日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

いつの時代も、変わらない

2011-06-06 19:43:42 | CMウォッチ
サントリー伊衛右門の新しいテレビCMが始まった。
「働く人」をテーマにした内容だ。

サントリーの伊衛右門そのものは、「緑茶」という一つの商品でしかない。
その一つしかない商品でありながら、寛政という時代設定の中で季節折々の風景や生活観を表現しつづけてきた。
かれこれ7、8年続く息の長いテレビCMだろう。

ペットボトル飲料に限らず、1年間で新発売される食品・飲料水の数というのは膨大なモノだ。
その中にあって、生き残っていくというのはとても大変なコト。
まして「ロングセラー」と成りつづけるためには、ある種の「共感性」と「親しみ感」というモノが無くては難しい。
その意味では、伊衛右門に限らず伊藤園の「お~い、お茶」なども、優れた商品だといえるだろう。

さて、本題のテレビCMなのだが、今回は「働く人」をテーマにしている。
そこに登場する人たちの姿を見ていて、「寛政(福寿園創業の頃)と今と、変わるモノが無い」という感想を持ったのだった。
確かに、使う道具などは随分と違うのだが、「働く姿勢」という点では何ら変わるところが無いように感じたのだった。
大工さんであろうと、両替商、茶店のお嬢さん、医者・・・様々な人が、ただ一生懸命にその仕事をしていることには、時代は関係ないのかも知れない。

逆に、寛政いう時代を映しながら、現代の働く人を映し出しているように感じたのだった。
そして、このタイミングでこのテレビCMが流れるというのは、なんと政治に対する皮肉なのだろうか?と・・・。
もちろん、サントリーや広告代理店としては、このタイミングを狙っていたとは思わない。
思わないが、どこか痛烈な政治批判の要素も感じてしまうのは、私だけだろうか?

時代は変われど、「お上」と市井で働く人々の姿というのは、変わらないのかも知れない。
そして、働く本分を忘れない人の姿は、美しい・・・そんな気にさせられるCMだ。