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「お年玉は、お母さんが預かっておくから」-お正月CM-

2004-12-30 11:32:08 | CMウォッチ
クリスマスが終わり、25日の深夜には百貨店や商店街ではお正月の飾りつけがありましたね。
26日には、すっかり「お正月モード」の町並みに変わりました。
多くの企業もこのときばかりは、門松や松飾など玄関に飾り付けます。
小さな支店や営業所の玄関にも「謹賀新年」の張り紙がお正月気分を伝えています。

テレビ番組もお正月番組の宣伝が、頻繁に流れるようになりましたがテレビCMだけは違います。
バブル崩壊前までは、お正月CMと言うものがありました。
有名なトコロでは、三田工業のCMでしょうか?
余り「お正月」という雰囲気のCMではありませんでしたが、三田工業のCMそのものがお正月にしか流れないのです。
何よりも芸術性の高いCMで、わずか1週間程度しか流れないのに完成度が高く印象的なモノでした。
三田工業のCMは、会社が京セラに支援を受け実質的な子会社となってから、なくなってしまいました。
これは、企業の経営という理由でお正月CMがなくなった例ですが、それにしてもお正月らしさを感じさせるCMは、だいぶ減ってしまいました。

昨年は・・・
「おせちに飽きたらカレーもね」と「お正月を写そう」くらいだったのでは?
今年になって見たCMは、「お正月を写そう」だけ。
「お正月を写そう」というCMは、ご存知「富士フィルム」のCMです。
コピーそのものを変えることなく、時代を映すCMを作り続けています。
七福神が登場したこともありましたし、晴れ着を着た女性が羽根突きをすると言うモノもありました。
今年は「お年玉は、お母さんが預かっておくから」という内容です。
こうやって、CMを見比べてみるとCMは時代を映す鏡ですね。

七福神の頃は、バブルが崩壊した直後くらいで「景気回復祈願」みたいなものを、ユーモアを交えて表現していました。
それ以前は、写真を撮ることがひとつの「家族の記念」というアプローチでした。
「お正月に晴れ着を着て、初詣に家族で詣でる」と言う、のんびりとした穏やかな古い風景を切り取るような「写真」のイメージです。
それが、カメラ付きフィルムが登場し「写真を撮る」ことが気軽なものとなり、「記念となる瞬間を切り取る」という感じになりました。
デジカメの登場は、写真がもっと身近なものとなり「お年玉は、お母さんが・・・」では「証拠写真」となっています。
「お母さんが、お年玉を預かる」と言われて、お年玉がなくなった経験者としては、ある種の共感性を持ってユーモアを感じる素敵なお正月らしいCMだと思います。

今年は、「無駄遣いをしないように、お母さん(お父さん)がお年玉を預かっておくから」という言葉は、お子さんには通用しなくなりますね。