安倍晋三の「桜を見る会」:内閣官房・内閣府の招待者ノーチェック・フリーパスは「総理のご意向」を忖度した行政・予算の私物化か

2019-11-25 11:20:39 | 政治
 今回の「桜を見る会」騒動で知ることになった向きもあるだろうが、「桜を見る会」の主催者は内閣総理大臣であり、その公的行事である。つまり2013年以降の「桜を見る会」は安倍晋三が主催者である。どのような騒動が起きようとも、その責任は主催者の管理責任となる。安倍晋三は責任感の極めて強い政治家だから、「桜を見る会」に関しては自身が何事に対しても管理責任を負っているとする強い自覚を持った姿勢を貫いているはずである。

 「桜を見る会」の参加資格は「各界の功労・功績者」となっている。招待の仕組みは内閣官房・内閣府が首相官邸や自民党本部・公明党、各省庁等に招待者の推薦依頼を行い、依頼を受けた側が招待にふさわしい人選を行って、各自が推薦者名簿を作成、この名簿を内閣官房・内閣府に送付、内閣官房・内閣府が推薦者名簿の中から毎年、約1万人としている人数に取り纏めて招待者名簿を作成、内閣府が招待者各自に招待状を送付、招待状を受けた「各界の功労・功績者」が晴れて「桜を見る会」に招かれるという段取りとなっている。

 招待者の人数は「『桜を見る会』開催要領」には約1万人と記載されているものの、2019年11月8日参院予算委では共産党議員田村智子が今年の「桜を見る会」の参加者は約1万8千人だと言っていたが、野党各党は招待客が1万人を超えたのは内閣官房・内閣府が受け取った推薦者名簿そのままに招待者名簿を作成し、推薦者名簿と変わらない招待者者名簿から招待状を作成、送付していた、いわばノーチェック・フリーパスの仕組みとしていたことが原因ではないかと国会で追及しているが、内閣官房・内閣府は推薦者名簿と招待者名簿は共には毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えることから、大型シュレッダーにかけて廃棄し、詳細については分からない、また推薦者名簿の控えなどは残っていないのかとの野党の追及に対して安倍事務所や麻生太郎事務所、その他は「記録は残っていない」、「資料は残っていない」でかわしている。

 但し各府省庁などに残っていた推薦者名簿、約4000人分を内閣府が2019年11月22日に国会に提出したが、幹部公務員などを除いた「功労・功績者」の欄が殆ど黒塗りになっていたという。 
 つまり「功労・功績」を判断する材料を隠した。隠す目的・必要性を勘繰ると、「『桜を見る会』開催要領」に則った「功労・功績」に適合していない疑いが浮上する。

 官房長官の菅義偉が11月20日午前の衆議院内閣委員会で今年招待された1万5000人余りの内訳を明らかにしたと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。
▽各省庁推薦の功労者らが約6000人
▽安倍晋三からの推薦約1000人
▽副総理麻生太郎、菅義偉、官房副長官の合計が約1000人
▽自民党関係者が約6000人
▽国際貢献や芸術文化などの特別招待者や報道関係者、公明党関係者合計約1000人。

 共産党議員田村智子が言っていた約1万8千人と菅義偉が発表した約1万5千人と、どちらがより正確な数字なのだろうか。田村智子が言っていた約1万8千人がより正しい数字だとすると、菅義偉は悪事を少なくして見せたということになるし、菅義偉の約1万5千人がより正しい数字だとすると、田村智子は政府の悪事をより大きく見せたことになる。だが、政府側が黒塗りにする目的と必要性を抱えている点からすると、田村智子の約1万8千人がより正しい人数に見えてくる。

 内閣官房・内閣府が推薦者名簿と招待者名簿共に大型シュレッダーにかけて廃棄し、各省庁保存の推薦者名簿は黒塗りで発表、安倍事務所等与党側には記録・資料のたぐいは残っていないでは全て藪の中ということになる。
 それでも野党は安倍晋三側が国会や記者会見で内閣官房・内閣府が招待者を最終的に取り纏めていて、自分たちはノータッチだとしていることに対して内閣官房・内閣府の最終的な取り纏めは見せかけで、推薦名簿がそのまま招待名簿となっているノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていたこと自体が参加者の人数を膨れ上がらせた原因ではないかと追及、その攻防が続いたままとなっている。

