日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

学力と知力

2004-12-07 12:28:10 | アラカルト
『学習到達度調査』 の結果が新聞各紙のインターネット版で出ている。
このような調査結果が出るたびに「日本の学力低下」ということが言われる。
今回の内容を見ると「読解力」等の低下が、激しいようである。
これって・・・単に読書量が減ったということでは、ないだろうか?

いつの頃からか「グローバルな社会に対応できるように、早期英語教育が必要」とばかり、幼児教育としての英語教育が盛んになってきた。
書店などへ行くと、幼児向け英語教材本がいっぱいある。
でも、本当に効果が期待できるのだろうか?
自宅で英語を教えている友人がいる。
その友人が「うちは、小学校4年生以上にならないと、教えないようにしている」と言っているのだ。
何でも「確かに、幼児期は耳が良かったりするけど、言葉を理解するということになると、一定年齢を過ぎないと出来ない。音を聞くことと言葉を理解することは別。それより、幼児期から本をいっぱい読んだほうが、言葉の数が増えて英語を習わせても、飲み込みが早い」ということだった。
それだけではなく「バイリンガルといっても、基本的にはコミュニケーションの力がないと意味がない。英語が出来ても、相手の気持ちが分からなければ『本当の英語の力』ではない」とも言っている。
どうやら英語の力といっても、その前に母国語の理解力や読解力が必要のようである。

仕事でイロイロな方とお話をさせて頂くことがあるのだが、確かに言葉の数や話の作り方などに長けている方は、読書家だったりする。
言葉の種類が多く、分かりやすく言い換えて伝える力がある。
逆に、何度話しを聞いてもその話の根幹となるものが見えてこない人は、やはり余り本を読まないようである。
本と読むから、読解力や話が上手いとは言い切れないのだが・・・。

昨夜の「報道ステーション」でスポーツを担当している松岡修造さんのレポートが、まるで今日の「学習到達度調査」結果のひとつの回答を出しているようにも思えた。
シドニーに続き今回のアテネでも金メダルを獲った谷亮子選手の、ポリシーというかアスリートとしての考えにいてのレポートである。
谷選手は、「心技体+脳」ということにポイントを置いて、階段を駆け上り・駆け下りた後息を整えながら、暗算をして集中力と瞬時の判断力をアップさせるというトレーニングを日ごろからしている。という内容だった。
確かに、個人・団体を問わずスポーツは集中力と瞬時の判断力が要求される。
それだけではなく、観察力や創造力も重要な力だろう。

しかし・・・集中力や判断力、観察力、創造力といったものは「学力」だろうか?
むしろ「知力」ではないだろうか?
知力の上に学力があるとすれば、「学力低下は知力の低下」ということにもなるような気がする。