安倍派幹部は死人に口なしの安倍晋三を利用、4・8月の会合をデッチ上げ、不記載の事実を知らぬこととした

2025-03-13 07:13:16 | 政治


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 今までの記事では安倍晋三が現金還付を中止したという事実を打つ立てることで、いわば、それを一つの功績として、安倍晋三自身の裏ガネ関与の罪薄めを図るために4月・8月の会合をデッチ上げたと見る内容で書いてきたが、安倍派幹部4人の政倫審証言を読み直して、異なる視点を取り入れ、改めて一つの記事に纏めてみた。

 4月・8月の会合が実際には存在しなかった会合、デッチ上げと見る点は変わりはない。

 4月の会合の出席者は派閥会長の安倍晋三、派閥幹部の衆議院議員西村康稔、同塩谷立、同下村博文、そして参議院議員の世耕弘成、派閥事務局長兼会計責任者の松本淳一郎で、8月の会合の出席者は7月に銃撃死した安倍晋三を除いたそれ以下の同じ5名ということになっている。

 この両会合に出席していた西村康稔は2024年3月1日政倫審で安倍晋三の4月の会合での現金還付中止について自民党の武藤容治に対して次のように答弁している。

 西村康稔「ただ、今思えばですね、事務総長として特に安倍会長がですね、令和4年、22年の4月に現金での還付を行ってる。これをやめるということを言われまして、私もこれはやめようということで、幹部でその方針を決めまして、そして若手議員何人かをリストアップして、電話も致しました。私自身も若手議員にかけ、電話もしてやめるという方針を伝えたところ、伝えたわけであります。

 従って、会長はその時点で何らかのことを知っておられたんだろうというふうに思います。全体のこと、どこまでご理解、把握しておられたのか分かりません。けれども、兎に角、現金は不透明で疑念を生じかねないから、こうして現金の還付はやめると、まあ、還付そのものをやめるということで、我々方針を決めて対応したわけであります」――

 立憲民主党の枝野幸男には次のように答弁している。

 西村康稔「えーと、私の理解、私の認識はですね、安倍元会長は現金で戻す。これは疑義を生じかねない、不透明だと、還付そのものをやめるというふうに意向を示されて、そして先程申し上げたように4月の段階では幹部が手分けをして、所属議員に連絡をいたしました」――

 公明党の輿水恵一には次の答弁。

 西村康稔「安倍総理が、元総理会長がですね、還付を行わないという方針が示されましたので、これを少なくとも令和4年は徹底すればよかった。こうしたことは今となってもう反省することばかりでありますけれども、二度とこうした事態を招かないようにですね、これまで以上に厳格に政治資金の管理、自分自身も行ってまいりたいと思いますし、より透明でクリーンな政治に向けてですね、今回のことを教訓として、是非これまで以上にして参りたいというふうに考えております」

 共産党の塩川鉄也に対して。

 西村康稔「まさに現金での還付は不透明、そして様々な疑念を生じかねないということで、還付そのものをやめるということが安倍会長の意向として示されたわけであります。そのときに何か収支収告書の話をしたわけでもありません。還付そのものが適法なのか違法なのか、そういった議論もしたことはありません」

 西村康稔の4月の会合での安倍晋三の現金還付中止の説明描写は主としてこの程度である。次に4月の会合に出席していた塩谷立の安倍晋三の現金還付中止についての描写を同じ2024年3月1日の日本維新の会の岩谷良平に対する政倫審答弁から見てみる。

 塩谷立「先程も申し上げましたが、あのいわゆる資金の流れというか、透明性をということで、現金はやめようというようなことだったと思います。正確にちょっと私記憶してませんが、そういったことで兎に角還付はやめようということだと思います」

 同じく岩谷良平へのほぼ同じ繰り返しの答弁。

 塩谷立「確かに今申し上げましたように現金あるいは不透明な点だからやめようということで、それ以上の具体的な話は我々した記憶がございません。そういうことで、一応安倍さんの判断で、あの、還付をやめたということでございます」

 塩谷立と共産党の塩川哲也との4月の会合に関する遣り取り。

 塩川哲也「そこで令和4年の会長が出席をしたあの会合についてお尋ねをいたします。4月の会議、8月の会議、それぞれ主な議員の出席をされておられたということで、この4月において会長から還付をやめるという話があったと。

