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原発をなくす為に、原発を残す必要性

2012-08-27 17:08:48 | アラカルト
東京電力の「フクシマ事故」発生以来、全国各地で「脱原発」の動きが活発化している。
お盆休み前には、霞ヶ関で大規模な「脱原発デモ」があり、それに応じるようなカタチで代表者側と政府関係者の話し合いの場が持たれた。
場はもたれたが、10分程度で決裂(?)だったようだ。

この週末、橋本治さんの本を読んでいたらとても気になる一文があった。
それが、今日のタイトル。
橋本さんが、「原発推進」というコトを言っているのでは無い。
現実を見た場合、「脱原発」を実現させる為には、今ある原発を廃炉する必要がある。
しかし廃炉に掛かる時間は、40年とも言われている。
とすれば、今すぐに廃炉を決めたとしても40年という時間をかけながら、廃炉するしか方法が無い。
今現在日本が持っている原発を稼働させる技術的なモノを手放すコトは、直ぐにはできないコトなのだ。
逆に言えば、今すぐ廃炉しても危険な放射性物質を処分する為に、40年と言う時間が必要でそのためも技術開発が必要なのでは?と言う問題の提議をされているのだ。

そう考えると、今「脱原発」と訴えている人の多くは「廃炉する為の時間」という視点を持って「脱原発!即時停止」を考えているのではなく、それはあくまでも「感情的な部分での訴え」であって、現実的な「脱原発」というにはならないのではないだろうか?

今回関西電力が再稼働させた「大飯原発」については、原発稼働前に「日本のエネルギービジョン」という部分の話が欠けていて、その話がまとまらない間に産業界の意向を受け再稼働させた、と言う印象ばかりが残ってしまったが、「脱原発」を語るのであれば、今ある原発の廃炉計画の要求というものも必要なのでは無いだろうか?

「フクシマ事故」以来、日本の様な地震大国で原子力発電所による発電事業というのは、甚大なリスクを負う事業である、と言う認識が生まれてきた。
例え産業界が、電力不足を補う為にも原発再稼働を訴えても、電力会社の収益の9割を占める生活者が、不信感を持ち、様々な方法で「脱原発」を指向する様になれば、スンナリと稼働できるとは思えない。
一方で、「廃炉」と言う問題を考えたとき、廃炉ための技術や開発のために、原発の稼働がある程度必要、と言うコトにもなるだろう。

その両方を考えた上で、「原子力発電のあり方と日本のエネルギー政策」を、考える必要があるように思う。
「脱原発」を訴えるにしても、単に「自然エネルギーへの転換」というだけでは無く、「今ある原発をどうすれば早く廃炉できるのか?」と言う考えを持つ時期にきているのではないだろうか?