現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

伊藤萬蔵の狛犬

2012-05-13 20:28:23 | 虚無僧日記
毎朝、ラジオ体操をしている「那古野神社」の
狛犬に「塩町 伊藤萬蔵 寄進」と掘ってあるのを見、
ずっと気になっていました。あちこちで目にする
名前だからです。ネットで調べてみました。

「伊藤萬蔵」は 天保4年(1833)、愛知県の(現)
一宮市丹陽町に生まれ、昭和2年(1927) 95歳で
亡くなるまでに、全国の寺社 数百~千ヶ所?に、
石造りの灯篭や鳥居、狛犬を寄進しているとの
ことです。

名古屋では 熱田神宮をはじめ 100カ所の神社仏閣。
愛知県内では 200カ所。東は、川崎大師、長野の
善光寺。京都では 東寺、仁和寺、清水寺、知恩院
など30カ所。和歌山県の「高野山」に10ヶ所。
四国八十八カ寺のすべて、さらに「厳島神社」、
「大宰府」と、私の行ったことのある 神社仏閣の
ほとんどに寄進しているのです。熱田神宮近くの
「頼朝公誕生旧地」と記した石碑も「伊藤萬蔵」
でした。

伊藤萬蔵は、1868年 35歳の時 明治維新を迎え、
時流に乗り、米の仲買・株取引・金融・貸家業と
巾広く商売の手を広げ、巨万の財力を得ました。
しかし、それを趣味や奢侈に使うことはなく、
すべて「神仏や世間様のお陰」として、全国の
有名社寺に石造物の寄進を続けたということです。

「伊藤」といえば「松坂屋の伊藤次郎左衛門」、
「イトマンの伊藤萬助」の一族かと思いましたが、
関係ないようです。全国の社寺に名を残したこと
以外は、ほとんど知られることのない篤志家
でした。

「晩年は景雲橋の東に隠居した」とのこと。
景雲橋は那古野神社のすぐ近くです。那古野神社で
「伊藤萬蔵」の狛犬を見て“気”になったのも、
何かの気付きでしょうか。





虚無僧で生きるとは

2012-05-13 10:45:04 | 虚無僧日記
「虚無僧」で生きるとは?。

先にお金をいただいてから、“演奏を聞かせる”という
音楽家とは 異なります。

まず演奏を聴いていただいて、それに感動していた
だければ、“喜捨”していただくというもの。

尺八は 下手でも、その姿勢に感動して 布施されると
いう方も居られます。

尺八は すばらしく上手でも、感動を与えられなければ
素通りです。自分の姿勢が、音色が どうやったら
通行人の心に響くか、一音一音 真剣勝負です。

そして、その場の空気が作れなければ、“場違い”
になってしまうのです。まずは場の“空気作り”が
命です。


「尺八と一休語りの虚無僧一路」のホームページも見てください

“聞き方”“聞き手”も さまざま

2012-05-13 09:37:07 | 虚無僧日記
もう50年も前ですが、ハワイで公演した時のことです。
事前に「カメラの撮影や客席での録音はダメ」と
云われて「なぜ?」でした。夜8時 開演と同時に
300席ほどの客席は満席。それでいて水を打ったように
静まりかえっているのです。遅れて入って来られる
方なんて一人もおりません。

演奏が始まると、針を落としても聞こえるような
静けさですから、たしかに、カメラのシャッター音や
カセットの操作など、音が出るものは“絶対ダメ”と
いうことが判りました。あんな体験は初めてでした。

その頃(今も?)、日本で「邦楽のおさらい会」などは、
ヒソヒソ話しをしたり、眠っていたり、客席に緊張感は
ありませんでしたし、写真やビデオの撮影、録音は
当たり前でした。もともと邦楽は庶民の娯楽でもあり、
『六段』や『千鳥』など、多少知っている方は、演奏に
合わせて口ずさんだりと、そんなものでした。


次に、中東の島国「バーレーンン」で公演した時の
ことです。歓迎ぶりは すごかったのですが、演奏が
始まっても、会場はザワザワ、ペチャクチャ 騒々しくて
参りました。

通訳の中国人の女性が「すみません、音楽を黙って
静かに聴くという習慣が無いものですから」と
耳打ちしてくれました。「歌舞伎」もその昔は、
桟敷席で飲み喰いしながら、掛け声を掛けたり
だったのですから、「そうか」と思いなおし、
『阿波踊り』をやったら、ものすごくウケたのです。
カメラマンで同行したHさんが飛び出して 踊ったら、
ヤンヤの拍手喝采で、場はイッキに盛り上がりました。
お国柄です。

ヨーロッパやロシアは、「クラシック王国」ですから
マナーが良いのは当然。特にウイーンでは、お客様も
タキシードにドレスですので、会場の空気が違います。

そんなこんな。「明頭来明頭打、暗頭来暗頭打」の
虚無僧ですから、「明には明で応じ、暗には暗で応じる」
のが私の尺八です。いずれにしても、その場その場に
応じて客の心を掴むことが、エンターティナーには
求められると思います。


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