 で、現金の取り引きをやめた方がいい、透明性を高めるために現金をやめた方がいいという話だったということですけれども、一方でお話されておりましたが、若手の資金集めを派閥パーティーで支援をするということは重要だったと。そうであれば、その現金支給をやめても、他の方法で還付する方法を取るっていうことは検討されたのか。例えば口座取引きにするとか、そういうことにはならなかったんですか」

 塩谷立「安倍総理の考え方はやはり還付はやめた方がいいというのが一番のテーマだと思いますんで、あの先ずは他の方法でということはその点では考えませんでした」

 塩川哲也「そうしますと、そもそもその若手に対しての支援というシステムを行われてたとおっしゃっておられるので、そういう意味ではまるっきり還付するものをやめるっていうのは矛盾する話になります。そのものをやめるっていう判断っていうのが安倍会長の元でどういう理由だったのか、 改めてお聞きしたいと思いますか」

 塩谷立「あの、何回も申し上げますが。透明性、あるいは現金でということが問題ではないかということで、還付はやめようということになったわけでございます」

 次は世耕弘成の2024年3月14日午前中に行われた参議院政倫審だが、4月の会合での安倍晋三の現金還付中止の指示に関わる自民党佐藤正久への答弁。

 世耕弘成「安倍会長からは5月に、2022年の5月のパーティーでしたけども、4月上旬に幹部が集められて、ノルマどおりの販売にしたいってことは即ち還付金はやめるというご指示が出ました」

 では最後に下村博文の2024年3月18日に行われた政倫審での4月の会合での安倍晋三の現金還付中止についての日本維新の会岩谷良平に対する答弁。

 下村博文「2022年の4月に安倍会長の国会の事務所に私と塩谷さんとそれから当時西村事務総長、それから世耕参議院幹事長が呼ばれました。そのときに安倍会長の方から還付について現金の還付は不透明だからやめようということと、そのものをやめようという話がありましたが、還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」

 以上で4月の会合での安倍晋三の現金還付中止の指示に関する安部派幹部の言及は大体、この程度である。

 西村等ほかの幹部が「現金還付中止」とのみ説明していることに対して世耕弘成だけが安倍会長からの指示の形として、「ノルマどおりの販売」だと説明している。要するに今後も従来通りにノルマをつけた売り上げを指示した。

 但し現金還付中止・ノルマどおりの販売は安倍派清和政策研究会という政治団体側の「今後どうするか」の対応であって、所属議員に対する「今後どうするか」の対応に関しては安倍晋三は派閥会長でありながら、何ら触れていないことになるし、会合そのものから抜け落ちていることになる。

 既に上で取り上げているが、共産党の塩川哲也が塩谷立に対して現金還付中止は若手の資金集めを支援するという派閥パーティーの趣旨に、いわば添わないことになるが、口座取引き等の他の方法で還付する方法は検討されたのかと質問したことに対して塩谷立は「安倍総理の考え方は現金還付中止が一番のテーマで、他の方法は考えませんでした」と答弁する形で所属議員に対する「今後どうするか」の対応はなかったと証言していることになる。

 そんな会合が果たして存在するだろうか。自分達の都合だけを伝えて、相手の都合は考えない。トランプならやりかねないが、一般的には想定不能で、4月の会合の存在自体を怪しくさせる。

 西村康稔も弁明で、「(現金還付は)自前で政治資金を調達することが困難な若手議員や中堅議員の政治活動を支援する趣旨から始まったのではないかとされていますが、いつから行われたのかについては承知をしておりません」と述べているし、塩谷立も弁明で、「還付が行われたのは個人でのパーティー開催など、政治資金を自前で調達することが大変な若手や中堅の政治活動を派閥のパーティーを通じて支援するとの趣旨であったように理解しております」と同じことを述べている。

 4月の会合が現金還付の本来の趣旨であるところの若手議員や中堅議員の政治活動支援を置き去りにした安倍晋三の現金還付中止指示と安部派幹部の中止指示の受諾となっていて、派閥会長と派閥幹部がわざわざ顔を揃えて現金還付について話し合う会合にしては常識では考えられない片手落ちのものとなっている。

 安倍晋三の中止理由、"現金還付は不透明で疑義を生じかねない"をクリアして、なおかつ若手議員や中堅議員の政治活動を今後共に派閥の政治資金パーティーを通した支援を継続するとしたら、ノルマ超えの売り上げを例え現金で還付したとしても、寄付や政治活動費名目で収支報告書への記載を指示すれば、それだけでこちらもクリアできるはずだが、そのような手も打たず、現金還付は一旦中止したが、誰の指示か不明で再開されることになったという、4月の会合が事実存在するものなら、その会合を無意味とする無責任な事態を引き起こしたことになるが、幹部としての責任を一切無にしていることになり、このあり得なさから言っても、4月の会合が存在したとすることはできない。