 2019年11月21日午後の参議院内閣委員会でも野党共同会派の小西洋之がノーチェック・フリーパスの観点から官房長官の菅義偉や政府参考人を追及していた。その中で野党共同で内閣官房や内閣府の職員にヒヤリングした事実をぶっつけて、ノーチェック・フリーパスであったことの実態を暴こうとした。

 小西洋之「政府参考人についてお伺いします。安倍事務所の推薦者は招待者になるまでの取り扱いの流れですが、毎年実際の、安倍事務所から推薦者の名簿を頂いてですね、取りまとめる作業、安倍事務所から名簿を頂いた方と取り纏めた方と実は同一人物なんですよ。

 その方は、名刺も頂いておりますが、内閣官房総務館室の参事官補佐の方でございます。その方に二度に亘ってヒヤリングをして頂きました。『本年の安倍事務所推薦者の取り扱いの流れは内閣官房・内閣府より首相官邸に推薦者依頼があり、官邸の内閣総務館室に於いて安倍事務所に推薦依頼を行い、安倍事務所からメールによってデータで推薦名簿を内閣総務館室が受領し、そのデータをメールで内閣府事務次官に提出し、内閣官房・内閣府、官房内閣総務館室で、内閣府の人事課ですけども、取り纏めによる招待者としての確定後に安倍事務所に当該招待者の名簿を提供することはなく、内閣府人事課より招待者各自に招待状が郵送された』

 こうした事実関係でよろしいでしょうか。簡潔によろしくおねがいします)

 大西証史(内閣官房審議官・証史「あかし?まさし?」)「小西先生のところに担当の参事官を参上させて頂きまして、ご説明差し上げましたけれども、おっしゃられるように『桜の見る会』の招待者につきましては内閣総務館室に於きまして総理・副総理・官房長官・官房副長官に対しても事務的に推薦依頼を行いまして、各事務所から推薦を頂いております。この遣り取りはメールで行いまして、内閣官房・内閣府の方(ほう)の取り纏めで、先程先生がおっしゃられましたように内閣府事務次官から招待者に対して招待状を発送するということでございます」

 小西洋之「(最初は聞き取れない。)事実関係はそのとおりだという答弁だというふうに思いますけども、では引き続いて政府参考人に窺わせて頂きます。
 今確認させて頂いた事務の取り扱いとですね、結局安倍事務所からの推薦者についても、この内閣官房と内閣府の取り纏め、最終的な取り纏めとも言っておりますが、その取り纏めというのは誰かを弾いたりするものではなくて、その推薦名
簿をそのまま招待者名簿に、まあ、名義上替えていると、まあ、そうしたものでよろしんでしょうか。
 で、このことについてはですね、まさに政府参考人ご自身だと思いますけれども、大西審議官ご自身だと思いますけれども、我が参議院の予算委員会の理事に対してですね、我が会派の蓮舫理事も含まれますけども、その理事の方々に直接、誰かを弾いているようなことはしていない、まあ、重複があったときにはそれを外すようなことはあるけども、誰かを不適格として外すことはないというふうに仰ったということでございますけども、そうした事務であるということでよろしいですね。簡潔に言ってください」

 大西証史「先程 若干ご説明申し上げましたけども、先程長官(菅義偉)からも申し上げましたけども、いわゆる推薦者の取り纏めの詳細につきましてお答えを、詳細につきましては差し控えますけども、推薦に当たりましては氏名や職業の情報を、招待者の推薦に当たりましては、氏名や職業の情報を頂いておりまして、こうした情報を元に長官が申し上げました取り纏めを行っているところでございます。

 で、さらに申し上げますと、えー・・・・・(言い淀む)どなたからのご推薦であっても、社会的常識に照らして問題があれば、招待しないといったこともあり得るということでございます。で、なお、先程先生が申されました、根拠と申されました、仰られました、えー、別の、恐らく、(内閣官房の)事務方と先生方との遣り取りの場だと思いますが、理事会には私は参加しておりません。私と同室の参事官がですね、参上しまして、色々と遣り取りをさせて頂いているものと思いますけども、私ではございません」

 小西洋之「私が蓮舫理事から伺った話とは違うので、このことについては予算委員会や理事会などで引き続き追及されるんだというふうに思いますが、今、とにかくしませんでしたけど(大西証史が「推薦名簿をそのまま招待者名簿に変えて招待状を出すシステムになっていたという証言はしなかった」との意か)、私担当者に聞きました。内閣官房の参事官補佐。で、仰っていました。『私一人しか、安倍事務所から推薦名簿を頂いて、私一人しか(私一人だからという意か)、安倍事務所の紹介者、人数についての取り纏めはやっておりません』と。こういうふうに『私一人だけです』と。

