ケイの読書日記

個人が書く書評

中村淳彦 「デフレ化するセックス」 宝島社新書

2021-04-02 14:50:48 | その他
 タイトルは刺激的だが、結構まじめな本なのだ。
 著者の中村淳彦さんは、あちこちで記事を目にする売れっ子風俗ライター。

 風俗業界って、だいぶ前から不況なんだってね。もちろん男性の所得が下がってきているという事情もあるが、草食系男子が増えて男が風俗に行かなくなった。また、風俗があまりにもカジュアルになり、やりたいという女の子がドンと増え需要より供給が多くなった、という事もあるらしい。
 昔は働き手が限られていたので、若ければ風俗店に即採用されたが、今では並み以上の容姿(顔とおっぱい)がないと、不採用らしい。
 つまり、以前はカラダさえ売れば、なんとか貧困から脱出できたが、今は腹をくくってカラダを売る道を選んでも、安く買いたたかれ、あるいは買い手がつかず、貧困から抜け出せないのが現実だ、と著者は言う。(もちろん容姿に恵まれていれば高給が得られるが、ほんの一握り)

 でも、かえってそれが良い結果をもたらすかも…と思う。
 だいたい若い時、風俗で大金を掴んでも、その成功体験が後の人生の足を引っ張るんじゃない? 女の平均寿命って90才近いんだよ。生涯賃金を考えてみなさいよ! 役に立つ資格か何かとって、地道に働いた方が良いと思うけどなぁ。(そういえば昔、ドラフトで指名された大学野球の選手が、大手銀行の方がプロ野球に入るよりも、生涯賃金が高いという理由で指名を断った、という話があったなぁ)

 AV女優は、昔は「お金のために仕方なく」という人が多かったが、今や人気職種。自分で出演したいという志願者が大部分だそうだ。それも貧困家庭出身という女性ではなく、容姿も学歴も知性も全部持っている女性に人気が集まる。つまりお金が集まる。
 そうだよねぇ。最初、鈴木涼美さんの外見とプロフィールを見た時、驚いたけど、もはや芸能界に近い感覚なんだろうね。

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