 このことのタネ明かしは現金還付して、還付した現金を収支報告書に何らかの費目を用いて記入するというごくごく常識的な手を打つことになったという筋書きとした場合、安倍晋三の現金還付中止以後、安部派幹部の関与外で現金還付・不記載がいつの間にか再開されていたという、4月と8月の会合を使ったストーリーは成り立たなくなるだけではなく、このストーリーの不成立は現実には現金還付と不記載が延々と続けられていて、途中一旦停止も、一旦停止に伴う再開というプロセスも存在しなかったこと、当然、4月と8月の会合も存在しなかったことを逆に証明することになるからとしか、答は出てこない。

 当然、安倍派幹部たちの政倫審証言のみで成り立たせている、4月の会合を利用した「不記載の話はなかった」としている自分たちの不記載無関与説にしても成り立たなくなり、結局は安倍晋三の死人に口なしを利用したことが露見することになる。

 そもそもからして自前での政治資金調達困難な若手議員や中堅議員が安倍派清和会政治資金パーティーの売り上げに自らの政治資金調達を頼る理由は清和政策研究会の名前は、特に安倍派清和政策研究会の名前は日本では一大ブランドとなっているからだろう。若手議員や中堅議員にとっては議員個人の政治資金集めパーティーでは売り上げに苦労しても、派閥の政治資金パーティーではそのブランド力ゆえに購入する企業が多くて、結果、ノルマ超えの売り上げが比較的容易で、その分、自らの政治資金にプラスされることになる。

 当然、現金還付の中止に伴って、若手議員や中堅議員の政治資金集め支援を今後どうするかの議論は是非とも欠かすことができない4月の会合となるが、現金還付と不記載がいつの間にか再開されたというストーリー仕立てを優先させる必要上、今後どうするかのルールを厳格に決めたというストーリーにすることはできなかった。

 つまり4月の会合も8月の会合も拵え事に過ぎないことを露見することになる

 次の点、8月の会合で「ノルマを超えて売り上げた若手議員等から返して欲しいという声が挙がった」理由を4月の会合の現金還付中止指示の前に、いわば還付中止指示を知らずに売り出していたからだと、幹部の全員がほぼ同じことを答弁しているが、ここからも矛盾を見い出すことができる。

 先ず最も理解できる答弁として立憲蓮舫に対する世耕弘成と塩谷立の日本維新の会岩谷良平に対する二例を挙げてみる。

 世耕弘成「5月のパーティーを、ま、4月にノルマ通りという指示が出ていますから、売ってしまった人もいるので、そういう人はやっぱり政治活動の資金として当てにしている面もあるんで、何らかの形で返すべきではないかという意見も出ました」

 塩谷立「パーティーは1月から2月頃から売り始めていますので、多くの人がもう売ってしまったという状況の中で、8月に売った分を是非お願いしたいという声が出てきたというふうに私は理解をしております」

 ここで問題となるのは売りに出した時期ではなく、派閥事務局への入金時期であろう。4月と8月の会合に共に出席していなかった同じ安部派幹部の高木毅は2024年3月1日の衆院政倫審の弁明の中で、「私の事務所では、清和研のパーティー券代金専用の銀行口座を開設し、基本的に購入者の方にはその口座に振り込み入金して頂くという形で売上金を管理しており、パーティーが終わった段階で口座から引き出した現金を清和研事務局に持参して全額を収めるという運用をしていました」と述べていて、派閥への入金はパーティー終了後となっているが、手違いとか、失念していたとかの理由でパーティー前日、あるいはパーティー当日ギリギリに入金される例もあるだろうし、あるいは売り手側の人情としては開催日寸前になっても売れることを期待して、その日まで待つこともあるはずで、派閥への入金はパーティー終了後が一般的であることは予想がつく。

 だが、幹部の誰もが返して欲しいと申し出た議員は4月の現金還付中止の指示前にパーティ券を売りに出して、ノルマ以上に売ってしまった結果のこととしているが、派閥事務局への入金時期には誰一人触れていない。

