PCR検査陰性を条件に飲食店・カラオケ店でのマスク無し、時短無しで感染を防ぐ

2021-04-05 10:11:07 | 政治
 コロナ感染が止まらない。緊急事態宣言発令期間のみは感染が縮小するが、宣言終了後暫くして徐々に増え始めて、再び緊急事態宣言を発令せざるを得なくなる増減サイクルを繰り返している。

 最近のこの繰り返しを振り返ってみる。2020年7始めから8月中旬までの第2波の感染者数を遥かに上回る2020年11月初旬以降のコロナ感染第3波を受けて、政府は2021年1月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏4都県を対象として期間は1月8日から2月7日までの1カ月間とした緊急事態宣言の再発令。さらに1月13日に栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県を再発令の区域に加えることになった。主な柱は飲食店に対する営業時間午後8時まで、酒類提供は午前11時から午後7時まで。午後8時以降の不要不急の外出自粛等となっている。

 この緊急事態宣言は首都圏を除く大阪、兵庫、京都の関西3府県と愛知県、岐阜県、福岡県の合わせて6府県に対して2021年2月28日に解除決定。大阪、兵庫、京都の関西3府県は3月1日から飲食店などへの時短営業要請を緩和することを決め、大阪府は対象エリアを府内全域から大阪市内に縮小、午後8時までの営業時間を午後9時まで1時間延長することにして、なおかつ無症状の人へのPCR検査を繁華街などで行い、再拡大の予兆がないか継続的に監視することにした。

 一方、特に感染者が多かった首都圏東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県1都3県の2月7日期限とした緊急事態宣言はさらに2月8日から3月7日までの1カ月の延長を決定。ところが期限とした3月7日を迎える2日前の2021年3月5日、1都3県の緊急事態宣言を2週間延長し、3月21日までにすることを決定。そして決定どおりに3月21日に解除の運びとなった。

 但し2021年2月28日に解除決定した大阪府の感染者が3月中旬頃から徐々に増加。増加を受けて大阪府の吉村知事は解除約1カ月後の2021年3月29日に緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にする「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請する方針を示した。この際、適用された場合はマスク会食の義務化を実施したい考えを示した。

 そして2日後の3月31日に適用を要請した。この日の大阪府内の感染者数は報道によると、1日としては過去5番目に多い599人にのぼっている。

 こういった感染経緯は緊急事態宣言の発令以外に感染拡大阻止の手立てはないことを証明している。だから、緊急事態宣言の発令と解除の繰り返しに応じて感染者数の増減サイクルも繰り返すことになる。

 マスク会食の義務化は飲食店や飲食を伴うカラオケボックス等を対象としていることになる。つまり食べ物と飲み物を口に運ぶときだけに限ってマスクを外すことができる義務化でもある。食べたり飲んだりには会話が付き物で、そのどれもが愉快な気分を誘い、高める源泉となる。そしてそのような愉快な気分はときには興奮状態にまで達することがある。どれ程の人間が食べ物と飲み物を口に運ぶときだけマスクを外し、口に入れ終わると直ちにきちんとマスクをし、それから会話に打ち興じるといった繰返しのルールをきちんきちんと厳守することができるのだろうか。

 求めるとおりの厳守に不安を感じたのか、翌4月2日になって大阪市の松井市長は大阪府と合同で「見回り隊」を作り、市内の飲食店などへの巡回を始める方針を示した。約5万軒ある大阪市内の飲食店を4、50人の職員で個別に巡回、監視する方針だと言う。

 この「見回り隊」については2021年3月28 日付け、4月1日変更の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(新型コロナウイルス感染症対策本部決定)の、〈三 新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項 (3)まん延防止 8)緊急事態措置区域及び重点措置区域以外の都道府県における取組等〉の⑤に、〈政府は、関係団体や地方公共団体に対して、飲食店に係る業種別ガイドラインの遵守徹底のための見回り調査、遵守状況に関する情報の表示や認定制度の普及を促すとともに、関係団体等と連携しつつ、クラスターが発生している分野等(飲食・職場など)を対象とした業種別ガイドラインについて、見直し・強化を図り、徹底する。〉と記されている。(文飾当方)

 要するに飲食店や飲食店利用者の自主性に任せていたのでは感染防止はできない、感染防止に関わるガイドラインの遵守徹底を図るためには関係団体や地方公共団体のより強力な関与が必要だというわけなのだろう。

 なぜかくも飲食を伴う場での感染に神経を使っているのかと言うと、ここ数日は東京都よりも大阪府の1日の感染者数が上回っているが、これまで最も多かった東京都の感染者の半数前後が感染経路不明ではあるが、感染経路判明の濃厚接触者の内訳はクラスターの発生場所と発生状況に応じて順位が入れ替わることがあるが、大体に於いて「家庭内」が最も多く、次いで「施設内」か「職場内」、最後が「会食」となっているものの、新型コロナウイルス感染症対策分科会会長尾身茂が、〈歓楽街や飲食を介しての感染が感染拡大の原因 家族内感染や院内感染は感染拡大の結果である〉と見ているからである。少々大袈裟な言い方をすると、感染拡大の目の敵にすべきは飲食の場であるというわけである。

 この言葉は「新型コロナウイルス感染症対策分科会(第19回)」(2020年12月23日)の中で新型コロナウイルス感染症対策分科会会長尾身茂が「現在直面する3つの課題」と題してグラフ入りで分析し、警告を発している見方である。