 で、その方が友人(小西洋之と一緒に理事会に出席していた友人ということか?)に示されておりました。『誰かを弾いたり、そんなことはしていない』と言うことで、はっきりと答弁されたらいいと思うんですけど、取り纏めについてですね、政府の名簿を作成するだけ、取り纏めをすると言っても、名簿を作成するだけだとかいうような答弁をしているわけですよね。まあ、そこの事実確認はさせて頂きます」

 小西洋之は最後に「まあ、そこの事実確認はさせて頂きます」と言ってから、安倍晋三の11月15日のぶら下がり記者会見の安倍晋三自身の発言を根拠に「桜を見る会」で高価な飲食を提供するのは公選法221条の買収罪に当たるのではと追及を変えてしまう。

 「2019年11月15日・安倍晋三ぶら下がり」(産経ニュース/2019.11.15 19:17)

 記者「実際に参加された地元の方々には、自分は安倍首相の選挙を支えてきているから、その経験で選ばれたのだと思っている方がいるが」

 安倍晋三「確かにそう思われている方もおられると思います。そういう観点から。やはり推薦するうえにおいてですね、知っている範囲で推薦することになるんだろうと思います。私たちではなくてですね。党もそうでしょうし、他のえー、あのー、私や副総理や官房長官や副長官もそうなんですが、そういう観点から基準を見直そうということでございます。

 で、もうひとつ付け加えればですね、やっぱりたくさんそれぞれ地域において頑張っておられる方がいるんですね。市井の皆さん、そういう方々と接する機会でもあったのは事実なんだろうと。いわゆる、その、それぞれ、えー、功を成し遂げた方々もたくさんいらっしゃいますが、皆さんの会社の幹部のようにですね。でもそういう方だけではなくて、さまざまな方が、まあ、このご招待をした方がいいんだろうという。まあ、そういう積み重ねだったんだろうと思いますが、まあその中でご指摘のような点もあったことにかんがみ、反省しなければいけないということなんだろうと思います」

 「桜を見る会」に「自分は安倍首相の選挙を支えてきているから、その経験で選ばれたのだと思っている」と主張する安倍晋三後援会員が何人いようと、「思っている」と言うだけで、安倍晋三がそれに応えて招待したという事実を掴まなければ、例えば安倍晋三が「私の方は地域において頑張っておられる方と見て推薦しただけで、招待を決めたのは内閣官房と内閣府だ」と言われれば、公選法221条の買収罪との疑いがあるどころの話ではなくなる。事実、菅義偉から「そういうのには当たりません」といとも簡単に一言で片付けられている。

 小西洋之は安倍晋三後援会員の「桜を見る会」への招待を買収罪相応とするためにも、内閣官房の職員からヒアリングで得た、「安倍事務所から名簿を頂いた方と取り纏めた方と実は同一人物」という証言を、あるいは「誰かを弾いたりするものではなくて、その推薦名簿をそのまま招待者名簿に名義上替えている」という証言を内閣官房審議官の大西証史の口から直接言わせなければならなかった。言わせることができなくても、言わせるよう、最後まで努力しなければならなかった。

 大西証史がノーチェック・フリーパスの仕組みの存在そのものを否定するなら、「そのような事実はありません」と一刀両断に否定すべきだが、ヒアリングを受けたのが自分ではないことを以って否定できる根拠と、同室の参事官の証言との食い違いの理由を問い質すべきだった。

 推薦者名簿がそのまま招待者名簿にすり替わるノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていることは様々な状況証拠から突きつけることができる。その状況証拠として、自民と事務局総務部が平成31年の参議院改選議員に宛てた「桜を見る会」の案内状とあべ事務所が後援会員にだろう、送付した「桜を見る会」の参加申込書の画像を載せておく。

 最初の案内状は「平成31年1月31日」の発信日付となっていて、2019年の「桜を見る会」4月13日にまで約2ヶ月近くも間がある。「平成31年改選議員」〈2019年7月21日執行参議院議員選挙〉に対して「一般の方(友人、知人、後援会等)を4組までご招待いただけます」と記載。この「ご招待」に関して何の断りも条件も付されているわけではないから、この「4組」は後で訂正が効かない、「桜を見る会」への参加が保証付きの「4組」ということになる。

 もしノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていなかったなら、「割当人数は何名様までとなっています」とか、「内閣官房・内閣府の最終的な取りまとめ段階で招待が見送られる場合があります。その点をご承知おきください」ぐらいの断りを入れておかなければならない。

