ケイの読書日記

個人が書く書評

山崎ナオコーラ 「母ではなくて、親になる」 河出書房新社

2018-09-04 18:06:07 | その他
 山崎ナオコーラさんの作品は1冊も読んだことないけど、ペンネームが変わっているし、私の読んでいる新聞にエッセイを数回載せていたので、名前だけは知っていた。
 ジェンダーについて、自分なりのこだわりがあるようで、だからタイトルも『母ではなくて、親になる』なんだろう。

 一見、育児書だが、赤ちゃんの事ばかりでなく、純文学作家としての悩みとか書店員の夫との生活のあれこれも書いている。むしろ、その方が多いし読んでいて面白い。
 純文学作家=裕福でない というイメージがあるが、彼女の場合、デビュー作『人のセックスを笑うな』が売れて、映画化もされたので、比較的お金に余裕があるようだ。エッセイの中にも、さかんに「同年代のサラリーマンより、私の方が税金をうんと多く払っている」とか「書店員の夫より私の方が、給料が倍以上多い」とか書いている。

 だんなさんも「俺は男だ!」という意識が薄く、夫婦仲は良いようだ。
 でもね、ナオコーラさん。正社員のダンナさんは、これから少しずつ給料が上がっていくんだろうと思うよ。厚生年金や健康保険もバッチリついてるし、退職金だってあるだろう。なにも自分のエッセイ本で「低収入」「低収入」と連呼しなくてもいいと思うな。
 こういう事って、言われた本人に自覚が無くてもジワジワ効いてくるんだよね。後から。


 ナオコーラさんは面倒くさい人でもある。例えば『トイレ』。ボーイッシュな人が女子トイレに入る時、不審がられるからどうすればいいか?という相談に、もっと女性らしい格好をしたらどうか、という回答があった。
 それに対して、激しく憤っている。「周りの人が女性かどうか見た目で判断するのを止めればいい。そもそも性別でトイレを分ける必要はない」と主張する。うーーーん。
 私はもっと単純に「私、男に間違われること多いですが、女です」と言えばいいだけだと思うけど。それに男女一緒のトイレも、地方のスナックなんかにあるけど、やっぱり利用しづらい。ナオコーラさんは、公共施設などにある「多目的トイレ」といったバリアフリーのトイレを考えているかもしれないが、すべてそれに変えようとすると、本当にお金と場所が必要だよ。
 そんなに性差を敵対視しなくてもいいと思う。

 ナオコーラさんの小説を読んでみようとも思うが、彼女の小説ってほとんど恋愛小説なんだよね。うーーーん。

P.S.ヨシタケシンスケのイラストがかわいい。

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