいと思います。

 そして年金についてでございますが、年金については皆様方、国民の皆様方、まして年金によって自分たちの老後の生活を賄うことができるのかどうか、そしてもう一点は果たして年金は持続可能なのかどうかということについて不安を持っておられるものと、このように考えております」

 枝野幸男「あの、今の不安が前提なんだろうと思いますが、今回のいわゆる2000万円報告書を契機として多くの皆さんの声が上がっているというその本質は安心ばかりを強調して、そして実態と向き合わない、この姿勢にあるのではないかと私は考えております。

 今回の2000万円という金額についても、確かに平均値であったり、一つの資産であったりします。しかしながら、多くの有権者の皆さんがそれぞれの生活をを考えたとき、自分が今貰っている年金、あるいは将来貰えると見込まれている年金だけでは、なかなか老後の暮らしが成り立っていかない。にも関わらず、今回の報告書が出た後も、安心ばかりは強調されて、その多くの有権者の皆さんが抱えている不安に向き合っていないということに対して多くの皆さんが怒っておられるのじゃないかと思います。

 そしてこれは年金問題ということで国民有権者の皆さんの生活と直接結びつくという今回の事案で多くの関心の輪が広がりましたが、これまで、森友・加計学園問題を始めとして公文書の隠蔽・改竄などが繰り返され、それに対する責任の所在等についても曖昧のままきています。見たくない事実はなかったことにして誤魔化す姿勢、これが自分の暮らす、直接関わる問題で見せられたこと、それが短時間で多くの皆さんの関心を招いている、そのベースにあるのではないかと私は考えます。

 先ずは今回の2000万円報告書、存在しないとか受け取らないとかという、そういう弥縫策ではなくて、きちんと、一つの試算ではこういうこともある、そうした場合に自分の力だけではなかなか2000万円のような規模では貯蓄はできないと不安を持ってらっしゃる皆さん達の正面から向き合うこと、それが今求められている政府の姿勢ではないかと思います。

 また今回の件で改めて突きつけられた公文書の管理や情報公開、議会に於ける徹底した説明責任を果たす、こうしたことをなさっていくことが今求められていることではないのかと思うんですが、総理の認識は如何がでしょうか」

 安倍晋三「先般の金融庁のワーキンググループの報告の問題点は何か、ということでありまして、枝野委員も既に指摘されたように平均値で見るのがいいのか、ということでございました。ここに大きな問題があったわけであります。

 この報告書によるとですね、月々年金生活者の方々が5万円不足する。いわば5万円赤字であって、そしてそれは95まで生きれば、2000万円になるということから、大きな誤解で生じたわけでございますが、これには前提条件があり、前提条件としては、2500万円、平均で預金がある。その預金の中から5万円ずつを活用して生活をしていくということでありますが、平均値でございますので、2500万円、預金があるということで、そんなにないよと違和感を感じた方もたくさんおられるのではないかということでありました。

 大切なことは何かと言えば、年金生活者の生活実態は多様でありまして、その多様な実態に対してしっかりと対応していくものとなっているのかどうかということであります。ですから、大切なことは、例えば年金が少ない方につきましては最大年6万円の給付を行っていく。あるいは無年金者の方々、(?)、この無年金となる原因である給付の払込の期間を25年間から10年間に短縮することによって無年金者の数を減らしていく。あるいは高齢者の皆様とっては介護保険料は大きな負担でありますから、介護保険料の負担を軽減をしていくということをしっかりと私たちは対応をしていく。

 そして様々な状況に向き合っていないのではないかということでありますが、様々な、様々な持続可能性に対する不安は何かと言えば、例えば平均寿命が伸びていきますますから、受給期間が長くなるということが一点。そして例えば生産年齢人口が減少していきますから、支え手が減少していくのではないかということことであります。

 そうしたものに向き合って、行なった改正が平成16年の改正であったわけでありました。マクロ経済スライドを導入をして、平均寿命の延伸とあるいは被保険者の増減に対応するようになった、これによって将来の年金受給者の給付と負担のバランスを取ると同時に現在年金を貰っている方の水準、年金の水準と、将来、年金を貰う方の水準を、これは均衡を取っていくということをお願いをしているわけであります。

 そしてデフレが続いていけば、残念でありますが、申し訳ないけれども、受給者の皆様にこのデフレスライドをお願いをする。あるいはマクロ経済スライドによって賃金の伸びには残念ながら追いつかないんですが、そのことによって持続可能性をお願いをしているということであります。まさに私たちは現実と向き合いながら、ご説明をしながら、制度の改正を行っているところでございます」