 だが、そうった断りも条件も何も付されていない以上、参加を申し込んだ者=招待者を前提としていなければ、この手の案内状は送ることができない。つまり改選参議院議員1名につき4名までをフリーパス・フリーチェックで招待できることを謳っていることになる。「功労・功績」の程度を内閣官房・内閣府はチェックせず、自民党側の推薦のままにフリーパスで招待客として推薦される仕組みとなっていることを図らずも露呈している。

 「あべ事務所」による「『桜を見る会』参加申込」書の発信日時は記載されていないが、〈※参加される方が、ご家族(同居を含む)、知人、友人の場合は、別途用紙でお申し込み下さい。(コピーして利用して下さい)〉との断りのみで、参加申込書を何枚もコピーできて、後援会員だけではなく、何の制限もかけないままに「ご家族(同居を含む)、知人、友人」まで範囲を広げていることから、何人でも申し込みができる仕様となっている。

 つまり、内閣官房・内閣府が推薦者の中から招待者を最終的に取りまとめる段階を想定していない参加申込書以外の何ものでもない。どこからどう見ても最初の案内状と同様にこの参加申込書も、参加を申し込んだ者=招待者を意味させていて、ノーチェック・フリーパスの仕組みそのものとなっていることを示唆していることになる。

 このことは官房長官菅義偉の記者会見からも見て取ることができる。

 官房長官菅義偉2019年11月21日午前記者会見(動画から)
 
 記者「『桜を見る会』の紹介者名簿の廃棄について伺います。昨日の衆議院内閣委員会の内閣府の答弁では5月の大型連休前に廃棄の準備をしていたが、大型シュレッダーの空きがなくて連休後明け後の5月9日になったと説明していました。一方、その日は野党議員が資料請求をした日です。内閣府は廃棄した当日、議員側から資料請求があったことを知っていたんでしょうか。それとも廃棄の方が先だったんでしょうか」

 菅義偉「それは聞かなかったと聞いている」

 記者「大型シュレッダーが空いていなかったということですけど、この大型シュレッダーは各部署の使用が重なると、使用が何日も先になるものなのでしょうか。また常に混んでいるものなのでしょうか」

 菅義偉「シュレッダーの状況等から、そこの勤務時間等から調整を行って、9日になった。そういうことです」

  ・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・

 記者「16年の『桜を見る会』に於いて政府が検討していた招待客の削減案の実施を見送っていたとの報道がありますけれども、この事実確認をお尋ねします」   

 菅義偉「私は責任者ですけど、承知しておりません」

 記者「昨日の記者会見で菅さんご自身の、あるいは事務所側からの推薦について去年来られた方について『また来たいから』という形で事務方に回していたと仰いました。一方国会ではですね、内閣官房の方が『毎年同じ方が呼ばれるようなことは避けて頂きたい』と要望していたということを仰っていました。

 こうした要望に反する形で菅さん側から推薦が行われた形だと思うんですけど、その点については如何がお考えですか」

 (※2919年11月20日衆院内閣委員会で大西証史内閣審議官が招待者の推薦を巡って、「連続して毎年同じ方が呼ばれることは避けていただきたいとお願いしている」と答弁している。)

 菅義偉「先ずは内閣官房・内閣府から各省庁等に対して推薦を求める際に幅広く色んな方を招待するための前提として同じ人が推薦をされないことも配慮事項の一つであるというお願いを致しております。

 実際に前年の招待者の再度推薦をされることもあるかと思いますけども、まあ、頂いた推薦を基に内閣官房・内閣府が最終的に取り纏めを行っている。いずれにせよ、配慮事項はそういうことになっております」

 記者「その推薦依頼をされた長官側が結果として前年招待された方も含めて推薦していたと。この点については不適切だったとお考えですか」

 菅義偉「前の年か、前の前の年か、よく分からないけど、来た方でまた来たいという方がいたことは事実であります」

 記者「事実関係は分かるんですけど、それが果たして内閣官房が決めている、ある種のルールーのようなものに反していたということについては不適切だったというふうにお考えですか」

 菅義偉「前年呼ばれた方がまた、そういうことは適切なことじゃなかったと思います」

 記者「この点ですね、推薦依頼を受けた側が推薦をする際に、まあ、なかなか基準が曖昧だということもあるだろうけど、内閣官房から一定のルール、そういった同じ人を呼ばないようにであるとか、そういったことは言われている訳で、その点推薦がですね、曖昧な形で行われていたということは認識していましたか」

