ケイの読書日記

個人が書く書評

芥川龍之介 「蜘蛛の糸」

2020-04-16 15:14:13 | その他
 コロナの影響で図書館がずっとお休みなので、ブックオフに通っていたが、三密に該当するかもと自粛する。時間帯によっては、かなり混雑するのだ。平日の昼間でガランとしていると思いきや、けっこう人がいる。学校が休みだったり、在宅ワークの影響だろうか?
 そういえばスーパーマーケットも、いつもより2~3割人が多いと思う。そりゃそうだ。子どもが休校でお昼御飯がいるし、外食をほとんどの人が控えていて自炊するので、食材がいるのだ。コンビニもいつもより混雑している。

 とにかく、そういう訳で家にある本を読み返そうと、本棚を見る。「蜘蛛の糸」を選んだのは、ちょっと前に『蜘蛛の糸モノポリー』というボカロ曲を聴いていたから。それに、この短編小説には以前から言いたい事があったんだ。

 カンダタという悪人が、地獄の血の池でもがき苦しんでいる。それを極楽の蓮池のほとりで見かけたお釈迦様は、カンダタが昔、小さな蜘蛛を殺さず助けてやった事を思い出し、この地獄から救い出してやろうと、蜘蛛の糸をそっと地獄の底のカンダタの目の前に垂らしてやった。
 カンダタは喜んでその糸につかまり、上に上り始める。途中くたびれて休み、ふと下を見下ろすと、蜘蛛の糸の下の方には大勢の罪人たちがカンダタの後をつけてよじ登ってくる。カンダタは、こんな大勢の人がこの細い蜘蛛の糸にぶら下がったら切れてしまうと考え、「こら、罪人ども!降りろ、降りろ」とわめくと、カンダタのぶら下がっている上の所から糸がぷつんと切れ、全員まっさかさまに地獄に落ちていた。

 誰もが知っているお話だ。私が初めて読んだのは、小学校の時だと思うが、その時、お釈迦様にすごく強い不信感を持った。
 このお釈迦さまって、人間をいたぶっているよね。このカンダタの行為は確かに褒められたものではないが、非難されるべきものでもない。当たり前の行動だよ。非難されるべきなのはお釈迦さま。蜘蛛の糸じゃなくてロープを垂らせよ。それか、カンダタが蜘蛛の糸を掴んだとき、そのまま引き上げるか。
「自分だけ助かればよいという利己的な心が、全てを台無しにする」という教訓かもしれないが、全員が死ぬのは無駄死になので、1人だけでも助かって世の中に貢献しようとカンダタは考えたかもしれないよ。

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