 枝野幸男「縷々お話を頂きましたが、私の問いかけには正面から答えて頂いたと思っておりません。あのー、今回の報告書そのものは一つの仮定であり、モデルを前提として2000万円というのはあるモデルに当てはまる人にとっては老後必要な金額ということかもしれませんが、今回を契機にして従来から、それは例えばこの2000万円のケースで想定されてる20万円弱の年金、国民年金の方はとてもこんな金額の年金、受け取っていませんし、受け取ることもありません。そうした皆さんたちは従来からこの年金だけでは老後食べていけないということを意識をして、あるいはこの年金だけ食べていけないという中で暮らしておられる。

 そして厚生年金などで一定の年金額を受け取っている皆さんにとってもですね、既に高齢者になっている皆さんは今更、今例えば数100万の貯蓄しかないけど、今さら増やせと言われても困るけれども、さあ、どうしようかという不安の中に過ごしておられる。

 そこにこうした報告書が出てきたことに対して、じゃあ、その貯蓄がない人たちはどうしたらいいんだろうかということに対しての答の前にその報告書自体がなかったことにしてしまうという姿勢は、これは、やっぱり高齢者が抱えていらっしゃる不安に対して正面から受け止めているということにはならないというふうに思っております。

 年金制度については確かにこれを改革しようと思えば、長期的な期間が必要になると思います。現に年金を受け取っていらっしゃる方の年金を大幅に上げるということは現実になかなか難しいことがあるということをよく分かっています。ただやれることがあるのにやれていないというふうに思っております。

 それは勿論年金生活者の中にはまさに多種多様でありますから、それこそを国民年金で食べていくことも今できていないというような方にとっては年6万円とはいえども、私はそのこと自体は評価をしたいと思いますが、そうした方々を含めて、一定程度の年金を受け取っていらっしゃる方々を含めて多くの皆さんが抱えている課題は健康な間は何とかなるかもしれない。ただ最大の不安は病気になったときの医療費やあるいはそのことによって介護が必要になったときの介護、さらに年齢を重ねたことによって病気でなくても、やはり介護の必要度は高まっていきます。

 今健康だから、この年金で何とか遣り繰りしているけれども、病気になったり、介護が必要になったときというものの不安が大変大きい。これに私は向かい合う姿勢が今求められているというふうに思っております。低年金であっても、資産がなくても、万が一のときに一定の医療や介護が受けられる安心、こういうことこそが多くの高齢者の皆さん、あるいはまもなく高齢者になる皆さんが求めていることだと考えている。

 私どもはそのための総合合算制度を早期に導入するべきであるということを主張をしている。制度ごとに例えば医療費の自己負担、あるいは介護費用の自己負担などを計算するのではなくて、家庭単位で医療、介護、保育、障害者福祉に関するトータルの金額について自己負担に上限をかける。当然のことながら、年金を始めとして所得に応じて上限を掛ける。

 こうした制度をしっかりと導入することによって年金が低い方でも、その範囲で一定の医療や介護が受けられるという安心、これをつくれば、勿論、年金の額が増えていくことが一番いいことかもしれませんが、それは困難であるということは私はよく承知をしております。

 そうした中で高齢者の皆さんの安心を高めることに繋がるんだと、私たちは国民の皆さんに提案をさせて頂きたいというふうに思っています。

 その前提として、そもそも質量ともに医療や介護のサービスが不足をしている、この大きな要因は低賃金による人手不足の慢性化であります。介護、医療従事者の賃金を抜本的に底上げをしていくということ。こうした形で病気になったり、介護が必要になったときでも一定の医療や介護が受けられるようなサービスの質量の安定と、それからそのときにかかる自己負担の所得に応じた低廉化というものを進めていくべきだと思っています。

 因みに医療介護のサービスを提供している賃金の底上げにかかる費用は直接的には一時的に現役世代の皆さんの所得の底上げということに回っていきます。高齢者の皆さんにとってだけではなくて、現役世代の賃金の底上げ・雇用の拡大ということに繋がっていくというふうに考えております。私共は今こそ総合合算制度とそして医療・介護の質量共に賃金の底上げによる充実というものを進めていくべきだと思っていますが、総理の見解を」

 安倍晋三「先ず、高齢期に応じて生活を支えるものは、勿論年金、大きな柱でございます。基礎年金と厚生年金、あるいは企業年金等がありますが、これについては既に私も、これまで既に答弁させて頂いております通りでございまして、勿論、国民年金だけではなかなか、これは生活費を賄うことができないということについては、これまでもお話をさせて頂いたところでございます。
 