 その他にも次のように分析し、警告を発している。

 〈見えているクラスターだけを見ても飲食店でのクラスターが多い〉、〈クラスターの発生は飲食店で先行した後に医療・福祉施設で発生する〉、〈レストランの再開が感染を最も増加させる〉等、いわば飲食店元凶説を掲げている。

 さらに感染経路不明者の感染についても飲食店元凶説に立っている。

 〈例えば東京都では”見えている感染”だけを見ると家族内感染が最も多いが、“見えない感染”を”見る”と・・・

1. 東京などの都市部では、感染者数が多いことに加え、人々の匿名性が地方に比べ高いことから、感染経路不明(”見えない感染”)の割合が多い(東京都では約6割)。
2. しかし、この感染経路が分からない感染の多くは、飲食店における感染によるものと考えられる。その理由は以下a b cである。

 a. これまでのクラスター分析の結果、日常生活の中では、飲酒を伴う会食による感染リスクが極めて高く、クラスター発生の主要な原因の一つであることが分かっている。
 b. 感染経路が判明している割合の高い地方でも、飲酒を伴うクラスター感染が最近になっても多く報告されている。
 c.欧州でもレストランを再開すると感染拡大に繋がることが示されてる。〉

 勢い飲酒を伴う会食の場への「見回り隊」という発想が出てくるのも無理はないということになる。元凶を抑えることができなければ、緊急事態宣言の発令と解除の繰り返しか、まん延防止等重点措置に頼ることになるということなのだろう。

 最初に挙げた「見回り隊」についての記載がある「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に次のような記載がある。

 〈新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させる可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7日から10日間程度とされている。また、この期間のうち、発症の直前・直後で特にウイルス排出量が高くなると考えられている。

 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられている。〉

 後段の「他の人に感染させているのは2割以下」であっても、飲食店が感染拡大の元凶説としている以上、、飲食店での感染の危険性を抑えなければならない。

 新型コロナウイルスの潜伏期間(病原体に感染してから、体に症状が出るまでの期間)は1〜14日程度で、平均の発症期間は5~6日程とWHOは報告している。つまり感染したその日に発症する場合もあれば、2週間後に発症するというケースもあるが、平均すると、感染してから5~6日後程度の発症ということになる。

 この平均値を取るとして、先の〈新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させる可能性がある期間は発症の2日前から発症後7日から10日間程度とされている。〉としている予測を当てはめると、感染後の平均的な発症期間5~6日から他人に感染させる可能性期間である発症2日前を差し引くことによって感染から3~4日後程度で他人に感染させる2次感染源になり得るという計算が成り立つ。あるいは平均での遅いケースでは発症後5日から8日程度は2次感染源となり得る可能性は消えないということになる。

 この早いケースの場合のみを逆の方向から言うと、感染から1~2日後程度は2次感染源になり得ない、他人に感染させる可能性は少ないということになる。と言うことは、PCR検査をして翌日に陰性と判定されれば、検査当日の検査後にか、検査翌日に感染したとしても、その間は他人に感染させる可能性は低いことになる。あくまでも「低い」であって、絶対ではないが、可能性としては成り立つ。

 そしてこのことは感染していてもウイルス量が少ないために陰性と判定された場合でも、ウイルス量が増えて人に感染させるまでに1~2日程度は余裕を見ることができるから、当てはめ可能となる。

 PCR検査の結果について翌日に判定することは決して不可能ではないはずだ。「NHK NEWS WEB」記事がプロ野球の巨人軍は2021年4月3日に監督やコーチ、選手、スタッフの合わせて101人にPCR検査を行った結果、二人の選手が陽性判定、一人が再検査となったと報じていた。2021年4月4日 13時23分の報道だから、検査翌日に結果を伝えられていたことになる。PCR検査を行っている民間病院の中には翌日結果判明を謳っているサイトを見受けることができる。

 PCR検査の翌日結果判定の体制を整えさえすれば、陰性判定された対象者はその翌日に飲食店、その他で飲酒を伴う会食をしたとしても、他人に感染させる可能性はかなり低く見積もることができる。勿論、PCR検査日と結果判定日を入れた陰性証明書の発行が必要で、その提示者のみの入店を認めれば、マスク装着をさ程厳しくしなくても、あるいは見回り隊などと物々しい体制を敷かずとも、現況以下に感染を抑えることができることは否定できないし、飲食店元凶説も、遠い話とすることができる。

 こういった状況を招くことができれば、時短も必要なくなる。飲みたくなったら、その都度PCR検査を受け、陰性証明書を持ってた客のみの入店を許可すればいい。時短が必要なくなれば、経済もそれなりに回すことができる。

 但し全てのPCR検査を無料の行政検査としなければならない。現在、感染再拡大を防ぐために不特定の市民に対してPCR検査を通した街頭モニタリング検査を各地で行っているが、方法は希望する無症状者に唾液を使ったPCR検査キットを無料で配布、持ち帰って唾液を専用容器に入れ、指定場所に送ると、検査結果が返ってくる仕組みだということだが、それをその場で専用容器に唾液を採取(唾液はペッと吐くのではなく口の中に溜めて容器に垂らす方法を厳守させれば採れば、飛沫は飛ばない)、検査側が回収してその日のうちに検査機関に持ち込めば、翌日の判定は可能とすることができる最善の方法になると思うが、このようなPCR検査と併行して飲食店に行く予定者を特定的に行政検査の対象とする体制に持っていく。

 これまで飲食店等に対する時短要請で受ける飲食店側等の損失に対してその補償を行ってきたが、時短が必要でなくなれば、その補償金が浮いて、無料の行政検査費用にまわすことができる。

 この方法は不可能だろうか。
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