日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

偶然の気の利いた広告

2012-08-23 19:05:31 | CMウォッチ
今日の朝日新聞朝刊の一面は、政府が実施した「原発についての世論調査」だった。
その「世論調査」については、多くの方が目にし・読まれたと思う。
その内容について、云々する気は無い。
ただ、この様な世論調査を行った限りは、国として「原発を含めた将来的エネルギー政策」というモノを、与野党関係なく真剣に話し合う必要が出てきた、と言うコトだと思う。

その一面の下には「天声人語」が、掲載されている。
今日の「天声人語」のテーマは、「自然と農業」だった。
その中で取り上げられていた農作物は、トウモロコシと大豆。
どちらも、日本が米国からの輸入に頼っている農作物だ。
その米国は、半世紀ぶりの大干ばつ。
当然、米国の穀倉地帯と呼ばれる地域も大干ばつの影響で、15%近くの収穫の減少が見込まれていると言う状況のようだ。

この二つの話は、一見何の関係もないように思えるのだが、現在収穫されるトウモロコシの内、相当量が「バイオエネルギー」の材料として使われている。
火力発電などの原材料というわけでは無いが、米国の大干ばつはエネルギーの問題でもある野だ。
そんな指摘がされていた「天声人語」だった。

その一面トップの記事と「天声人語」の間に、ヤンマーの広告が掲載されていた。
広告と言っても、昨日エントリをした「BOSS×ソフトバンク」の様な大々的な広告ではない。
新聞社の名前の下に、数行掲載される小さな広告だ。
その広告が、何とも一面トップと「天声人語」のテーマと重なる様なないようだったのだ。
広告の内容は、「バイオガスマイクロコージェネレーションシステム」の宣伝。

ヤンマーという企業はご存じの通り、農機具などの製造・販売の企業。
当然、ヤンマーの顧客となるのは農家さんや酪農家というコトになる。
その農家さんや酪農家さん向けの商品として、「バイオガスマイクロコージェネレーションシステム」を売り込む為の広告だったのだ。
その広告文には「家畜などの糞から発生するメタンガスを使うマイクロコージェネレーションシステムを導入しませんか?エネルギーコストはもちろん、地球環境にも役立ちます」という内容。

おそらくこの広告掲載が決まったのは、随分前のことだろう。
その時には、まさか一面に「原発稼働についての世論調査」が掲載され、「天声人語」では「農作物によるバイオエタノール」について書かれるとは思っていなかったと思う。
でも、この二つの記事とコラムによって、この小さな広告が目立つ結果になってしまった。
偶然とはいえ、ヤンマーにとってまたとない効果的な広告となった様な気がしたのだった。