 でも、これも委員のご承知の通り、まさに給付と負担のバランスでありますが、給付をするためには負担をして頂かなければならない。と同時に年金というのは、これは年金の保険料とそして同時に税金を投入する。さらには年金の積立金とそしてその運用益でございます。そこで今委員が仰ったように若い人たちの給料が増えることというのは支え手のみなさんの保険料も増えていきますから、年金財政にはプラスになっていくことは当然のことであろうと思います。

 そういった意味に於きましてはこの6年間で380万人の方々がさらに働き始めた。正社員に於いてもこの6年間で150万人増えました。我々が政権交代前は50万人正社員が減っていたんですが、150万人増えたことによってですね、例えばマクロ経済スライドの数字はですね、0.9から0.2に大きく、これはある意味ではこれを改善と捉えているわけでありますが、数値としては改善した。これ平均寿命が延びているにも関わらず、これは働いている方々の保険料が増えたことによって回転をしているということでありますから、まさに委員がおっしゃったように経済が成長していくことによってですね、新たな働き手が増えていく。まさにが働きたい人が仕事ができるという環境を作ることが極めて重要であります。

 こうして経済が成長していくことによってですね、先程申し上げましたように44兆円のですね、44兆円、運用益が出ているわけでありまして、民主党政権時代の約10倍、運用益が出ている。つまりしっかりと経済を成長させ、働き手を増やし、雇用を増やし、そのことによってですね、当然保険料収入も増えていく。マクロ経済スライドのマイナス分も減っていくわけでございますが、これからもしっかりと増やしていきたい。

 そして最低賃金につきましても、我々政権を奪還してから、この6年間で125円増えています。民主党政権時代の皆さんも頑張ったと思いますよ。みんなさんのときには36円増えている。みなさん3年間で、我々6年間で。しかし私たちは倍なんですが、3.5倍、最低賃金は増えているということであります。

 経済を成長させ、収入を増やし、そして当然、税収も、今、税収も活用して、社会保障の基盤を安定していく。成長と分配の好循環をしっかりと作っていくということであります。そして最初に申し上げましたように皆さんの収入が増えていくということについては、これは社会保障の基盤を大切にしていくことに於いて大変大切であり、しっかり私たちはそのことを行っていくことを申し上げておきたいと思います」

 枝野幸男「私も民主党政権の一翼を担わして頂きました。至らない点がたくさんあったことは、改めてこの場でお詫び申し上げておきたいと思いますが、経済の数値の最終成績はどこなのかと言ったら、私はやはり実質経済成長率、2010年から12年の実質経済成長率は1.8%。2013年から2018年の実質経済成長率は1.1%であります。これが客観的な経済のトータルの総合成績であるということは、私は自信を持って申し上げておきたいと思っております。

 そして先程の安倍総理のお話は私の問いかけには答えて頂けませんでした。年金の範囲の中で一定の医療や介護を受けられる総合合算制度というものについては全く答えをスルーされました。これについてはいっとき導入の方向で話が進んでいたものが、軽減税率導入の財源にするためにこれは実施をされないという流れになってきたということも付与しておきたいというふうに思っておりますし、それから全体としても雇用の話を一生懸命しておられましたが、私が提起をしたのは特に安心できる医療と介護、安心できる老後のためには介護従事者の殆ど、そしてかなりの比率の医療従事者、こうした皆さんが非常に重労働であり、なおかつ低賃金であるために慢性的な人手不足に陥っている。そもそも老後の安心のためのサービスも、質も量も不足している。

 そこをまず充実させていくためにそこに対してかなり抜本的な所得底上げ、そこに財政を投入していくということを申し上げましたが、一般論に転換をされてしまいました。これではなかなか現実には介護従事者の皆さんの所得の上がり方は微々たるものであって、本当の意味で今急激に増えている高齢者の数に対応して、今不足分を埋めてまでしっかりと安心できる介護をつくるという、こういう状況は想定できません。

 抜本的に分配のやり方を変えてですね、介護従事者、そして医療従事者、低賃金でありながら人手不足の分野は、これは老後の話だけでありません。保育士さんなどにも当てはまる問題であります。

 こうしたことをしっかりとすべきこと。これを私どもは今の社会政策に対する、そして経済政策に対する明確な対案として訴えていきたいと思っていますので、是非、安心できる医療や介護をどうするのかという具体的な案を示して頂きたいと思います」

 安倍晋三「一点だけ申し上げますと、実質成長の自慢をなされましたが、名実逆転をしている実質成長の伸びはデフレ自慢にしかならないということを申し上げておきたいと、こう思うわけであります。安倍政権に於いてはしっかりと経済を成長させていくわけでございますが、これからも成長と分配の好循環を回していきたいと、このように考えております」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする