日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

シンボルアスリート2

2004-12-16 11:39:09 | スポーツ
今日の新聞にまた、「シンボルアスリート」の記事がありました。
契約辞退を申し入れていた、柔道の谷亮子選手はイロイロな経緯があったらしくJOCとしては「何とか契約にこぎつけた」ということのようです。
そして、ハンマー投げの室伏選手も契約したようですね。
これまで伝えられてきた内容から察すると、所属会社とJOCの間で駆け引きがあったように感じます。
スポーツには様々な駆け引きがありますが、このような胡散臭そうなビジネスに引っ張りだされるというのは、なんとも・・・。
北島選手と野口選手はダメでしたが、JOCとしては何とか格好がついた「シンボルアスリート」契約ということになりました。

以前のブログでも書いていますが、この「シンボルアスリート」というマーケティングビジネス(本当は、単なる肖像権の管理によるビジネスですが、JOCの発表にあわせています)が、本当の意味での「スポーツ振興」に役立つものなのでしょうか?
なんとなく、「自分達の汗を流さずにお金を儲ける」としか思えないのですが・・・。

実は、今日の「シンボルアスリート」の記事の近くに、「UFJ銀行陸上部廃止」の記事が出ています。
「UFJ銀行陸上部(母体は旧東海銀行陸上部)」の女子は、駅伝やマラソンでもかなりの実績を残している、東海地区の名門社会人陸上部です。
この背景には、親企業であるUFJ銀行の合併問題や一連の不良債権の資料隠しなどがあると思われます。
バブル崩壊以降、次々と企業の運動部が廃止され、日本のスポーツ全体が弱くなった。と言われてきました。
それが今回のアテネオリンピックで相当の実績を残せたのは、市井のクラブの頑張りがあったからとも言われています。

企業の広告塔としてのスポーツと言う時代は、バブル崩壊で終わってしまいました。
でもスポーツには、「社会の大切な文化資産」という側面があります。
今、必要なことは「社会の文化資産としてのスポーツ」という考え方だと思うのですが、JOCからはそのような姿が見えてきません。
競技人口を増やしたり、マイナースポーツの振興のための施策を、市井のクラブに任せっきりでいいのでしょうか?

そしてもうひとつ。
元近鉄の投手・岩隈選手についてです。
彼は、現在プロテクトされて合併球団「オリックス・バッファローズ」(個人的には、センスのないネーミングだと感じますが・・・)に所属と言うことになっているようです。
でも、本人は「オリックス・バッファローズでプレーしたくない!!!!」と再三交渉の場だけではなく、メディアなどのインタビューでも、話しています。
おそらく「オリックス・バッファローズ」からすれば、岩隈選手は「シンボルアスリート」のような選手なのだと思います。
だから「どうしても契約をしたい!!」ということなのだと思いますし、その為に様々な策を練っているようです。
そもそも、この問題の出発点となった「オリックスと近鉄の合併」について、選手会と確認しあった「選手の意見を尊重する」という内容は、どこへいってしまったのでしょう?
「嫌だ!嫌だ!!!」と言っている選手に無理強いをさせて、良い結果が生まれるのでしょうか?
それよりも、現在いる素晴らしい投手を岩隈選手以上の選手に育てることのほうが、選手のモチベーションも上がるでしょうし、ファンも喜ぶと思うのですが・・・。
「汗をかいて球団を作る」という気はないようですね。