日々是マーケティング

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「マイルドセブン」から「メビウス」 名称変更の影響

2012-08-08 18:46:29 | マーケティング
yahooのトピックスに、ロイター電としてJTが「マイルドセブン」から「メビウス」に名称変更をすると言う記事を伝えている。

私自身はタバコを吸わないし興味も無いので、「マイルドセブン」が「メビウス」に変わっても、関係が無い。
ただ、マーケティングに携わる者として、この名称変更には相当驚いた。
と言うのも「マイルドセブン」というタバコは、いわばJTの顔のような存在。
タバコを吸い始めた時、吸っていたのは「マイルドセブンだった」と言う方は、喫煙者の方は多いのではないだろうか?
それほど、日本のタバコ産業の中では中心的ブランド商品だ。

それを名称変更する、と言うのは相当な勇気というか、失敗したときのリスクを考えると、簡単に踏み切れるモノでは無かったと思う。
まして、年々喫煙者数は減ってきているコトを考えると、冒険の前に「無謀な」という言葉が付きそうな気がする程のコトだと思う。

今回のJTの「マイルドセブン」の名称変更を他に例えると、わかりやすいと思う。
例えば、トヨタが「カローラ」を全く違う名前に替える、と言う程のコト。
「カローラ」と言えば、トヨタにとって企業そのものを現す様なクルマであり、高級車やハイブリッド車が主流になっても、この「カローラ」という名称は生き続けるであろう、と言う程のトヨタという企業の顔となるクルマであり、トヨタという企業の象徴の様なモノだと考えられる。
それと同じような位置づけとなっている、「マイルドセブン」の名称を変更すると言うコトは、新しい商品を発売するよりも大きなリスクが掛かる。

その理由は、以前のブランドイメージを傷つける、と言うリスク。
もう一つが、「マイルドセブン・ファン」を失う可能性だ。
タバコを吸う方のブランド志向というモノがよく判らないので、断言できる程の知識や情報は持っていないのだが、タバコが値上げされる度に愛煙家の皆さんは、買いだめに走る。
その光景をテレビのニュースなどで見ている限りでは、やはり「お気に入りの銘柄」というモノがある様に思われのだ。
それはスーパーなどで、カートンでタバコを買う人の買い方を見てもよくわかる。
「マイルドセブン」を買う人は、決して「ピース」を買ったりはしない。
そこには、「マイルドセブン」というタバコの、味であったり香り様なモノが、ファンにとって「気持ち良い」からだろう。

その内容も一新して、プレミアム商品として位置づける為に名称変更をする、と言うのは「マイルドセブン・ファン」に受け入れられるのだろうか?
実は、市場調査などを実施し、その結果などから大丈夫!と思われた名称変更や商品内容の変更が失敗に終わるコトが多い。
特に、味や香りなどに左右されやすい食品などは、その傾向が強いと言われている。
タバコは食品ではなく嗜好品だからこそ、その影響は大きいはずだ。

と考えると、1年以上かけて検討してきた名称変更、吉と出るか・・・。
ロイターが、このニュースを伝えていると言うのも気になるところだ。