 菅義偉「一定のルールというのはあくまで配慮事項の一つとしてお願いしているということで、ダメだということではない」

 菅義偉は前日2919年11月20日の記者会見で、「去年来られた方で『また来たい』とか、業界団体の中で『ぜひ何人かで行きたい』とか、要請を受けたら事務方に(推薦依頼を)回していた」と答弁しているとマスコミが伝えていた。

 菅義偉は、いわば「同一人物回避」のルールは適切ではないが、「あくまで配慮事項の一つであって、ダメだということではない」と容認している。自己正当化のために強引にこじつけている。だが、どうこじつけようと、「同一人物回避」のルールの有名無実化は同時に参加を申し込んだ者=招待者となっているノーチェック・フリーパスの仕組みとなっていることの証明、言い換えると、「内閣官房・内閣府が招待者を最終的に取りまとめる」と言っていることの有名無実化の証明としかならない。
  
 内閣官房・内閣府が招待者を適切に取りまとめていたなら、「同一人物回避」のルールは麻痺することなく十分に機能して、次の年の「桜を見る会」に前の年と同じ人間が招待されるということもなくなる。

 だが、現実には参加を申し込んだ者=招待者のノーチェック・フリーパスの仕組みとなっているから、言い換えると、内閣官房・内閣府が「同一人物回避」のルールに則って招待者を適切に取りまとめいるわけではないから、続けて招待される人間が出てくる。

 果たして内閣官房・内閣府自らが適切な取りまとめの仕組みをなし崩しに形骸化させていって、ノーチェック・フリーパスの仕組みに変質させてしまったのだろうか。

 第2次安倍政権になるまで「桜を見る会」の招待客は毎年、ほぼ1万人が守られていたと言う。なってから、1万人を超えて、年々増えていると言う。そして安倍政権絡み、あるいは安倍晋三絡みの「桜を見る会」の案内状や「桜を見る会」の参加申込書を見る限り、参加を申し込んだ者=招待者となっているノーチェック・フリーパスの仕組みを前提とした文面となっていることを考えに入れると、内閣官房・内閣府の招待者ノーチェック・フリーパスは「総理のご意向」を忖度した行政私物化・予算の私物化に見えてくる。

 このことは否定できない。否定できる唯一の要件は首相官邸、自民党本部、あるいは安倍後援会、その他の閣僚の後援会等々が「桜を見る会」の案内状や「桜を見る会」の参加申込書の類いを送付して、自分たちで勝手に参加を申し込んだ者=招待者と決め込むのではなく、案内状や参加申込書を一切送付せずに、各自が招待にふさわしいと思われる人物を内々で選び出して、推薦者名簿として纏めて内閣官房・内閣府に送付、内閣官房・内閣府はその中から自らの基準で招待者を取り纏めて、招待者各自に招待状を送付するシステムとなっていることである。

 最初の段階が内々の作業だから、撥ねられた、撥ねられなかったといった事態が生じることもなく、人数も膨れ上がることもない。

 安倍晋三は2019年11月20日の参院本会議で立憲民主党の那谷屋正義(なたにや・まさよし)の質問に答えて、「同会(『桜を見る会』)ついては内閣官房及び内閣府が招待客の最終的な取り纏めを行っているところ、長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実態があると認識しています」と答弁しているが、「招待者の数が膨れ上がってしまった実態」は参加を申し込んだ者=招待者となっている文面の案内状や参加申込書を支持者等に送付した結果であって、内閣官房・内閣府だけの関与でのみ招待者が決められていながら、招待基準が曖昧になったなら、政治側から責められることになるから、役所側からの招待基準の曖昧化は考えられない。あくまでも安倍晋三の「ご意向」がなし崩し的に招待者を増やし、その「ご意向」に内閣官房・内閣府が忖度した結果の自らのチェック機能の麻痺と見ないわけにはいかない。

 最後に内閣官房・内閣府は推薦者名簿も招待者名簿も毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えることから廃棄することにしていて、今年の名簿は5月9日に廃棄したとしているが、廃棄してしまったなら、次の年の「桜を見る会」の招待者選定作業の際の自らがルールとしている「同一人物回避」を頼る手がかりまでも失う矛盾が生じることになり、廃棄は「同一人物回避」を済ませた次の年の「桜を見る会」終了後でなければならないはずだ。

 だが、次の年を待たずに廃棄した。ノーチェック・フリーパスの仕組みになっているなら、どのような矛盾も生じない。「同一人物回避」の手間も生じない。

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