 入金時期が現金還付中止の指示を出した4月の会合以前ということはあり得ないことで、5月のパーティー開催日前後と考えると、4月の現金還付中止の指示が出たが事実と仮定したとしても、4月の会合後となるはずで、それでもノルマを超えた分の売り上げを返して欲しいという声が挙がるのは従来のままノルマ付けの販売を求め、ノルマを超えたとしても、これまでは行なってきた超過分の現金還付方式はやめ、いわば安倍晋三の指示通りに現金還付を中止し、ノルマ超えだろうと何だろうと全額入金を求める、いわば、"やらずボッタクリ"式の"ノルマどおり"だったことになる。

 それを受け入れるかどうかは議員の立場に応じて違いが出るはずである。人事や待遇で見返りを求めているなら、そのための投資と考えて、"やらずボッタクリ"に仕方なく応じるだろうし、派閥議員としての役目として義務的に行なっているだけのことだったなら、中抜きするなりして、自ら"やらずボッタクリ"を免れる手を打つ議員も存在するはずである。

 ところが、ノルマを超えた売った若手や中堅の全てが返して欲しいと声を挙げたかのような印象操作を行なっている。8月の会合を事実あったこととするためのストーリー作りでなければ、このような印象操作はできない

 この事実を裏返しすると、8月の会合など、存在しなかったということである。

 根拠はほかにもある。安倍晋三は4月の会合で、"現金還付は不透明で疑義を生じかねない"を中止の理由としていた。だが、幹部の誰一人、この言葉から、現金還付の違法性も合法性も一切嗅ぎ取ることをしていない。人間としての当たり前の感覚を麻痺状態にして出席していたと見るほかない。

 西村康稔の立憲枝野幸男に対する答弁。文飾は当方。
 
 西村康稔「(現金還付中止の)方針をずっと継続をして、5月のパーティーを開くわけですが、7月で安倍さんが撃たれて亡くなられた後、返して欲しいという声が出始めて、8月の上旬に集まったと。その段階で、繰り返しなる部分もありますが、還付は行わないと。

 しかし返してほしいという声にどう対応するかということで、色んな意見がなされたわけであります。で、その時点でこの還付が適法であるとか、違法であるとか、この法的な性格について何か議論したことはありませんし、収支報告書についても話はしておりません

 西村康稔の共産党塩川鉄也に対する答弁。

 西村康稔「まさに現金での還付は不透明、そして様々な疑念を生じかねないということで、還付そのものをやめるということが安倍会長の意向として示されたわけであります。そのときに何か収支収告書の話をしたわけでもありません。還付そのものが適法なのか違法なのか、そういった議論もしたことはありません

 塩谷立の立憲寺田学に対する答弁。

 塩谷立「私も真実を申し上げてますが、その(不記載の)話は出ませんでした。今までもその不記載のことが話題になったこともありません

 同じく立憲寺田学に対する答弁。

 塩谷立「その時点で多分、法令違反とかそういうことですから、我々はそのことは話はしなくて、ただ還付をやめようということで、それを行ったわけでして、その点では我々は別に嘘ついてるわけではなく、事実も今私してるところであります。だから会長は直そうとしたんでしょ」

 日本維新の会岩谷良平に対する答弁。

 塩谷立「確かに今申し上げましたように現金あるいは不透明な点だからやめようということで、それ以上の具体的な話は我々した記憶がございません。そういうことで、一応安倍さんの判断で、あの還付をやめたということでございます」

 塩谷立の公明党中川康洋に対する答弁。

 塩谷立「あの先程来申し上げておりますが、不記載についての話は一切出ておりません。そして、私もあの不記載についてもそれまで、今日今回この問題は起きるまで全く知りませんでしたので、その点で仮に不記載の話が出ればですね、当然、そのことを議論して何らかの対応していたと思っております

 2024年3月14日参院政倫審世耕弘成の立憲蓮舫に対する答弁。

 世耕弘成「(8月の会合で出たとしている、ノルマ超え分を議員個人のパーティーに上乗せして還付するという案について)誰が言ったか記憶ありません。で、違法性の認識は全くありません。私は上乗せなんていう案は出てないと思っています」

 世耕弘成の日本維新の会音喜多駿に対する答弁。

 世耕弘成「(4月の)そのミーティングではですね、違法性についての議論は一切行われなかったと思います。先程申し上げましたけれども、安倍会長からですねえ、ノルマ通りの販売にするからというご指示が出た場だというふうに思っています。私はそこで意見を述べるというよりは、参議院側にそのことをしっかり伝達をする役割として呼ばれてるというふうに認識をしておりました」

