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「なでしこ」たちがお手本?組織のあり方

2011-07-12 11:53:59 | ビジネス
サッカー日本女子代表の活躍が、週明けの話題になったのではないだろうか?
サッカーファンであっても、女子サッカーの試合というのは余り見たことがない、という方の方が多いと思う。
以前、「全国高校女子サッカー大会」のボランティアをしたことがあるのだが、男子サッカーと大きく変わるところは何もない。
もちろん、体力的な配慮はされているのだが、サッカーという「スポーツに対する思い」は、決して男子に負けてはいなかった。
むしろ、練習環境など男子よりも恵まれていない分、その思いは強いように感じた。

そのサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」が、優勝候補のドイツを延長戦の末破った。
中心になっているのは沢穂希(さわ ほまれ)選手。
日本代表歴10数年の大ベテランだ。
彼女を中心に、チーム一丸となって自分たちよりも随分大きな体の外国勢選手たちと戦うというのは、体力的にも精神的にもタフさが必要となる。
何よりも、ピッチ上では監督の指示を仰ぐことが出来ない。
その場その場の状況を個々の選手が判断をし、それをパスという方法で伝えていくしかない。
「自分の思いや考えをパスに乗せ、受け手選手に伝える」のだ。
その意味で、サッカーというスポーツはフラットな組織でなくては、機能しない。
40年以上前のように、点取り屋といわれるフォワードの選手がゴール前にいて、点を取るというのでは、今のサッカーは勝つことが出来ない。

実際、「なでしこ」たちの闘い方はチームが一丸となり、攻撃的な選手であっても守備をするコトをいとわない。
逆に守備的ポジションの選手であっても、「攻撃のチャンス」という時には積極的に前に出る。
「誰がこの仕事をする」という役割があっても、互いに状況に応じて補完しあいながら試合を動かしていく、これが「なでしこジャパン」の強みでもある。
その意味で、とてもフラットで意思疎通の出来ている組織なのだ。
このような組織のあり方が、今ビジネスの場面でも注目されている。
それも、顧客を巻き込んでの組織づくりだ。

もちろん、そのチームの中心に沢穂希さんがいるのだが、沢さん自身がチームメイトに積極的に指示を出すということは殆どない。
試合後、話し合いの中で意見を述べ合うことはあると思うが、沢さんが自分の意見を押し付け、チームを動かしているという話しは聞いたことがない。
選手一人ひとりが、互いに尊重しあいながら自由に意見が出せる、というのが「なでしこ」たちのチームのようだ。

おそらく、そのような組織が自然発生的に生まれ、そこからイノベーションとなるアイディアが生まれることが企業にとって理想なのかも知れない。

もう一つ付け加えるなら、ドイツ戦後、「なでしこジャパン」のメンバーは感謝の横断幕を掲げ、ピッチを一周している。
そして試合前に見た「モチベーションビデオ(試合前に、気持ちを高めるために見るビデオ。多くは過去の惜敗した試合や、勝ち試合)」は、なんと「東日本大震災」の被災地ビデオだったと聞いている。
被災地に思いを馳せ、感謝をする・・・謙虚な姿もまた、見習うポイントなのかも知れない。