日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

箱物よりも人材に

2012-08-06 09:08:05 | アラカルト
タイトルを見て「またか・・・」と思われた方も多いと思う。
拙ブログだけでは無く、いろいろなトコロで言われてきたコトだからだ。
ただ、今回の場合チョッと視点が違う。

昨日、私が会員になっているNPOの「ピアサポート」の総会に行ってきた。
「ピアサポート」とは、脳卒中やがんなど重篤な病気を経験した人たちが、同じ病気の人の悩みなどを聞きながら、経験者としてのアドバイスをする、と言う会。
日本ではまだまだマイナーな活動で、「医療者と患者の架け橋」のような役割で活動をしている。
総会と言っても、一般企業の株主総会とは違う。
収支報告と事業報告などは簡単に行われた程度で、総会の中心は今後の活動についてだった。
その中で、とても残念なコトを知ったのだった。

「がん対策基本法」が施行され、5年ごとに内容の見直しがされるコトになっている。
昨年度はその見直しの年でもあり、私が会員になっているNPOの理事長さんがその諮問委員のひとりとして出席・提言をされていた。
その活動の成果として、「がん拠点病院では、がん経験者などによる傾聴活動を定期的に行い、患者のQOLの向上に務める」という趣旨の内容が、盛り込まれたと言う。

もちろん、その様な活動をしていく為にはそれなりの資金が必要となる。
この「がん対策基本法」に基づき、国や地方自治体ではがん治療に対して補助金を出している。
多くの自治体では、病院や病院の設備投資だけでは無く、がん治療のための人材育成にも力を入れ始めている、と言うのが現状のようなのだ。
ところが、とりあえず箱物!と言う考えで、人材育成に回すお金を出し渋っている地方自治体が有るらしい。
その一つが、愛知県なのだ。

実は愛知県には、全国でも数少ない「重粒子線治療」の施設が有る。
生命保険のCMなどで聞く「高度先進医療」のひとつだ。
この様な施設はもちろん必要だと思うのだが、その様な施設に複合的な施設も造っている。
もちろん、病院では無い。
だからと言って、小児がんなどの患者家族向け宿泊施設でもない。

問題なのは、施設はあってもそれを有効に活用する為の人材育成に力を入れていない、と言う点なのだ。
ピアサポートの活動というのではなく、がん検診の啓発活動やがん患者に対する就労支援の為の企業啓発活動などには、ほとんど力を入れていない、と言うのが現状なのだ。

今回の「がん対策基本法」には、「将来的には義務教育としてのがん教育」というコトも盛り込まれていると聞く。
学校教育の中で、がん教育が始まるとなると当然教師にもがん教育が必要となってくる。
どのような教科が「がん教育」に当てられるのかは判らないが、がん教育ができる現役教師はほとんどいないのでは無いだろうか?
とすれば、当然のことながら教員向けのがん講座も必要となってくる。
だからこそ、箱物では無く人材育成に力を入れる必要があるはずなのだ。

「モノづくり愛知」は良いのだが、そこには「人材育成」も含まれているコトを忘れて欲しくない。