 世耕弘成の同じく日本維新の会音喜多駿に対する答弁。

 世耕弘成「(4月の会合は)ただ、ここはもう話し合いとか違法性を議論する場ではなくて、ノルマ通りの販売とするという指示が伝達された。そういう場だったというふうに思っています」
 
 既に取り上げているが、2024年3月18日衆院政倫審下村博文の日本維新の会岩谷良平に対する答弁。

 下村博文「2022年の4月に安倍会長の国会の事務所に私と塩谷さんとそれから当時西村事務総長、それから世耕参議院幹事長が呼ばれました。そのときに安倍会長の方から還付について現金の還付は不透明だからやめようということと、そのものをやめようという話がありましたが、還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした

 下村博文の同じく日本維新の会岩谷良平に対する答弁。

 下村博文「私自身も同時にそのときに地元でも、あるいは選挙区以外でも、個人の資金集めパーティーをしておりましたから、安倍会長からそのとき(現金還付中止の話が)あったときに、それは私自身は当然だろうというふうに思っておりましたので、還付そのものが不記載であるとか、違法であるとかいう話も出てませんし、私もそういうふうに認識したわけではありません

 要するに4月の会合で安倍晋三から現金還付中止の指示があった際、不記載とか、違法性とかの話が直接出なかったから、安部派幹部の誰もが不記載であったことや、その違法性を全く知らずにいた。

 と言うことは、安倍晋三の"現金還付は不透明で疑義を生じかねない"の文言から、どのような意味・解釈を付け加えることも、如何なる認識を働かせることもなく、どういったことなのか、尋ね返す気持ちも起きず、その文言を文言のままに、いわば無色透明な状態で受け取ったことになる。世間の善悪をまだ弁えない幼い子どもが大人の言うことを理解もできずにただ「ウン、ウン」と頷くに似た様子を幹部4人は安倍晋三に見せたことになる。

 だが、各幹部共に議員歴が長く、政治の世界の裏も表も知り尽くしているだろうし、海千山千の性格部分も抱えているはずだから、安倍晋三の"現金還付は不透明で疑義を生じかねない"の言葉が持つ意味内容を無色透明にしてしまうことなどできようはずはなく、できないことを平気でしているのだから、4月の会合を存在したこととすることはできない。

 例え不記載であることを承知していなかったとしても、あれ、これはどういうことなのだろうと疑問に思う気持ちが起きていいはずで、そこから合法性・違法性、いずれなのかを見極めようとする判断が働いていくものだが、それさえもなく、いわば意味のない言葉としてのみ虚心坦懐に耳に受け止めたように見える。

 世耕弘成は「ノルマ通りの販売とするという指示が伝達された。そういう場だった」と言っているが、現金還付中止の指示に対して当たり前の常識や感覚の持主なら自然と働かせることになる、"なぜ"という思いも働かなかったようで、人間存在として極めて不自然なこの形式いは4月の会合を現実には存在しなかった作り事としない限り、釣り合いは取れない。

 カラクリはこういうことでなければならない。現金還付を中止する理由を拵えるためにはある程度違法性を装わせなければならない。装わせたとしても、即政治生命に関わることだから、その違法性に対して自分達の関与を認めることはできない。この矛盾を解消するために常識ある人間なら持ち合わせているはずの善悪の判断力を鈍らせた状態に持っていき、現金還付が正しい行為なら使われるはずもない、"不透明"、"疑義"なる単語を敢えて無色透明な響きに変えることになった。結果、自分達を常識的な認知機能さえ持ち合わせていないリアリティを備えていない人間に見せることになった。

 人間として非現実的なこのような存在形式に関わる設定は安倍晋三から現金還付中止の指示が出た、我々はそれを受けて、各議員に連絡した、その際、違法性について議論もされなかったし、不記載の話も出なかった、それゆえに我々は現金還付の違法性も、不記載処理されていることも知らずにいたことにしようと幹部間で申し合わせた作り話――デッチ上げであることを否応もなしに逆証明することになる。

 全員が重度の認知症を患った人間にしか見えない。「不記載であるとか、違法であるとかいう話は出なかった」といくら言おうと、安倍晋三の死人に口なしをいくら利用しようと、4月と8月の会合を事実存在した会合とすることができない以上、不記載を知っていたことの証明としかならない。
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